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home>環境について>環境関連情報>全般・法律など>EUにおける環境基本戦略 #1

EUにおける環境基本戦略 #1

2021-01-12

~「欧州グリーンディール」とは~

はじめに

EU委員会は、2020年10月14日付けで「委員会から欧州議会、評議会、欧州経済社会評議会、および地域委員会への連絡」と題して、「毒性のない環境に向けた持続可能性のための化学物質戦略」(Chemicals Strategy for Sustainability Towards a Toxic-Free Environment)を発表しました。

これは、2019年12月13日に発表したEUの環境基本計画である「欧州グリーンディール」(European Green Deal)を実現するための8つの戦略のうちの1つである「化学物質に対する戦略」と位置付けられます。

EUは2050年に「温室効果ガス排出量をゼロ」にし「持続可能な経済への転換」を図るために、地球温暖化防止、有害化学物質対策、循環型経済や生物多様性保全など基本的な戦略として「欧州グリーンディール」を策定しました。

この「欧州グリーディール」は、EUが今後どのようなタイムスケジュールで種々の環境戦略を進めて行くのかを知る上で大変重用なものと思われます。例えば化学物質規制についてどのような考え方によって、次にどのような手を打ってくるのか、最終的にどのような着地点を目指しているのかなどを予測する上でも興味深いものと言えます。

そこで、今回2020年10月14日付けで発表された前述の「毒性のない環境に向けた持続可能性のための化学物質戦略」を読み解く前に、この戦略の基となっている「欧州グリーンディール」を理解した方がよいと思われますので、当月はこちらを優先して解説したいと思います。「毒性のない環境に向けた持続可能性のための化学物質戦略」については次月以降に解説します。

 

欧州グリーンディールとは

欧州グリーディールの最終目的は「現在の経済を持続可能なものに変革すること」にあります。

その構図を図1に示しますが、EUは次の8つの戦略を基本として示しています。※以下の(1)~(8)は筆者によるEUホームページの要約

1)温室効果ガス排出量大幅削減 (2030年△50~55%、2050年△100%)
 最も重要と位置付けているのは、言うまでもなく温室効果ガス排出量の削減にあり、1900年レベルに対して2030年までに50~55%削減、2050年には実質排出量ゼロを目標に置く。
 この目標を設定した理由は、気候変動防止はもちろんだが、生物多様性の損失、オゾン層破壊、水質汚染、都市ストレスなどの環境問題を解決するためであり、さらには廃棄物の生成など現状の化石燃料をエネルギーとして使用する事は多くの環境問題を引き起こしていると考える。

(2)温室効果ガス排出量削減のため、安価でクリーンなエネルギーの供給
 経済活動におけるエネルギー消費による温室効果ガスの排出量は全体の75%以上を占めており、これをいかに安価でクリーンなエネルギーに切り替えるかが重要。

(3)クリーンな循環型経済構築のための産業の動員
 a)気候に中立で循環型の経済を実現するには、産業の完全な動員が必要。
 b)これは持続可能で労働集約的な経済活動を拡大する機会である。
 c)新たな循環型経済行動計画として2020 年3 月、欧州委員会はEU の産業戦略を策定した。
 d)特に鉄鋼、化学薬品、セメントなどのエネルギー集約型産業はバリューチェーンを形成しており、EUにおける重要な経済を担っているが、脱炭素化と近代化が重要と位置付ける。
 e)また行動は、特に繊維、建設、エレクトロニクス、プラスチックなどの資源集約型産業にも焦点を当てる。

(4)エネルギーと資源の効率的な使用
 a)建物の建設、使用、及び、改修には、かなりの量のエネルギーと鉱物資源が使用される。
 b)建物の消費エネルギーは全消費エネルギーの40%を占めている。
 c)建物の建築、改修、使用における資源とエネルギーの効率的利用の促進。
 d)建物のエネルギー性能に関する法律を施行する。

(5)持続可能でスマートな移動(輸送)手段への移行
 a)輸送におけるエネルギー消費がEUでは温室効果ガス排出量の1/4を占めている。
 b)道路で運ばれる内陸貨物の75%のかなりの部分が鉄道と内陸水路にシフトされる。
 c)欧州航空輸送の単一化。
 d)持続可能な代替輸送燃料の生産と展開を強化。

(6)農場から食卓まで安全で健康的な食料供給システムの設計
 食料の生産により大気、水質、土壌汚染をもたらし、生物多様性と気候変動の損失に寄与し、過剰な量の天然資源を消費する。また、相当量の食品ロスを産む。低品質な食品は癌や肥満など健康を損なう。人口増加により、この傾向は強まる。
 a)持続可能な食品政策の策定への道を切り開く。特に農漁業における持続可能な食料消費を刺激。
 b)食料生産における化学肥料と抗生物質使用量削減。

(7)生態系と生物多様性の回復及び保全
 生態系は、食料、淡水、清浄な空気、避難場所などの不可欠なサービスを提供する。
 気候変動の結果として、森林生態系はますますストレスにさらされている。
 a)2020 年 3 月までに生物多様性戦略を策定。
 b)持続可能な「ブルーエコノミー(海洋経済)」の推進。

