MENU
CLOSE
HOMEHOME
工業会情報
  • 工業会情報トップ
  • 当会の組織概要
  • 会長挨拶
  • 定款
  • 競争法コンプライアンス規程
  • 企業行動憲章
  • 役員名簿
  • 2016年度事業報告書等
  • 2017年度事業報告書等
会員企業紹介
  • 会員企業紹介トップ
  • 正会員企業紹介
  • 賛助会員企業紹介
  • 会員企業商標一覧
  • 会員の技術・製品情報
  • ISO認証取得会員
バルブメーカー検索 統計 会員向け

サイトマップ|English

一般社団法人 日本バルブ工業会 JAPAN VALVE MANUFACTURERS'ASSOCIATION

サイトマップ|English

  • HOME
  • 工業会情報
  • 会員企業紹介
  • バルブメーカー検索
  • 統計
  • 会員向け
home>環境について>環境関連情報>地球温暖化>IPCC第6次報告書(WG1)を公表 #1

IPCC第6次報告書(WG1)を公表 #1

2021-09-12


~第一作業部会(WG1)が気候変動予測を報告~

1.  はじめに

IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の第54回総会及び同パネルWG1第14回会合が、2021年7月26日(月)から8月6日(金)にかけてオンラインで開催され、2013年の第5次評価報告書(AR5/WG1)以来8年ぶりとなる、AR6/WG1報告書のSPM(The Summary for Policymakers:政策決定者のための要約)が承認されるとともに、同報告書の本体や付録等が受諾されました。

IPCCはこれを受けて8月9日にSPMと13章約1300ページに渡る報告書を公表しました。今回はSPMを基に概略についてお知らせしたいと思います。

2. IPCC報告書とは

2-1. IPCC(Intergovenrmental Panel on Climate Change)とは

世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された国連の組織で各国の政府から推薦された科学者の参加のもと、地球温暖化に関する科学的・技術的・社会経済的な評価を行い、得られた知見を政策決定者や広く一般に利用してもらうことを目的として公開されます。IPCC自体は研究を行わず、世界中の文献を基に報告書を作成する組織です。3つの作業部会と1つのタスクフォースより構成され、組織は図1のとおり。

AR5_IPCCsosiki_zu
図1 IPCC組織図(出典:環境省)

2-2. IPCC報告書

IPCC報告書は1990年に第1次報告書が公表されました。その後5~7年ごとに逐次公表され、今回が第6次報告書となります。今回も通例どおり第一作業部会の「気象変動予測・自然科学的根拠」から、順次第二作業部会(影響・適応・脆弱性、2022年2月予定)、第三作業部会(気候変動の緩和、2022年3月予定)、最終的な統合報告書(2022年9月予定)が公表されます。

2-3. 過去の第一作業部会報告書の概要

過去の報告書の概要が環境省ホームページに掲載されています(図2)。


図2 これまでのIPCC(WG1)報告書の概要(出典:環境省)

3. 第6次報告書と第5次報告書概要の比較(抜粋)

今回公表された第6次報告書と2013年の第5次報告書の比較を環境省ホームページ掲載飼料から抜粋します(表1)。

表1 第6次報告書と第5次報告書の比較(出典:環境省/経済産業省)

