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環境関連情報

REACH規則における高懸念物質 #2

情報発信日:2011-03-22

REACH規則における高懸念物質について

EUにおける総合的な化学物質管理規制であるREACH規則におけるSVHC物質とは、同規則の付属書XIV (Candidate List)に収載されたSubstances of Very High Concern(高懸念物質)であり、欧州に輸出する、または欧州域内で生産する製品の構成部品である成形品中に少なくとも1種類以上の高懸念物質(SVHC)を含み、その濃度が0.1重量%以上の場合には、成形品の供給者は欧州化学品庁(ECHA)に届出を行うとともに、サプライチェーン下流の顧客が利用可能な「成形品を安全に使用するための十分な情報」を顧客(消費者)から要求を受けた場合には45日以内に提供する義務を負います。

但し、その生産量または輸入量が1トン/年未満の場合、または他の業者が同一用途について既に登録している場合は免除。

従って、EU域内に自社製品を輸出する場合には付属書XIV (Candidate List)に収載された物質の含有/非含有を把握し、含有している場合には欧州化学品庁(ECHA)に届出の義務があるか否かを確認し、必要に応じて届出を行う必要があります。

「含有しているかどうか判らない」はもはや通りません。含有していないなら「含有していない」、含有しているなら「含有していることを届け出る」ことが明確に求められます。

現在REACH規則の付属書XIV(Candidate List)に収載されているSVHC物質は46種類

SVHC物質は2008年10月に15物質が認可候補物質として付属書XIVに収載され、以降も以下に示す通り、順次追加が行われ2011年2月末現在では46種類に達しています。さらに、2011年2月に7物質が候補物質として提示されており、不都合がある場合には2011年7月4日までにコメントすることができます。

付属書(Candidate List)に収載されているSVHC物質の詳細

付属書(Candidate List)に収載されているSVHC物質は上述のとおり現在46物質ですが、将来的には数千物質にも及ぶともいわれていますので、常に注意を払って行くことが重要になります。しかしながら、化学物質の名前は例えば身近なところでも「炭酸ガス」「二酸化炭素」と二つの名前があるように、英名、和名、慣用名など数種類の名前があることが多く(現在、世界で統一する動きがありますが)、専門家でないと含有/非含有の判断がつかない場合も多々あると思いますので、CAS番号という識別番号で確認するのが良いと思います。また、ほとんど聞いたことがない物質でも、添加剤などの成分として製品に混入することがしばしばありますので、注意が必要です。

今回は2009年1月30日付けの本コラムで説明した15種類のSVHC物質が逐次追加され、現在46種類の収載物質及び収載候補物質に挙がっている7種類、計53物質について、和名、略称、俗称、別名など、CAS番号、主な用途などを記載した一覧表を作成しましたので、皆様方のご参考になれば幸いです。

第1次REACH規則SVHC特定15物質(2008年10月) 第2次REACH規則SVHC特定14物質(2010年1月) 第3次REACH規則SVHC特定8物質(2010年6月) 第4次REACH規則SVHC特定8物質(2010年12月) 第5次REACH規則SVHC<追加候補>7物質(2011年2月)

上記表中のSVHC(Substances of Very High Concern)にリスト化される「理由」の略語は以下の通り。

まとめ

今後もますます、化学物質の使用規制は厳しく、また、規制対象物質の種類も増えて行き、手作業で含有量の計算など行ってゆくのは困難になると思います。REACH規則の追加SVHC物質の情報は、以降も都度レポートして行きたいと思いますが、一日も早く化学物質の管理システムの構築を始められることを強くお勧めします。

引用・参考資料

注意

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