(8)有害物質のない環境汚染ゼロの追求
 有害物質のない環境を創出するには、汚染の発生を防ぐためのより多くの行動と、それを浄化し改善するための対策が必要。
 a)2021年に大気、水、土壌に対する汚染ゼロ行動計画を採択


図1 EUの「グリーンディール」(出典:EU委員会、2019年12月11日、筆者作成)

 

全てのEUの政策は「持続可能性」を主流に置く

ここも、筆者によるEUホームページからの要約となります。

(1)グリーンファイナンスと投資を追求し、公正な移行を確保する
 現在2030年の気候・エネルギー目標を達成するためには、追加の年間投資2600億ユーロ(33兆200億円)が必要になることが推定される(EUの2018年GDPの1.5%程度)。
 a)持続可能な経済のための投資を維持して行くことが重要。
 b)持続可能なヨーロッパ投資計画。
 c)民間セクターの財務および資本の流れをグリーン投資に向けさせ、座礁資産を回避させる。
 民間企業の多くは短期的な財務実績に焦点を当てているが、気候や環境に関する対応状況など非財務情報を積極的に開示させることにより、持続可能な経済活動へ移行するように誘導させる。
 そのための政策として「非財務報告指令」「EUグリーンボンド基準」などを検討。

(2)国家予算をグリーン化優先に
 国家予算編成における公共投資、予算の消費、課税の優先順位において「グリーン化」「持続可能経済」を優先する。


図2 グリーンディールの戦略骨子(出典:EU委員会資料より筆者が作成)

(3)グリーンテクノロジーへの研究投資
 「欧州グリーンディール」の目的を達成するには、新しいテクノロジー、持続可能なソリューション、破壊的イノベーションが不可欠。
 クリーンテクノロジーにおける競争上の優位性を維持するために、EUはセクター間および単一市場全体での新技術の大規模な展開と実証を大幅に増やし、新しい革新的なバリューチェーンを構築する必要がある。
 a)国家を越えたEU水平研究の実施と欧州イノベーション評議会による資金提供。
 b)気候変動、海洋、都市、土壌への適応研究。
 c)バッテリー、クリーン水素、低炭素製鋼、循環バイオベースセクター、構築環境、輸送に関する研究。

(4)教育と訓練の活性化
 学校、トレーニング機関、大学は、移行を成功させるために必要な変更について、生徒、保護者、および、より広いコミュニティと交流するのに適した場所にある。
 欧州委員会は、気候変動と持続可能な開発に関する知識、スキル、態度の開発と評価を支援するための欧州の能力フレームワークを準備する。また、サポート資料を提供し、教師トレーニングプログラムのEUネットワークでの優れた実践の交換を促進する。

「欧州グリーンディール」達成のためのロードマップと行動

 「欧州グリーンディール」達成のためのロードマップを表1に示します。

表1 「欧州グリーンディール」に関するコミュニケーションの付属書 ロードマップ-主要なアクション
(出典:欧州グリーディール附属書を筆者和訳)