項目

第6次報告書(WG1)2021年

第5次報告書(WG1)2013年

気候システムにおける人間の影響 ○人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。
○広範囲にわたる急速な変化が、大気、海洋、雪氷圏及び生物圏に起きている。
○気候システムの温暖化には疑う余地がない。
○気候システムに対する人間の影響は明瞭である。
温室効果ガス 2019 年
CO2:410 ppm(工業化前より約 47%高い)
CH4:1866 ppb(工業化前より約 156%高い)
N2O:332 ppb(工業化前より約 23%高い)
2011年
CO2:391 ppm (工業化前より約 40%高い)
CH4:1803 ppb(工業化前より約 150%高い)
N2O:324 ppb (工業化前より約 20%高い)
気候感度 ○平衡気候感度(ECS)の可能性が高い範囲:2.5~4℃
可能性が非常に高い範囲:2~5℃
中央値:3℃
○累積炭素排出量に対する過渡的気候応答(TCRE)*の可能性が高い範囲:0.27~0.63℃/1000 GtCO2(1.0~2.3℃/1000 PgC)
* TCRE:大気中への排出 1000 GtCO2(又は 1000 PgC)あたりの世界平均気温上昇量
○CO2 の累積排出量とそれらが引き起こす地球温暖化との間には、ほぼ線形の関係がある。
○平衡気候感度(ECS)の可能性が高い範囲:1.5~4.5℃
○累積炭素排出量に対する過渡的気候応答(TCRE)*の可能性が高い範囲:0.8~2.5℃/1000 PgC
○CO2 の累積総排出量と世界平均地上気温の応答は、ほぼ比例関係にある。
*PgC::炭素の重さに換算した二酸化炭素の量。1ぺタグラム炭素(PgC)は、二酸化炭素を構成する炭素が 1 ギガトン(10億トン)あることを表す。
カーボンバジェット
※Gtはギガトン
地球温暖化を特定のレベルに抑えるための残余CO2排出量は、
2℃以下に抑える場合
50%の確率で約 1350 GtCO2
67%の確率で約 1150 GtCO2
1.5℃に抑える場合:
50%の確率で約 500 GtCO2
67%の確率で約 400 GtCO2
地球温暖化を 1.5℃未満に抑えるための
残余CO2排出量は
50%の確率で約 580 GtCO2
66%の確率で約 420 GtCO2
気温 ○工業化前と比べた世界平均気温は、
2001~2020 年:+約 0.99℃、
2011~2020 年:+約 1.09℃
○工業化前と比べた 2011~2020 年の気温上昇は、陸域で約+1.59℃、海上で約+0.88℃
○工業化前と比べた人為起源昇温量は+約 1.07℃
○工業化前と比べた世界平均気温は、2003~2012 年:+約 0.78℃
○1880~2012年の世界平均気温上昇量は約0.85℃
降水 ○陸域の平均降水量は 1950 年以降増加しており、1980 年代以降はその速度が上昇 ○北半球中緯度の陸域平均降水量は、1901 年以降増加
熱帯低気圧 ○強い熱帯低気圧(CAT3~5)の発生割合は過去 40年間で増加(内部変動だけでは説明できない) ○強い熱帯低気圧の活動度は、1970 年以降、北大西洋で増加
海水温 ○1970 年代以降、海洋上層(水深 0~700 m)が温暖化(人間の影響が主要な駆動要因) ○海洋の温暖化は、気候システムに蓄積されたエネルギーの増加量において卓越しており、1971~2010 年の間に蓄積されたエネルギーの90%以上を占める。
○1971~2010 年の 40 年間において、気候システムにおける正味のエネルギー増加量の 60%以上は海洋の表層(0~700 m)に、約 30%は海洋の700 m 以深に蓄積

4. 概要・解説

以下、2021年8月8日付けで経済産業省が発表したSMP暫定訳より要点を抜粋・整理し、筆者の注釈を交えて記します。

4-1. 気候の現状

  • 海洋及び陸域での温暖化は人間の影響であることは疑う余地がない。そして大気、海洋、雪氷圏及び生物圏において広範囲で急速な変化が起きている。
  • 最近の気候全般の変化と規模は何世紀、何千年も前例がない。
  • 気候変動は、世界中の全ての地域で、多くの気象及び気候の極端現象に既に影響を及ぼしている。熱波、大雨、干ばつ、熱帯低気圧のような極端現象に関する証拠は人為的なものであり第5次報告時より強化されている。
  • 気候プロセス、古気候的証拠及び放射強制力の増加に対する気候システムの応答に関する知識の向上により、AR5よりも狭い範囲で、3℃という平衡気候感度の最良推定値が導き出された。

<解説>

やや難しい話になりますが、気候感度とは、地球上のCO2の濃度が2倍になったときの気温の上昇幅を示します。たとえば、上昇幅が3℃であれば、1℃の場合より3倍速く温暖化が進みますので、対策がより急がれます。

