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home>環境について>環境関連情報>全般・法律など>世界の機関投資家が注目するCDPレポートとは

世界の機関投資家が注目するCDPレポートとは

2020-09-23

~気候変動、水、森林で企業をESG評価する~

はじめに

2020年6月29日付けのWeb版「日経ESG」が、「気候変動で日本企業の評価急上昇-CDPが気候変動、水、森林の結果を発表-」と題する記事を掲載しました。

この記事によると、「2019年のCDP気候変動、水セキュリティ、森林の結果が発表された。日本企業はTCFDへの対応が浸透し、気候変動では躍進したが、森林は低迷した。」とし、さらに「CDPは2020年1月から4月にかけて、気候変動、水セキュリティ、森林への企業の取り組みを採点した2019年の結果を発表した。気候変動では過去最高の38社が最高評価のAリストに選ばれ、国別の数で1位になった。水セキュリティでAを得たのは23社と19年の8社から急増。森林のA評価は1社にとどまった。」と述べています。

「CDP」については、本コラム2015年5月24日付け企業における水資源のリスクと管理 #1~世界の投資家が注目する「CDPウオーター」とは~で解説していますが、「運用資産総額が約96兆米ドルに達する525の機関投資家」を背景として、世界の有力な企業に対してアンケート調査を行い、その結果によって企業をランク付けするCDPとはどのような機関であるのか。おさらいを含め、2019年度の結果の概要、2020年度のアンケート内容などについて解説したいと思います。

筆者注)
TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures) とはG20の要請を受け、金融システムの安定化を図る国際的組織である金融安定理事会(FSB)によって気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するため2016年に設立されたタスクフォース。日本名「気候関連財務情報開示タスクフォース」

CDPとは

「CDP(旧名称:Carbon Disclosure Project)」は2000年に英国で発足した国際NGO組織で、ロンドンに本部事務所を置き、英国では公認慈善事業、米国ではNPO(非営利組織)として認められています。英国、米国、フランス、スウェーデン、オランダ、オーストラリアの6カ国政府から支援を受けて活動し、米英以外にも日本を含む11の拠点を世界に有しています。

活動目的は、気候変動の防止、天然資源の保護などによる、持続的な経済発展の支援などです。

このCDPは毎年世界の数千社に及ぶ有力企業に対して「気候変動」「水の安全保障」「森林破壊」に関する機会と脅威に関するアンケート調査を行い、これを数値化して企業を評価・公表する活動を継続しています。

CDPからアンケートを受領した企業は、かなりの高率でこのアンケートに回答していますが、その背景には、運用資産総額が約95兆7000億ドル(2019年現在)にものぼる、約530の機関投資家からの要求があるためです。

CDPアンケート

2019年、日本においては資産総額上位の企業に対してアンケートを配布し、以下のとおり回答を得ました。

気候変動 水の安全保障 森林破壊、生物多様性
配布数 回答数 配布数 回答数 配布数 回答数
500 316 (63%) 320 194 (61%) 152 42 (28%)
A評価38社 A評価23社 A評価1社

1.気候変動に関するアンケート (日本版) 結果の概要と集計例

アンケート配布数500社、回答数316社(63%)。最高のA評価を受けた企業数は38社、国別で世界1位。2位はアメリカ、3位はフランス。

表1 気候変動に関するアンケート(日本版)集計例 (出典:CDP報告書を参照)

企業名 2019
スコア
2018
スコア
Scope1
排出量
Scope2
排出量
Scope3
排出量
SBT
設定
カーボンプライシング施策 インターナル・カーボンプライシング シナリオ
分析導入
A社 D F 22379 L: 363391 0 No No No –
B社 A B 48280 L: 93188
M: 93039
18 Approved YES No 2years
C社 C C 17018 L:17142 13 No No No 定性
D社 F F – – – – – – –

【備考・解説】
■Scope1、Scope2、Scope3
Scope1排出量: 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出量<燃料の燃焼、工業プロセス>。
Scope2排出量: 他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出量。L=GHGプロトコルが定義したロケーション基準で算定された排出量、M=マーケット基準で算定された排出量
Scope3排出量: Scope1、Scope2以外の間接排出<事業者の活動に関連する他社の排出。
Scope1~3の詳細はこちら参照

■SBT(Science Based Targets Initiative)
企業による温室効果ガス(GHG)の削減目標が、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書(AR5)に記述されているように、地球の気温上昇を産業革命前の気温と比べて2℃未満に維持するために必要な脱炭素化のレベルと一致させるための設定・認証の有無。Approved=SBTとして認定されている、2years=2年以内に設定予定。SBTの詳細はこちら参照。

■カーボンプライシング及びインターナル・カーボンプライシング
Yes=カーボンプライシング施策の対象、2years=2年以内に対象予定、No=現在対象になっておらず、2年以内にも対象となる見込みなし

■シナリオ分析導入
定量・定性:シナリオ分析をビジネス戦略に定量的・定性的に用いている
定量:シナリオ分析をビジネス戦略に定量的に用いている
定性:シナリオ分析をビジネス戦略に定性的に用いている
2 years::現在導入していないが、2年以内に導入予定と回答、No::現在導入しておらず、2年以内に導入する見込みもないと回答

2.水の安全保障(日本版)結果の概要と回答集計例

アンケート配布数320社、回答数192社(61%)。最高のA評価を受けた企業数は23社 (2018年は8社)
ビジネスに実質的なインパクトを与える可能性のある水関連機会が特定された企業の割合(149/201; 74%)
バリューチェーンとのエンゲージメントを行っている企業の割合(131/172;76%)
水に関連する課題について取締役会レベルで監督を行っている企業の割合(174/201; 87%)
ビジネスに実質的なインパクトを与える可能性のある水関連リスクが特定された企業の割合(142/201; 71%)
水に関する定量的な目標と定性的なゴールの両方を設定している企業の割合(148/201; 74%)

