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home>環境について>環境関連情報>飲料水・水資源>改正水道法が2019年10月1日に施行

改正水道法が2019年10月1日に施行

2019-08-19

~改正の背景と概要及び長所・短所の整理~

はじめに

2018年12月12日に公布された改正水道法「水道法の一部を改正する法律(平成30年法律第92号)」が2019年10月1日より施行されます。

今回の水道法の改正は、2017年9月20日付け本コラム「水道法改正案を閣議決定~水道事業の広域化促進と民間企業参入への道~」でも述べましたが、最大のポイントは「水道関係者の責務の明確化」と「水道の広域化」及び「水道民営化」をより強力に推進する点にあるといえます。

この改正法が2019年10月1日より施行されます。一般の認知度はあまり高くはないようです。しかし、反面、水道が民営化されることによって、「水道料金が高騰するのでは」「水質が低下するのでは」「外国資本によって民営化された場合にはライフラインを押さえられるのでは」といった不安を語る方も多いようです。

一口に「水道の民営化」といっても色々な手法があり、海外、特に欧州では公営化、民営化、再公営化、再民営化と行ったり来たりを繰り返す場合もあるようです。
そこで、今回は改正水道法の背景と概要、及び、民営化の際の色々な方法や一長一短などについて、おさらいを含めて、まとめてみました。

今回の水道法が改正されるに至った背景

今回の水道法が公布された背景に、水道行政における4つの大きな問題点が指摘されています。以下、厚生労働省の資料より引用。

(1)人口減少社会の到来

・日本の人口変動に対応して、有収水量は2000年の39,000㎥/日をピークに減少に転じ、2010年に36,000㎥/日、2030年に32,000㎥/日(予想)、2050年に25,000㎥/日(予想)と急激な減少が予想されている。
・水道事業は、独立採算制を旨としており、原則水道料金で運営されているが、人口減少に伴い給水量が減少し、水道事業の収益が減少することによって水道事業の経営状況は厳しくなってくる。
・経営状況の悪化により、施設の更新など必要な投資が行えず、老朽化が進行。
・また過度なコスト削減に伴う水道職員の削減による体制の弱体化により、水道施設の維持管理が困難となり、漏水等の事故が増加するなど、水道サービスの低下が懸念される。

①約40年後には、人口は約3割減少(約8,600万人)
②水道料金収入の基礎となる水需要も約4割減少

 

(2)管路等の老朽化の進行・更新の遅れ

・水道管路は、法定耐用年数が40年であり、高度経済成長期に整備された施設の更新が進まないため、管路の経年化率 (老朽化) は、ますます上昇すると見込まれる。

①全ての管路を更新するには130年以上かかる想定。
②耐震適合率は37.2%にとどまり、大規模災害時には断水が長期化するリスク。
③施設の稼働率は年々低下している。(S40年度=約100% → H26年度=約70%)

 

図1 水道管路の老朽化率と管路更新率(出典:厚生労働省)

(3)自然災害による水道被害の多発

表1 近年の主な自然災害と水道被害・最大断水日数(出典:厚生労働省)

(4)水道事業に携わる職員数の減少

・水道事業に携わる職員数は、ピークと比べて3割程度減少しており、特に小規模事業では職員数が著しく少ない。
・今後は、経営基盤、技術基盤の強化のため、近隣水道事業との広域化や官民との連携などにより水道事業を支える体制を構築する必要がある。

①組織人員削減、団塊世代の退職により、職員数は約30年前の3割減
②特に中小規模の事業体において、職員の高齢化も進行。

表2 水道事業における職員数推移と職員数の規模別分布(出典:厚生労働省)

その結果、

必要な水道料金原価の見積もり不足のおそれ
・約3割の水道事業体において、給水原価が供給単価を上回っている(原価割れ)
⇒これらの課題を解決し、将来にわたり、安全な水の安定供給を維持していくためには、水道の基盤強化を図ることが必要。
⇒併せて、所在確認の取れない指定給水装置工事事業者の排除、無届工事や不良工事の解消も課題

 

改正の要点

  • 改正のポイントは5つです。
    (1)水道関係者の責務の明確化
    (2)広域連携の推進
    (3)適切な資産管理の推進
    (4)官民連携の推進
    (5)指定給水装置工事事業者制度の改善

