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環境関連情報

「グリーン購入」と「グリーン調達」の違い

情報発信日:2006-04-06

似て非なる「グリーン購入」と「グリーン調達」

最近、グリーン調達グリーン購入が混同されて使用されている場合がありますので、あらためて違いを明確にしたいと思います。どちらも環境や平和を意味する「グリーン」が共通し、「購入」と「調達」もほぼ同じ意味をもっていますので、混同されても仕方がないと思います。

両者とも、企業や自治体が環境保全を目的として物品を購入する際の目安という意味では同じですが、前者の「グリーン調達」はEUのRoHS指令などに見られる有害化学物質規制に対応するために民間企業を中心に自主的に定められた基準です。一般に独自に定めた「グリーン調達基準書」により運営されています。

後者の「グリーン購入」は環境省の主管する法律で、正式には「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」とよばれ、環境負荷低減効果として、おもに炭酸ガスの排出量削減やリサイクルを推進するために作られた法律です。おもに国の機関、独立行政法人、地方自治体を対象に、環境負荷の少ない物品購入を勧めると同時に情報の提供を行うものです。

グリーン調達とは

「グリーン調達」とは、EUにおける電気電子機器に対するRoHS指令や自動車に対するELV指令などに端を発し、製品に含有される有害物質を規制しようとする動きに対応することを目的として、該当企業及び関連企業が部品や材料の調達段階の水際において自社製品に規制対象物質が混入することを防止するために作成した自主調達基準ともいえるものです。

電気電子製品や自動車など、数千から数万にのぼる部品から構成される製品において、有害物質が含有されているかいないかの検査は物理的経済的に不可能に近いため、部品や材料を調達する段階で川上の調達元(サプライヤー)に規制物質の非含有を保証させる仕組みで、最上流の材料メーカのデータを最終メーカまで伝言ゲームのように伝えることによりこの仕組みが完成するもので、グリーンサプライチェーンとよばれます。

有害物質を規制する法律は、RoHS指令やELV指令のように特定の製品に含有する有害物質を規制するものから、PCB、DDT、ダイオキシンなど人体蓄積性の有害物質の製造や使用自体が禁止されているもの、放射性物質のように廃棄が禁止されているものなど、様々なものがあります。さらに国や地域によっても差異がありますので、輸出を行う場合は自社製品の輸出国の規制をすべて網羅した自主基準を設ける必要が生じるわけです。

グリーン調達調査共通化協議会(JGPSSI)

反面、川上側のサプライヤーにとっては取引先の企業からバラバラの要求をされたのでは対応しきれませんし、川下側のセットメーカにとってもコストアップの要因になり、好ましい状況ではありません。このような状況においてセットメーカ側の有志が中心になり、グリーン調達基準の統一化を目的として「グリーン調達調査共通化協議会」が発足し、RoHS指令規制6物質にアスベストなど9物質を加えた15物質を規制するガイドラインラインが作成されています。

JIG (Joint Industry Guideline)

さらにグリーン調達調査共通化協議会は、EIA:米国電子工業会との共通ガイドラインとして、JIG (Joint Industry Guideline)を制定し、業界自主基準ながらEICTA(欧州情報通信技術製造者協会)との連携協議も進めており、グローバルスタンダードを目指しています。

グリーン購入法

一方のグリーン購入法は、環境省ウェブサイトから引用しますと「循環型社会の形成のためには、再生品等の供給面の取組みに加え、需要面からの取組みが重要であるという観点から、平成12年5月に循環型社会形成推進基本法の個別法のひとつとして国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)が制定されました。」「同法は、国等の公的機関が率先して環境物品等(環境負荷低減に資する製品・サービス)の調達を推進するとともに、環境物品等に関する適切な情報提供を促進することにより、需要の転換を図り、持続的発展が可能な社会を構築を推進することを目指しています。また、国等の各機関の取組みに関することのほか、地方公共団体、事業者及び国民の責務などについても定めています。」としていますが、環境負荷低減とは有害物質の規制ではなく、炭酸ガスの排出が少ない製品、リサイクルが容易な製品などの意味合いが強調されています。

また環境負荷低減の判定基準も数値で明確化されており、毎年公募による審査で基準を満たすと「特定調達品目」として登録され、優先調達の対象になります。同法制定から10年が経過し、環境省はさらなる推進を目指して現在キャンペーンが実施していますので、これを機会に登録を目指すのもよいかと思われます。

関連資料及び引用

注意

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