表2 水の安全保障に関するアンケート(日本版)集計例(出典:CDP報告書を参照)

企業名 2019スコア 2018スコア 水ストレスの高い取水源の割合 水リスクにさらされている施設 水に関連する機会の認識 水問題を監督している取締役 バリューチェーンでのエンゲージメント対象 気候変動に関するシナリオ分析による水の課題の特定をしたか 水に関する目標設定 の対象
施設数 割合 第三者検証
E社 B C 18% 4 1-25% なし Yes(r) 取締役会 サプライヤー 水に関連 事業、
社全体
F社 A – B – 0% リスクなし No CEO サプライヤー 2年以内 社全体
/施設
G社 B F 19% 1 1-25% なし Yes(r) CEO 顧客/その他 水に関連 事業
H社 F F – – – – – – – – –

【備考・解説】
■回答しなかった企業名も公表し、評価はF
■水に関連する機会の認識
Yes(r):機会を認識し、実感している
Yes:機会を認識しているが、まだ実感はしていない
No:機会を認識していない

3.森林破壊、生物多様性(日本版)結果の概要と回答集計例

最高のA評価を受けた企業数は1社のみ。配布数152社、回答数42社(28%)。

表3 森林破壊に関するアンケート(日本版)集計例(出典:CDP報告書を参照)

企業名 2019スコア 2018回答 森林関連リスク評価の実施 森林課題を含む方針の策定 森林課題についての取締役会レベルでの監督頻度 林伐採/劣化を防止するコミットメントの策定 一次サプライヤーと協働しているコモディティ 二次サプライヤーと協働しているコモディティ 第三者検証の実施
木材 パーム油 畜牛品 大豆
I社 C C – – AQ Yes Yes 複数 Yes – – No
J社 – A – B DP Yes Yes 複数 Yes P P,S Yes
K社 C B- – C SA Yes Yes 複数 Yes T,P,S,R – ※

【備考・解説】
■K社は「より良い検証基準/プロセスが出来次第」と回答
■2018回答のAQ:回答、DP:回答辞退、NR:無回答、SA:グループ親会社が回答
■畜牛品とは家畜として飼育されている牛からの産品

 

まとめ

(1)CDP(旧名称:Carbon Disclosure Project)」とは国際NGO組織で2000年に英国で発足した。目的は、気候変動の防止、天然資源の保護などによる、持続的な経済発展の支援を行うこと。
(2)CDPは毎年1回「運用資産総額約96兆米ドルに達する525の機関投資家を代表して」世界の有力企業に対して「気候変動」、「水の安全保障」、「森林破壊・生物多様性」の三つのテーマに関して、機関投資家からの関心事項を企業に対するアンケートとして作成・送付し回答結果を数値化して企業を評価・公表している。
(3)機関投資家が企業に投資を行う際に財務諸表と共に、このアンケート評価結果を参考にしている。
(4)アンケートが送付されなかった企業も自主回答する事も可能であるが有償。
(5)アンケートに対して回答しなかった企業名も公表される。
(6)2019年度分の結果は2020年1~4月に公開された。
(7)気候変動関連では最高評価Aを獲得した企業が38社と急速に増え、世界第一位となった(第二位はアメリカで35社、第三位はフランスで22社)、水の安全保障では23社(2018年度は8社)、森林破壊・生物多様性では1社のみ。
(8)水の安全保障や森林破壊は気候変動と関連性が高く、特に気象変動による洪水や干ばつなど影響が大きい。
(9)気象変動分野で日本企業が良い評価を受けている理由としてSBT認証を受ける企業が増えている事に起因すると推定。
(10)現在日本ではアンケート対象企業は「気候変動」に関して500社、「水の安全保障」に関しては320社、「森林破壊」に関しては152社をCDPが選択している。
(11)対象企業は年々増加傾向にあるので、将来に備え現在公開されている2020年版アンケートを閲覧しておくことを推奨します。2020年版はこちらより。

引用・参考資料

  • 気候変動で日本企業の評価急上昇-CDPが気候変動、水、森林の結果を発表- (日経ESG、2020年6月29日)
  • 企業における水資源のリスクと管理 #1~世界の投資家が注目する「CDPウオーター」とは~ (日本バルブ工業会、2015年5月26日)
  • 企業における「気候関連財務情報開示」の流れ~ESGの先、TCFD提言とは~ (日本バルブ工業会、2019年7月17日)
  • 最近の経営のキーワード「ESG経営」「SDGs」とは~今、経営に求められている方向性~ (日本バルブ工業会、2018年10月25日)
  • 多様化するESG情報開示基準~本命と言われ始めたSASBスタンダードについて~ (日本バルブ工業会、2020年2月27日)
  • 2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #6~グローバル企業が次々と打ち出す「SBT」とは~ (日本バルブ工業会、2017年7月26日)
  • CDP 気候変動 レポート 2019:日本版 (CDP日本、2020年3月12日)
  • CDP フォレスト レポート 2019:日本版 (CDP日本、2020年4月14日)
  • CDP 水セキュリティ レポート 2019:日本版 (CDP、2020年4月24日)
  • CDP questionnaires 2020 (CDP)
  • 【環境】2019年CDPレポート〜気候変動・ウォーター・フォレストでAリスト入りした企業〜 (Sustainable Japan、2020年2月8日)
  • 2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #7 ~温室効果ガス算定の国際基準GHGプロトコルScope3とは~ (日本バルブ工業会、2017年8月22日)
  • 2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #6 ~グローバル企業が次々と打ち出す「SBT」とは~ (日本バルブ工業会、2017年7月26日)

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