上述したように、現状を放置した場合、施設・管路の老朽化、職員数の減少、水道収入の減少により、水道事業が成り立たなくなることが危惧されます。

このような状況において「水道の広域化」が一つの解決法としても検討がなされ、実際に26道府県で協議会が発足していますが、料金や財政状況、施設整備水準等の事業体間格差が大きく、実現するまでに至っていません。

また、現状の水道法においても、民間との連携はPFI法に基づき、施設の所有権を地方公共団体が所有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定することは可能ですが、実施は料金徴収やメーター検針などの業務が多く、水道事業そのものを委託する状況はほとんど進んでいないようです。

表3 関係者の責務の明確化及び広域連携の推進(出典:厚生労働省)

現状・課題

 

改正後
・高度成長期に整備された水道施設の老朽化
・人口減少による給水人口、給水量の減少による料金収入の減少
・団塊世代の退職による水道職員の大幅減少
・水道普及率97.9%、未普及地域への水道整備は必要だが既存水道の基盤強化が課題。
・全国1,388上水道事業体のうち、給水人口5万人未満の小規模事業者が952と約70%弱を占めており経営面ノスケールメリットが出す事が出来ず広域連携の推進が必要であり都道府県が推進役として役割が期待。

・法律の目的における「水道の計画的な整備」を「水道の基盤強化」に変更。
・国、都道府県、市町村、水道事業者などに対し、「水道の基盤強化」に関する責務を規定。
・特に都道府県には水道事業者などの広域連携化の推進役としての責務を規定。
・国は、水道の基盤を強化するための基本方針を定める。
・都道府県は水道の基盤を強化するため必要があると認めるときは、水道基盤強化計画を定めることができる。
・都道府県は、水道事業者等間の広域的な連携の推進に関して協議を行うため、水道事業者等を構成員として、広域的連携等推進協議会を設置できる。

 

表4 官民連携の推進

現状・課題

 

改正後
・水道事業は、原則として市町村が経営するものとされている。(第6条)
・一方で、水道の基盤の強化の一つの手法としてPFIや業務委託等、様々な形の官民連携に一層取り組みやすい環境を整えることも必要。
・現行制度においても、PFI法に基づき、施設の所有権を地方公共団体が所有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定することは可能。
・ただし、施設の運営権を民間事業者に設定するためには、地方公共団体が水道事業の認可を返上した上で、民間事業者が新たに認可を受けることが必要。
・地方公共団体から、不測のリスク発生時には地方公共団体が責任を負えるよう、水道事業の認可を残したまま、運営権の設定を可能として欲しいとの要望。

・最低限の生活を保障するための水道の経営について、市町村が経営するという原則は変わらない。
・一方で、水道の基盤強化には官民連携が有効
・多ような官民連携の選択肢を広げるため、地方公共団体が水道事業者等としての位置付けを維持しつつ、水道施設の運営権を民間事業者に設定できる方式を創設
・具体的には、地方公共団体はPFI法に基づく議会承認等の手続を経るとともに、水道法に基づき、厚生労働大臣の許可を受けることにより、民間事業者に施設の運営権を設定。

 

水道民営化のための色々な方式

一口に「水道を民営化する」といっても、表5に示すように種々の方式があります。

表5 民営化のための色々な取組み(出典:厚生労働省)

業務分類(委託方式) 制度の概要 実施例
個別委託(従来型業務委託) ・民間事業者のノウハウ等の活用が効果的な業務についての委託
・施設設計、水質検査、施設保守点検、メーター検針、窓口・受付業務など
854箇所(489事業体)
個別委託(包括委託) ・従来の業務委託よりも広範囲にわたる複数の業務を一括して委託 307箇所(111事業体)
第三者委託
(民間業者に委託する場合と他の水道事業体に委託する場合がある)
・浄水場の運転管理業務等の水道の管理に関する技術的な業務について、水道法上の責任を含め委託 民 間:172箇所(46事業体)
事業体:15箇所(9事業体)
DBO 注1) ・施設の設計・建設・運転管理などを包括的に委託 4箇所(4事業体)
PFI 注2) ・公共施設の設計、建設、維持管理、修繕等の業務全般を一体的に行うものを対象とし、民間事業者の資金とノウハウを活用して包括的に実施する方式 12箇所(8事業体)
公共施設等運営権方式(コンセッション方式)
※PFIの一類型
水道施設の所有権を公共が有したまま、民間事業者に当該施設の運営を委ねる方式 今回の改正で規定

