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home>環境について>環境関連情報>飲料水・水資源>水道法改正案を閣議決定

水道法改正案を閣議決定

2017-09-20

~水道事業の広域化促進と民間企業参入への道~

はじめに

2017年3月7日付けWEB版日本経済新聞は「水道の広域化促進へ法案改正を閣議決定」と報じました。法案の骨子は、人口の減少、過疎化に伴い市町村が手掛ける水道事業の赤字化、施設の老朽化、人的不足などの解消を目的とし、統合・広域化を促進する水道法の改正を行うとするものです。

これを受けて、厚生労働省は2017年3月7日付けで第193回通常国会に原案を提出しましたが、6月18日閉会となったため、6月16日の衆議院本会議にて継続審議となりました。

以上の状況を見る限り、妥当な改正案であると思われますが、以前より議論がなされています「水道事業の民営化」に関して、厚生労働省が公開している「水道法の一部を改正する法律案の概要」の第4項において「官民連携の推進」「地方公共団体が、水道事業者等としての位置付けを維持しつつ、厚生労働大臣等の許可を受けて、水道施設に関する公共施設等運営権※を民間事業者に設定できる仕組みを導入する。」(※公共施設等運営権とは、PFIの一類型で、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を地方公共団体が所有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式)と水道事業の民営化を可能とする項目が謳われています。

過去、鉄道、通信、郵政、高速道路など多くの公共事業が民営化されてきましたが、水道事業については直接我々の健康、安全や生命に関わる事業であり賛否両論があります。そこで、今回は世界の水道事業の現状とともに、水道民営化に伴うメリットとデメリットなどについて、述べてみたいと思います。

 

飲料水に関する日本と世界の現状

 

現在世界の人口は60~70億人と推定されています。そのうち生活する上で安全な水を得ることが出来ない人は5億人とも10億人とも言われていますが、図1の資料の解説では12億人が安全な水を利用出来ないとしています。

このうち、特にアフリカや中国では深刻な状況に陥っている状況が見てとれます。

 

また、生活排水やし尿、家畜のし尿、工業廃水、農漁業廃水、廃棄物等よりの適切な汚水処理などの衛生設備を利用出来ない人は、図2に示す通り、24億人と全世界の人口の約40%弱にものぼります。

これも、アフリカや中国、東南アジア中南米地域などが不衛生な地域と言えます。

 

世界の水資源問題

世界保健機関(WHO)及び国連児童基金の2013年版資料による世界の水に関する現状と将来予想される問題点を整理すると、

○世界60億人のうち、
・12億人が安全な飲料水を得ることが出来ない。
・24億人が下水道などの衛生設備を使えない。
・年間200万人の子供が水に由来する病気で死亡している。

○2000年に60億人を突破した世界の人口は、2025年には80億人に達すると予想されている。
○これに伴って、世界の水需要も大幅に増加し、伸び率37%に達するとの予測もある。
○河川は複数の国家間を流れていることから、水の問題は国家間の紛争の原因となることもある。
○「20世紀は石油紛争の時代だったが、21世紀は水紛争の時代になる」(セラゲルディン;元世界銀行副総裁)

 

日本の生活用水(水道用水)使用量の変遷

・水道用水使用量は、人口増加と生活水準の向上とが相まって、最近35年間で約3倍に増加
・一人一日あたりの平均使用量も家庭用風呂、水洗トイレの普及などに伴い増加
・一人一日あたりの平均使用量は近年ほぼ横ばい傾向
・家庭では、風呂、トイレ、炊事、洗濯での利用が大半

 

 

世界の水道民営化と安全な水の状況

 

表1に示す世界の主要な水道会社の給水人口の合計は4億5,000万人程度です。その他を含めても5~6億人程度で世界の人口約73億人(2016年現在推定)からすると少ないように思われますが、国土交通省が発表している『平成16年版「日本の水資源」(概要版)』によると、世界で水道水が飲める国は、何と以下の15ヶ国しかありません。①フィンランド、②スウェーデン(ストックホルム)、③アイスランド、④アイルランド、⑤ドイツ、⑥オーストリア、⑦日本、⑧クロアチア、⑨スロベニア、⑩アラブ首長国連邦、⑪南アフリカ、⑫モザンビーク、⑬レソト、⑭オーストラリア(シドニー)、⑮ニュージーランド。その他にも、イギリス、アメリカ、スペイン、オランダ、デンマーク、シンガポール、ベルギー、カナダ、フランスなども衛生面では水道水が飲めるとされてはいますが、日本と比べてミネラル分の多い硬水であるため、下痢をする場合があると言われており、その他の国と同様に、ペットボトルの水を買って飲む方が安全と言えます。

 

表1 世界の主要な水道事業会社(出典:厚生労働省他2006)

企業名 国 主要株主 給水人口
ONDEO フランス Suez (100%) 1億2,000万人
Veolia Water フランス Veolia Environment(旧Vivendi) (100%) 1億1,000万人
Thames Water 英国 RWE (100%) 4,300万人
Aguas Barcelonas スペイン ONDEO / Suez / Endesa (24.3% / 1.5% / 11.8%) 3,500万人
SAUR フランス Bouygues (100%) 3,100万人
United Utilities 英国 ロンドン株式市場上 2,800万人
Severn Trent Water 英国 ロンドン株式市場上 2,200万人
American Water Works 米国 RWE (100%) 1,300万人
Anglian Water Group 英国 ロンドン株式市場上 1,200万人
Canal de Isabel II スペイン マドリード市(100%) 1,200万人
ACE イタリア ローマ市/ ミラノ株式市場上場(51%/49%) 1,200万人
Berlinwasser ドイツ ベルリン市/ Vivendi / RWE (50% / 22.5% / 22.5%) 1,200万人