気温が上昇すると水蒸気が増えて雲ができます。雲の形や高度によって、陽射しを遮り気温の上昇を抑える雲と地表の熱を閉じ込めて気温を上昇させる雲があり、シミュレーション結果にある程度の幅がありましたが、「雲物理学」の進歩によりシミュレーション精度が高まり、過去のCO2濃度と気温変化のデータから、第5次報告書では1.5~4.5℃としていた気候感度を、今回の第6次報告書では2.5~4.0℃(最良推定値3℃)と幅を狭め、かつ値が高くなっています。このことは、地球温暖化の速度が予想より早まっていることを示します。


図3 過去に観測した気温と人的・自然起源両方の要因を考慮してシミュレーションした気温
(出典:IPCC第6次WG1報告書SPMより引用して筆者が加工)

4-2. 将来ありうる気象

  • 今世紀半ばまでCO2濃度は上昇し、向こう数十年でCO2排出量を大幅に削減しない限り、今世紀中に1.5~2℃を越える。
  • その結果、極端な高温、海洋熱波、大雨、いくつかの地域における農業及び干ばつの頻度と強度、強い熱帯低気圧の発生割合、北極域の海氷、積雪及び永久凍土の縮小が出現する。
  • 地球温暖化が進むと、世界全体の水循環が変化(降水量と乾燥現象が激しくなる)、さらに強まると予測される。

4-3. リスク評価と地域適応のための気候情報

気候的な影響駆動要因(CIDs)の同時多発的な気象の変化が増え、1.5℃より2.0℃の気温上昇の方が影響は広範囲に及ぶと予想。

4-4. 将来の気候変動の抑制

人為的な地球温暖化を特定のレベルに制限するには、CO2の累積排出量を制限し、少なくとも CO2 正味ゼロ排出を達成し、他の温室効果ガスも大幅に削減する必要がある。特にメタンの削減が必要。
以下、第6次報告書において「1850~1900 年を基準とした世界平均気温の変化を基に最新の科学により2100年までの気温変化を様々な条件下でシュミレーションした結果」を図4及び表2に示します。


図4 1850~1900年を基準とした世界気温の変化(出典:経済産業省)

表2 第6次報告書で使用される主なシナリオ(SSP)(出典:文部科学省)

シナリオ シナリオの概要 近い RCP シナリオ
SSP1-1.9 持続可能な発展の下で、工業化前を基準とする 21 世紀末までの昇温(中央値)を概ね(わずかに超えることはあるものの)約 1.5℃以下に抑える気候政策を導入。21 世紀半ばに CO2排出正味ゼロの見込み。 該当なし
SSP1-2.6 持続可能な発展の下で、工業化前を基準とする昇温(中央値)を 2℃未満に抑える気候政策を導入。21 世紀後半に CO2 排出正味ゼロの見込み。 RCP2.6
SSP2-4.5 中道的な発展の下で気候政策を導入。2030 年までの各国の「自国決定貢献(NDC)」を集計した排出量の上限にほぼ位置する。工業化前を基準とする 21 世紀末までの昇温は約 2.7℃(最良推定値)。 RCP4.5(2050 年までは RCP6.0 にも近い)
SSP3-7.0 地域対立的な発展の下で気候政策を導入しない中~高位参照シナリオ。エーロゾルなど CO2 以外の排出が多い。 RCP6.0とRCP8.5の間
SSP5-8.5 化石燃料依存型の発展の下で気候政策を導入しない高位参照シナリオ。 RCP8.5

注)SSP=第6次報告書でのシミュレーション条件と結果。RCP=第5次報告書でのシミュレーション条件と結果。RCP(Representative Concentration Pathway)シナリオとは、IPCC第5次報告書で用いられたシナリオで、代表的濃度経路に関する将来シナリオです。RCPシナリオは、IPCCの要請により開発されたものです。これは既存のSRESシナリオが更新(排出の基準年)や対象範囲の拡大(ガス種の増加、SRESで考慮されなかった450ppmCO2換算のような低濃度のシナリオなど)を必要としていたためです。(出典:環境省)