注1) DBO:(Design Build Operate)公共が資金調達を負担し、設計・建設、運営を民間に委託する方式

注2) PFI:(Private Finance Initiative)公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、
経営能力及び技術的能力を活用する方式

民営化によるメリットとデメリット

(1)一般的に言われている「水道民営化のメリット」

  • 今回の水道民営化は「コンセッション方式」で行われる予定ですが、コンセッション方式による民営化のメリットは以下の項目が挙げられています。
    ・市町村における既存債務の削減
    ・財政負担の少ない水道事業の維持
    ・経済合理性に基づいた経営の効率化
    ・マーケットリスクの移転
    ・顧客サービスの向上
  • コンセッション方式は「高速道路、空港、上下水道などの料金徴収を伴う公共施設などについて、施設の所有権を発注者(公的機関)に残したまま、特別目的会社として設立される民間事業者(以下、SPC)が施設運営を行うスキームを指します。
    1989年に水道を民営化し「成功例」と言われているイギリスでは、以下のメリットがあるとしています。
    ・資金を株式市場から調達することが可能となった
    ・設備投資額が拡大した
    ・事業運営コストが減少した
    ・断水件数が 13 万件から 1.1 万件に減少した
    ・水質基準への不適合が 1/100 から 1/700 に減少した
    ・漏水が減少した
    ・利用者サービスが向上した

(2)一般的に言われている「水道民営化のデメリット」

  • 一方、水道の民営化の失敗例や、再公営化の事例も報告されていますので、自治体と委託先との契約がしっかり締結されることが重要になるといえます。
    ・水道料金の値上げ・高騰
    ・水質の低下
    ・委託事業会社の株主への高配当、役員への高報酬
    ・海外資本による安全の支配
  • 民営化の成功例と言われる英国においても、20年間で45%も水道料金が値上がりしました。このため、料金改定には契約の中で何らかの制約を設ける必要があるといえます。
    ただし、民間企業は利益を追求する団体ですので、制約が強すぎると水質の低下、需要者へのサービス低下につながる場合もありますし、最悪の場合は容赦ない撤退もあり得ますので、十分な協議による契約が必要といえます。

まとめ

(1)2018年12月12日に公布された改正水道法「水道法の一部を改正する法律(平成30年法律第92号)」が2019年10月1日より施行されます。
(2)今回の改正の背景は、高度成長期に整備された水道施設の老朽化、人口減少による給水人口、給水量の減少による料金収入の減少、団塊世代の退職による水道職員の大幅減少など、このままでは多くの水道事業体、特に全体の70%弱を占める小規模水道事業者(人口5万人以下)は近い将来、立ち行かなくなる可能性があり、今回、「事業基盤の強化」、「事業の広域連携」と「官民連携」を主な柱とする改正が行われます。
(3)広域連携や民営化については、現行法でも実施可能ですが、今回は、空港、高速道路など料金徴収を行う場合の施設の所有権を公共が有したまま、民間事業者に当該施設の運営を委ねる「コンセッション方式」を追加し、より導入を促進できるようにしました。
(4)一般的には、民営化のデメリットが強調され反対する意見も多いようですので、今回は改正の背景や概要について、また民営化のメリット、デメリットについて述べてみました。

引用・参考資料

  • 水道法改正に向けて~水道行政の現状と今後のあり方~ (厚生労働省、2017年8月21日)
  • 水道法の改正について (厚生労働省、2018年12月12日)
  • 水道法改正法 よくあるご質問にお答えします(FAQ) (厚生労働省、2019年1月10日)
  • 水道法改正「知らない」63.1%だが水道の疲弊は進む (Yahooニュース、2019年7月29日付け:橋本淳司)
  • 水道法改正 運営責任と金が民間に (Yahooニュース、2018年11月23日付け:橋本淳司)
  • 水道民営化 賛成する自治体、反対する自治体 (Yahooニュース、2018年12月11日付け:橋本淳司)
  • 改正水道法 (日本水道協会、2019年7月23日更新版)
  • 水道法改正案を閣議決定~水道事業の広域化促進と民間企業参入への道~ (日本バルブ工業会、2017年9月20日)

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