 

水道の民営化のメリット・デメリット

古くより日本の水道事業は市町村が担ってきましたが、冒頭にも述べた通り、人口の減少、過疎化に伴い、市町村が手掛ける水道事業の赤字化、施設の老朽化、人的不足などが問題となってきました。近い将来、安全な水道水を供給出来なくなる市町村が出て来る可能性があります。このため、厚生労働省は、水道の広域化を推進しようとしていますが、約40兆円とも言われている我国の水道施設の多くは高度経済成長時代に整備されたもので、これらの施設は老朽化が進み更新の時期を迎えつつあります。しかしながら、多くの市町村では水道料金を安く抑えて来た事により、更新工事を行うための予算捻出が難しい状況にあると言われています。

このような状況において、民営化により民間資本の導入や効率的な事業運営を行い、需要者の金銭面の負担を軽減しつつ水道事業の継続を行おうとすることが水道民営化の狙いと言えます。

○一般的に言われている「水道民営化のメリット」

今回の水道民営化は「コンセッション方式」で行われる予定ですが、コンセッション方式により民営化のメリットは以下の項目が挙げられています。

・市町村における既存債務の削減
・財政負担の少ない水道事業の維持
・経済合理性に基づいた経営の効率化
・マーケットリスクの移転
・顧客サービスの向上

NPO法人全国地域PFI協会によると、コンセッション方式とは「高速道路、空港、上下水道などの料金徴収を伴う公共施設などについて、施設の所有権を発注者(公的機関)に残したまま、運営を特別目的会社として設立される民間事業者(以下、SPC)施設運営を行うスキームを指します。SPCは、公共施設利用者などからの利用料金を直接受け取り、運営に係る費用を回収する、いわゆる「独立採算型」で事業を行う事になります。

『独立採算型』事業では、SPCが収入と費用に対して責任を持ち、ある程度自由に経営を行うことができます。例えば、「利用者の数を増やすことによる収入の増加や、逆に経営の効率化による運営費用の削減といった創意工夫をすることで、事業の利益率を向上させることが可能です」と述べています。

このように行政(Public)が行う各種行政サービスを、行政と民間(Private)が連携(Partnership)し、民間の持つ多種多様なノウハウ・技術を活用することにより、行政サービスの向上、財政資金の効率的使用や行政の業務効率化等を図ろうとする考え方や概念を、PPP: Public Private Partnership(パブリック・プライベート・パートナーシップ)と呼びます。

また、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法でPPPの考え方を行政として実現するための手法の一つを、PFI: Private Finance Initiative(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)と呼び、PFIの導入により、事業コストの削減、及び、より質の高い公共サービスの提供を目指します。PFIは民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律「PFI法」として規定されており、厚生労働省による今回の改正案においても述べられています。

1989年に水道を民営化し「成功例」と言われているイギリスでは、以下のメリットがあるとしています。

・資金を株式市場から調達することが可能となった
・設備投資額が拡大した
・事業運営コストが減少した
・断水件数が 13 万件から 1.1 万件に減少した
・水質基準への不適合が 1/100 から 1/700 に減少した
・漏水が減少した
・利用者サービスが向上した

○一般的に言われている「水道民営化のデメリット」

一方、水道の民営化の失敗例や、再公営化の事例も報告されていますので、自治体と委託先との契約がしっかり締結されることが重要になると言えます。

一般的に言われるデメリットは、

・水道料金の値上げ・高騰
・水質の低下
・委託事業会社の株主への高配当、役員への高報酬
・海外資本による安全の支配

民営化の成功例と言われる英国においても20年間で45%も水道料金が値上がりしました。

民間企業は合理化を追求する一方で利益を得る事を目的とした団体ですので、水道料金については市町村との間で何らかの制約を設ける必要がありますが、その制約が強すぎると水質の低下や需要者へのサービス低下につながる場合もありますし、表1に示したような海外の水メジャーが参入して来た場合には、海外資本によるライフライン支配、思うような運営が出来ない場合の容赦ない撤退などが懸念材料になると考えられます。

 

まとめ

人口の減少、過疎化に伴い市町村が手掛ける水道事業の赤字化、施設の老朽化、人的不足などの解消を目的とし「水道の広域化」及び「民営化」を目的として水道法の改正法案が厚生労働省より提案され、閣議決定を経て、現在国会で継続審議となっていますが、世界及び日本の水道事情と賛否両論のある水道の民営化について考えてみました。

 

引用・参考資料

・水道の広域化促進へ法改正案を閣議決定 (日本経済新聞、2017年3月7日)
・改正水道法と水道事業におけるPFI (株式会社潮技術コンサルタント、2006年2月14日)
・水道法の一部を改正する法律案(平成29年3月7日提出) (厚生労働省、2017年3月7日)
・水道法の一部を改正する法律案の概要 (厚生労働省、2017年3月7日)
・水道の国際化 (厚生労働省、2006年12月26日)
・水資源に関する世界の現状、日本の現状 (国土交通省)
・東南アジアにおける水 PPP 事業の成功・失敗要因分析 (一橋大学)
・水道民営化のメリット・デメリット (思索器官)
・PFIについて/コンセッション方式とは何か (NPO法人全国地域PFI協会)
・PPP・PFI事例紹介 (NPO法人全国地域PFI協会)

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