5. まとめ

(1)IPCC(国連気象変動に関する政府間パネル)第54回総会及び同パネルWG1第14回会合が、2021年7月26日(月)から8月6日(金)にかけてオンラインで開催され、ここで受諾された。同時に、2021年8月8日付けで、AR6/WG1(「気象変動予測・自然科学的根拠」)SPM(The Summary for Policymakers:政策決定者の為の要約)報告書が公表された。
(2)今後、順次第二作業部会(影響・適応・脆弱性、2022年2月)、第三作業部会(気候変動の緩和、2022年3月)、最終的な統合報告書(2022年9月)が公表される予定。
(3)今回のレポートのポイントは
a)人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。
b)世界平均気温は、本報告書で考慮した全ての排出シナリオにおいて、少なくとも今世紀半ばまでは上昇を続ける。向こう数十年の間に二酸化炭素及びその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21 世紀中に、地球温暖化は 1.5℃及び 2℃を超える。
c)気候システムの多くの変化は、地球温暖化の進行に直接関係して拡大する。この気候システムの変化には、極端な高温、海洋熱波、大雨、いくつかの地域における農業及び生態学的干ばつの頻度と強度、強い熱帯低気圧の割合、並びに北極域の海氷、積雪及び永久凍土の縮小を含む。
d)気候感度(温室効果ガス濃度の上昇と気温上昇の関係のシミュレーション)の精度が、雲物理学(水蒸気の増加による雲の種類や高度の予測)が向上した事によって、将来の温室効果ガス排出量増加と気温上昇の予測幅がより狭まり、精度が向上した。この結果から、3年前の予測より、1.5℃上昇までの期間が短縮すると予測。
以上のことから、以前の予想より温暖化の速度は早いことがわかってきた。「カーボンニュートラルの確実な達成が急がれる」と結論する。

引用・参考資料

  • AR6 Climate Change 2021:The Physical Science Basis (IPCC、2021年8月9日)
  • The Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC)
  • 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠)政策決定者向け要約(SPM)の概要(ヘッドライン・ステートメント)暫定訳 (経済産業省、2021年8月8日)
  • IPCC AR6 特別報告書 (環境省)
  • 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の公表について (文部科学省、2021年8月9日)
  • 20年以内、1.5度に上昇 対策した場合も IPCC報告書 (朝日新聞デジタル、2021年8月10日)
  • (時時刻刻)「人間が生んだ危機」断定 気候影響、数千年続くと予測 (朝日新聞デジタル、2021年8月10日)
  • 「1.5度上昇して異常気象避けられず」とIPCC報告書 「人類への警鐘」重く受け止め対策強化を (サイエンスポータル、2021年8月13日)
  • 気候危機、人類へ厳戒警報 経験のない変化、この先何世代も IPCC報告書 (朝日新聞デジタル、2021年8月15日)
  • 影響は数千年、人類へ「厳戒警報」 IPCC報告を読む (朝日新聞デジタル、2021年8月15日)
  • 温暖化予測でカギ握る「気候感度」 IPCC報告、精緻に (Web版日本経済新聞、2021年8月18日)
  • 解説:「共通社会経済経路(SSP)」で未来の気候変動を探る<日本語版> (Carbon Brief、2021年7月28日)
  • IPCC組織の概要 (環境省)
  • 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)サイクル (環境省)
  • 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第I作業部会報告書(自然科学的根拠)の公表について (環境省、2021年8月9日)
  • 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書(AR5)サイクル (環境省)
  • Fifth Assessment Report (IPCC)
  • IPCC第5次評価報告書の概要-第1作業部会(自然科学的根拠)- (環境省)

注意

  • 無断で本情報を二次使用すること及び転載することを禁じます。
  • 本情報は不確実な情報が含まれる可能性がありますので、本情報を利用される場合は参考文献及び引用先の情報も合わせてご覧のうえ、自己の責任において判断をお願いします。
  • 英文による引用・参考資料部分においては、英語の専門家でない筆者が仮和訳していますので、本情報を重要な場面で利用される場合は、引用先の原文を参考に自己責任にて判断願います。
  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

地球温暖化(環境関連情報)

  • 2022
  • 2021
  • 2020
  • 2019
  • 2018
  • 2017
  • 2016
  • 2015
  • 2014
  • 2013
  • 2012
  • 2011
  • 2009
  • 2008
  • 2006
  • 2005
  • 2003
ページトップ

個人情報保護方針|特定個人情報の適正な取扱いに関する基本方針

一般社団法人日本バルブ工業会

〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館510 アクセス地図  TEL: 03-3434-1811

Copyright © Japan Valve Manufacturers' Association. All rights reserved