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環境関連情報

動き出したグリーン調達基準の国際化

「JIG:Joint Industry Guide Line」とは

情報発信日:2005-08-25

RoHS指令とグリーン調達基準

2006年7月1日より、EUにおけるRoHS指令によって、電気電子機器に使用されるすべての材料(適用除外はありますが)について、有害6物質の使用制限が実施される予定であり、EU加盟各国の国内法整備も当初の遅れを取り戻すべく急ピッチで進められています。

このRoHS指令に対応し、自社の製品に使用制限6物質を混入させないためには、膨大な購入部品や材料すべてのチェックを行う必要がありますが、すべてを自社のみで行おうとすると費用及び物理面で不可能に近いため、最上流のサプライヤーが下流の加工メーカに使用制限物質の不使用を保証し、これを順次最下流の電気電子機器メーカに伝達する「グリーン調達サプライチェーン構築」の考え方が、RoHS指令の根底にあります。

この「グリーン調達サプライチェーン」を確実に回すために、川下の電気電子機器メーカが上流のサプライヤーに要求する品質基準をまとめたものが「グリーン調達基準書」です。

この「グリーン調達基準書」は、本来わが国の法律である「グリーン購入法(正式名称:国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)」に基づき作成され始めたものですが、最近は明らかにRoHS指令に適応するための「グリーン調達サプライチェーン」を意識したものが多く見られるようになってきており、同じ「グリーン調達基準書」でもRoHS指令を意識したものか否かを見極める必要があります。

グリーン調達基準の問題点

最近の、電気電子機器メーカを中心とした「グリーン調達基準書」は明らかにRoHS指令を意識したものですが、RoHS指令によっては規制対象外であるものの他の法律によって規制を受けるアスベスト、トリブチル錫、フロンなどの有害物質に加えて、環境負荷物質をも自主規制しようとすることも目的としているために、各企業において規制物質の種類や閾値が異なることが往々にして起こります。したがって、RoHS指令とは無関係な「塩化ビニル禁止、クロムメッキ禁止」という要求をされるケースも発生しています。

グリーン調達基準の共通化の道

しかし、各企業が独自の基準で「グリーン調達基準」を設けていては、川上の企業が混乱し、サプライチェーンが順調に作れないことやコストアップの要因になることが懸念されていました。このような状況においてJEITA(電子情報技術産業協会)の会員を中心とした有志により作られたJGPSSI(グリーン調達調査共通化協議会)が中心になり、国内でのガイドラインともいえる「グリーン調達調査共通化ガイドライン」初版が2002年7月22日に作られ、その後2004年6月3日に改訂がなされています。

自主規制対象物質は、レベルA化学物質群15物質とレベルB化学物質群14物質の計29物質がリストアップされています。レベルA化学物質群は、国内外の法令で含有製品の販売・製品への使用に関し、禁止または制限または報告義務を受けるものです。レベルB化学物質群は、いわゆる有害物質ではありませんが、以下の対象となる化学物質と説明しています。

グリーン調達基準の国際化へ

JGPSSIは「グリーン調達調査共通化ガイドライン」による現状調査を行うと同時に、2001年の発足以来、過去3年余にわたり、欧州(EICTA:欧州情報通信技術製造者協会)や米国(EIA:米国電子工業会)とも協議を進めてきましたが、第一ステップとして、規制物質に対する考え方の近い米国EIAの一部門であるJEDEC(Joint Electro Device Engineering Council:電子部品の標準化を推進するアメリカの業界団体)との協議の結果、2005年5月26日付で電子機器における日米共同グリーン調達基準ガイドラインである「ジョイント・インダストリー・ガイドライン(JIG)」最終版を作ったと報道されました。正式名称は、The Joint Industry Guide for Material Composition Declaration for Electronic Products(Joint Industry Guide or JIG)です。

このガイドラインはあくまでもガイドラインであり、自主規制であるため個々の企業に対するグリーン調達基準の制定を妨げるものではないとしていますが、グリーン調達サプライチェーンのスムーズな構築、無駄なコストアップを避けるためには、最下流の電気電子機器メーカから中間の部品メーカ、最上流の材料メーカにいたるまでの国際標準として、業界の自主規制であるにもかかわらずRoHS指令以上の位置づけで運用される可能性が高くなったといえます。

なお、JGPSSIの「グリーン調達調査共通化ガイドライン」との相違は以下のとおり。

所感

この「ジョイント・インダストリー・ガイドライン」は対象を電子機器に限定しておりますが、周辺産業から材料メーカへの波及はもちろんのこと、他の産業への波及の可能性も高いと思われますので、ぜひ一読されることをおすすめします。

注意

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