最新「国内外の環境関連法規制動向」
情報発信日:2006-10-30
はじめに
21世紀は環境の世紀といわれ、EUを中心にさまざまな環境関連の法規制が強まる動きをみせています。これらの法規制は成立後に対応すれば間に合うものもありますが、検討段階から準備を行わないと混乱をきたすもの、当工業会会員に影響の及ぶものやあまり関係のないものまで玉石混交です。環境WGではこれらの動きをいち早く察知し、当工業会会員に影響が出そうな法規制については逐次情報を提供しておりますが、ここで最近の気になる法規制についてまとめて報告したいと思います。
化学物質使用に関する規制
- 欧州RoHS指令
電気・電子機器に対する特定有害化学物質の使用制限。
(備考)2006年7月1日より実効。一部に影響あり
- 日本版RoHS
「資源有効利用促進法」に基づき、事業者に「環境配慮設計を求める判断基準省令」を改正。「JIS C0950電気・電子機器の特定化学物質の含有表示方法」により、RoHS指令規制6物質を含有する場合は表示義務を負います。通称J-Mossとよばれています。
(備考)資源有効利用促進と環境配慮設計を求める判断基準省令は、欧州RoHSと同じ2006年7月1日より実効。JIS C0950は、バルブ・継手類は対象外
- GHS
国連決議に基づき、化学品の分類及び表示を世界共通にしようとするもの。有害性のある場合は種別のマーク表示を検討。
(備考)日米欧で検討中。足並みは揃っているが強制力はなし
- 欧州REACH規則
日本の化審法に類似しているが、化学物質を製造・輸入・使用する企業のリスク責任を明確化するもので、実施されるとRoHS指令対応と同様に、各企業においてグリーンサプライチェーン構築の必要が生じる可能性があります。
- 製品含有化学物質の情報伝達に係る基本方針
経済産業省は、欧州でのREACH規則が導入された場合に備え、「製品含有化学物質の情報伝達に係る基本方針(ガイドライン)」を作成し、意見募集を行っている。
(備考)自社が直接欧州に製品の輸出を行う場合及び欧州に輸出を行っている企業と取引を行う場合は要注意
- 化管法改正(MSDS, PRTR)
制度がスタートしてから時間が経過したため、対象化学物質の種類を見直す動き。
(備考)見直しがスタートしているが影響はなさそう
飲料水質関係
- 耐塩素原虫対策
クリプトスポリジウム、ジアルジアなど耐塩素性原虫対策として従来の膜分離法だけを推奨から水源の由来によっては紫外線殺菌装置も許容。
(備考)厚生省が2006年末〜2007年初頭にパブリックコメントを求める模様
- 水質基準改訂
塩素酸、従属栄養細菌、農薬について検討
(備考)2006年8月4日、厚生科学審議会生活環境水道部会にて審議されたが、影響はない模様
アスベスト関係
- 労働安全衛生法施行令の一部改正
ノンアスベストの定義の変更(アスベスト含有率1%以下→含有率0.1%以下)。ただし、暫定処置として高温、高圧用バルブなどのパッキン・ガスケットは一部適用が除外される。
(備考)2006年9月1日実施。顧客からデータ提出を求められる可能性があります。多少要注意
省エネ関係
- 省エネ法改正
炭酸ガス放出量削減を目指すもの。運輸部門では荷主も削減目標が課せられる
(備考)大口荷主は削減目標を課せられる可能性がありあます。多少要注意
環境配慮設計関係
- 欧州エコデザイン設計(EuP)指令
エネルギー多消費型機器に対しての環境配慮設計を要求する。エネルギーを自ら消費する機器だけでなく、エネルギーを搬送する機器類にも適用される。枠組み指令のため、ただちに影響はないと思われます。
(備考)2007年8月11日までにEU国内法が整備。実施されても、枠組み指令なのですぐに影響は出ないが要注意法令
- わが国の環境配慮設計検討
経済産業省にて検討中。EUと異なり、省エネよりも製品を設計するにあたり、リサイクル、リデュース、リユースの3Rの観点での製品設計はどうあるべきかの検討。とくに、リサイクル、リユースにあたっての分解、分別などのしやすさなどを主眼に検討中。
(備考)ガイドラインになるのか強制力を持つのか、現時点では不明であるが民間企業でも自主的な動きをみせており要注意
今後も、定期的な動きをみて、適宜情報を流す予定です。
情報源・出典・参考情報
- 日本版RoHS「J-Moss」関係
- GHS関係
- REACH規則関係
- 製品含有化学物質管理ガイドライン (日本バルブ工業会)
- 水質基準改正関係
- アスベスト関係
- 省エネ関係
- 環境配慮設計関係
注意
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