行動 指示スケジュール
気候の目標
2050年の気候中立目標を祀るヨーロッパの「気候法」に関する提案 2020年3月
責任ある方法でEU2030の気候目標を少なくとも50%および55%に引き上げる包括的な計画 2020年夏
排出権取引システム指令の見直しに続いて、気候変動への野心の高まりを実現するための関連する立法措置の改正案。努力分担規制; 土地利用、土地利用の変化および林業規制。エネルギー効率指令、再生可能エネルギー指令、CO 2車やバンのための排出性能基準 2021年6月
エネルギー税指令の改正案 2021年6月
選択されたセクターの炭素境界調整メカニズムの提案 2021年
気候変動への適応に関する新しいEU戦略 2020/2021
クリーンで手頃な価格の安全なエネルギー
最終的な国家エネルギーおよび気候計画の評価 2020年6月
スマートセクター統合のための戦略 2020年
建築部門のための「リノベーションウェーブ」イニシアチブ 2020年
欧州横断ネットワークの評価とレビュー–エネルギー規制 2020年
洋上風力発電に関する戦略 2020年
クリーンで循環型経済のための産業戦略
EU産業戦略 2020年3月
持続可能な製品イニシアチブを含み、繊維、建設、電子機器、プラスチックなどの資源集約型セクターに特に焦点を当てた循環経済行動計画 2020年3月
エネルギー集約型産業部門における気候中立および循環製品のリード市場を刺激するためのイニシアチブ 2020年から
2030年までにゼロ炭素製鋼プロセスをサポートする提案 2020年
バッテリーと循環経済に関する戦略的行動計画を支援するバッテリーに関する法律 2020年10月
立法廃棄物改革を提案する 2020年から
持続可能でスマートなモビリティ
持続可能でスマートなモビリティのための戦略 2020年
代替燃料インフラストラクチャの一部としての公共の充電および給油ポイントの展開をサポートするための資金提供の呼びかけ 2020年から
さまざまな輸送モードのための持続可能な代替燃料の生産と供給を後押しするための立法オプションの評価 2020年から
複合輸送に関する指令の改訂された提案 2021年
代替燃料インフラストラクチャ指令と欧州横断ネットワークのレビュー–輸送規制 2021年
鉄道と内陸水路の容量を増やし、より適切に管理するためのイニシアチブ 2021年から
内燃機関車のより厳しい大気汚染物質排出基準の提案 2021年
共通農業政策のグリーン化/「ファーム・トゥ・フォーク」戦略
欧州グリーンディールとファーム・トゥ・フォーク戦略の野心に関連した、国家戦略計画案の検討 2020-2021
「ファーム・トゥ・フォーク」戦略 2020年春
化学農薬の使用とリスク、および肥料と抗生物質の使用を大幅に削減するための、立法を含む措置 2021年
生物多様性の保全と保護
2030年のEU生物多様性戦略 2020年3月
生物多様性の損失の主な要因に対処するための措置 2021年から
新しいEU森林戦略 2020年
森林破壊のないバリューチェーンを支援するための措置 2020年から
毒性のない環境への無公害の野心に向けて
持続可能性のための化学物質戦略 2020年夏
水、空気、土壌のゼロ汚染行動計画 2021年
大規模な産業施設からの汚染に対処するための措置の改訂 2021年
すべてのEU政策における持続可能性の主流化
ジャスト・トランジション・ファンドを含むジャスト・トランジション・メカニズムの提案、および持続可能なヨーロッパ投資計画 2020年1月
新たな持続可能な金融戦略 2020年秋
非財務報告指令のレビュー 2020年
加盟国およびEUのグリーン予算慣行をスクリーニングおよびベンチマークするためのイニシアチブ 2020年から
環境とエネルギーの州の援助ガイドラインを含む、関連する州の援助ガイドラインのレビュー 2021年
グリーンディールの目的に沿ってすべての新しい委員会のイニシアチブを調整し、イノベーションを促進する 2020年から
欧州グリーンディールの実施における有効性を低下させる一貫性のない法律を特定して是正するための利害関係者 2020年から
欧州学期における持続可能な開発目標の統合 2020年から
グローバルリーダーとしてのEU
EUは引き続き国際的な気候と生物多様性の交渉を主導し、国際的な政策の枠組みをさらに強化する 2019年から
加盟国と協力してEUのグリーンディール外交を強化する 2020年から
パートナーに行動を促し、行動と政策の比較可能性を確保するための二国間努力 2020年から
西バルカンのグリーンアジェンダ 2020年から
協力する–ヨーロッパの気候協定
欧州気候協定の発足 2020年3月
第8回環境行動プログラムの提案 2020年

※赤字は筆者がキーワードと考える項目

まとめ

(1)2019年12月13日付けでEU委員会は環境基本計画である「欧州グリーンディール」(European Green Deal)を発表。
(2)この「欧州グリーンディール」は「未来のために持続可能な経済へと変革する」ことを目標として設定。
(3)概要は図1に示す8つの戦略より構成される。
(4)最も重要と位置付けるのは気候変動対策として1900年代と比べ2030年に50~55%、2050年の温室効果ガス排出量100%の削減。気候変動により影響を受ける生物多様性や森林対策の実施。
(5)その他、エネルギーや資源の高効率使用と再生可能エネルギーへの転換、有害化学物質対策、健全な農漁業と食の安全確保。
(6)そのためのグリーン資金の確保及び既存資金の流れ変更や教育などの実施。
(7)具体的な施策とロードマップは表1参照。
(8)「欧州グリーンディール」のもう一つの狙いは、EUを環境政策リーダーと位置付けることで国際的な発言力を高め、資金の流れを呼び込むことなどをもくろむ。
(9)「欧州グリーンディール」は今後30年間を睨んだ持続可能な経済への転換を目指す基本戦略とロードマップを示すものと位置付けられるので、我が国においても企業経営の参考となる資料と考える。

引用・参考資料

  • COMMUNICATION FROM THE COMMISSION TO THE EUROPEAN PARLIAMENT, THE COUNCIL, THE EUROPEAN ECONOMIC AND
  • OCIAL COMMITTEE AND THE COMMITTEE OF THE REGIONS (EU委員会、2020年10月14日)
  • 同上の附属書 (EU委員会、2020年10月14日)
  • A European Green Deal (EU委員会、2019年12月11日)
  • COMMUNICATION FROM THE COMMISSION “The European Green Deal” (EU委員会、2019年12月11日)
  • 欧州グリーンディール(仮訳) (公益財団法人地球環境戦略研究機関)
  • EU 無毒な環境に向けた持続可能性のための化学物質戦略の公表を受けて (東京環境経営研究所、2020年11月24日)
  • Mobilizing Industry for Environmental Action (UNIDO: 国連工業開発機関)
  • European Green Deal Call: €1 billion investment to boost the green and digital transition (EU委員会、2020年9月17日)
  • European Green Deal (Wikipedia)

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