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環境関連情報

欧州REACH規則成立・公布

2007年6月1日発効

情報発信日:2007-02-08

駐日欧州委員会代表部発表

駐日欧州委員会代表部は、2006年12月13日付で「欧州理事会にて、EUにおける新しい化学物質に関する規制であるREACH規則(Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals)が欧州議会で可決され、2007年6月1日施行に向けて、欧州理事会でその導入が最終的に決る予定であり、その欧州議会票決を歓迎する」旨のコメントを発表しました。

「REACH規制」は、2006年12月13日に欧州議会での採択後、予定どおり12月18日に欧州閣僚理事会での採択を受け成立し、12月30日に公布され、2007年6月1日から発効することが決定しました。

REACH規則とその背景

REACH規制は、現在地球上に存在する数十万種類ともいわれる既存化学物質、及び、今後開発されるであろう化学物質の安全性に関して統一的な安全性評価の基準がないことから、これを統一し環境や健康を守ることを目的として、EUが2001年に導入を提案した「新たに化学物質を規制する」ことを目的とした規制です。

REACH規則は特定された個々の化学品の排出や使用を制限するのではなく、前述したように、今後上市されるであろう新規化学物質、及び、すでにEU内の市場に出回っている約10万種類ともいわれる既存の化学物質すべてを規制対象としたうえで、それを製造・輸入する企業にリスク評価の実施を義務づけ、EU内に一元的に登録させようというものです。

REACH規則は、登録(Registration)、評価(Evaluation)、認可(Authorization)、化学品(Chemical)の頭文字をとって、REACHとよばれています。

REACH規則の対応手順

REACH規則が発効したあとの義務は、まずは既存のすべての化学物質を予備登録することにあります。これは2008年6月1日から2008年11月30日の間に行う必要があります。

その後、それぞれの化学物質の供給量や危険度に応じて、3年半、6年、11年をかけて本登録が行われることになります。具体的には以下のとおりです。

その後の運用

REACH規則の発効により、REACH規則は現在40ほどあるEUの化学物質に関する法律にとってかわり、すべての化学物質を網羅する1つの仕組みに統一されることになります。

駐日欧州委員会代表部によりますと

「REACH施行後は11年間で、現在使われている約3万ほどの化学物質の登録が義務づけられる。これにより危険物質に関する情報の不備を発見し、それらを安全に使用するためにどのような管理方法が適当か明確にすることができる。必要なデータを集め、リスク管理に必要な手法を明確にする責務は企業側にある。また、REACHはリスクがあると疑われる根拠がある物質について、さらなる評価を認め、深刻な懸念がある物質についてはその使用に関して認可制度の導入を考えている。この適用対象は不妊・遺伝的変異・先天的欠損症を引き起こす疑いのある物質、および消滅せず体内や自然界に留まり蓄積する物質である。認可制度によって安全な代替物への切り替えを企業に強く促すことになろう。実際、すべての認可申請には代替物の分析や、適当な代替物が存在する場合はそちらへの切り替え計画を含めることが義務づけられる」

「容認できないリスクが確認できた場合、REACHによってより迅速に完全な、もしくは部分的な禁止措置を講じることが可能になる。そのうえ、動物実験を最小限にとどめるための手法や、代替的な実験手段の使用を促す方策も予定されている。最後に、REACHによって化学物質のリスクについての情報が、企業および消費者に包括的に流れる仕組みが確立される」

としており、登録後の化学物質の安全性、リスク管理を企業に義務づけるものとなります。最終的には、これらの化学物質を使用する企業も、製造・輸入企業と同様に、使用する化学物質に関する安全性、リスク管理が求められますので、製造・輸入企業からの安全性データを、下流のセットメーカ及び消費者や廃棄物処理に携わる業者にまで受け継いでゆくことが求められるとみられます。

大まかな実施スケジュールが今回示されましたが、詳細な実施状況について引き続きウォッチングを行い、これらの化学物質を使用する立場の会員企業が、どの時点で影響を受け始めるのかを見きわめる必要がありそうです。なお、本REACH規則の詳細についての情報は、経済産業省や関連団体より順次流されると思われますので、新しい情報が入りしだい、迅速に皆さまにお伝えしたいと思います。

情報源・出展・参考情報

注意

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