ホーム > 環境について > 環境関連情報 > EUにおける環境配慮設計指令(EuP指令)
情報発信日:2005-01-31
EuP指令は、現在はまだ(案)の段階ですが、正式名称は「Proposal for a DIRECTIVE OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE CONCIL on establishing a framework for the setting of Eco-design requirements for Energy Using Products and amending Council Directive 92/42/EEC」であり、日本語では「エネルギー使用製品に対するエコデザイン要求事項の設定のための枠組みを設けることに関する欧州議会及び理事会指令提案」とよばれています。
EuP指令(案)は、もともとはWEEE指令(廃電気電子機器リサイクル指令)とRoHS指令(特定物質の使用制限指令)とセットで検討されてきた指令ですが、さまざまな事情によりWEEE指令とRoHS指令が先行するかたちで欧州委員会環境総局から提案されました。本来EuP指令(案)は「電気電子機器の環境影響に関する指令」WEEE指令草案として検討されていましたが、環境配慮設計や省エネルギーは電気電子機器にかぎった問題ではないということから、欧州委員会の企業総局や運輸・エネルギー総局などを巻き込み、エネルギー効率に焦点を絞ったかたちで「最終使用機器のエネルギー効率の規制に関する枠組み指令案」として公表されました。また、「エネルギー効率はエコデザインの一つの要素」という議論があり、さらに範囲が拡大され2002年11月に「最終使用機器のエコデザインに関する枠組み指令(案)」(通称EUE指令案)として発表されましたが、その後に種々の議論を経て「EuP指令(案)」が2003年8月に欧州委員会から正式提案されました。
EuP指令(案)は「枠組み指令」であるために、仮に採択された場合でもただちに具体的な規制が行なわれるわけではなく、欧州委員会が今後、個別機器に対する指令を順次発令してゆくことを示すための、いわば基本的な考え方と思われます。したがって、EuP指令が採択された場合には、製品分野別に販売量や環境への影響の程度を調査してどの程度まで規制するかを決定し、定性的及び定量的な環境配慮設計基準を機器ごとにつくり、順次「実施対策指令」として採択してゆくことになります。
EuP指令(案)の考え方については、二つの大きな考え方があります。一つは「特定エコデザイン要求」とよばれ、エネルギー効率とか水の使用量など定量的な規制を行なう部分と、もう一つは「包括的エコデザイン要求」とよばれ、製品のライフサイクル全体において環境側面を考慮した定性的な規制を行なう部分とがあります。また、定性的な部分について適合しているかいないかを判断するためには、何らかの基準・規格が必要になりますが、原則として任意の欧州基準・規格に適合していることが求められますので、現状未整備の基準・規格も新たに整備が進められるものと思われます。まとめると、EuP指令は「枠組み指令」「実施対策指令」「整合基準・規格」の三つの階層から構成されると理解されます。
EuP指令は現状では(案)の状態ですので、案文の詳細は後報にて行いたいと思いますが、今後の見通しについて述べておきます。
現在EuP指令の草稿は欧州委員会より欧州議会と欧州理事会に提案がなされ、欧州議会では環境委員会が主委員会となり第一読会が終了したところです。欧州理事会では運輸・通信・エネルギー理事会が担当し、エネルギーWGが事務局となり内容を検討しています。最終的には、欧州理事会では政治的な合意は得られていますので、欧州議会での修正案を欧州理事会が検討し、2005年の前半には採択されるとの見通しが有力です。この採択が行なわれると2年以内に欧州委員会は向こう3年間に実施対策指令を策定する対象製品のリストと作業計画を公表してゆくものとみられています。
今後の動き、及び、指令の内容の詳細については、動きがありしだい続報としてお知らせしたいと思います。