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home>環境について>環境関連情報>大気汚染>地球温暖化による気候変動の今

地球温暖化による気候変動の今

2020-07-14

~「インド洋ダイポールモード現象」との関連~

はじめに

(2019年9月~2020年2月オーストラリア森林火災多発)
防災システム研究所のレポート等によると、オーストラリアでは2019年9月から2020年2月にかけての高温と干ばつにより大規模な森林火災が多発し、日本の国土面積の約半分にも及ぶ1,700万ヘクタールが消失しました。これによる建物被害は5,900棟以上、死亡した人は29人、哺乳類、鳥類、爬虫類など10億匹以上の生命が失われたと推定されています。しかも、生息地が焼失してしまったことから、餌や生息域の確保が困難になり、生き残った動物たちも絶滅が危惧されています。特に、火災の被害が大きかったニューサウスウェールズ州では5万匹いたと推定されたコアラのうち3万匹が死んだと言われています。

(2020年6月中国揚子江沿岸大洪水)
日本ではあまりニュースになっていませんが、JBpress(2020年6月26日付け)、その他が報じるところによると、中国において80年に一度といわれる大豪雨が20日以上続き、それによって「世界最大の三峡ダムが決壊するのでは」とまで危惧されるほど揚子江沿岸において大規模洪水が発生し、2000万人もの人々が被災するといった被害が出ているようです。

(2020年6月中東、アフリカ、南米のバッタ大量発生)
また、JORNALニッケイ新聞(2020年6月25日付け)や2020年6月21日WIREDなどによると、2020年は一見気象変動とは関係がなさそうに思えるバッタの大量発生が南米、アフリカ、中東、南アジアの広域で続いており、数千万匹から数億匹とも推定されるバッタの群れが移動しながら全ての作物や植物を食べ尽す事態に見舞われ、新型コロナウイルスの感染拡大と洪水などと相まって深刻な状況が起きています。

図1 中東、アフリカ、インド方面におけるバッタの大群発生と移動(出典:Googlemapに筆者が加筆)

図2 南アメリカにおけるバッタの大群発生と移動(出典:Googlemapに筆者が加筆)

(2020年6月北極圏シベリアで過去最高の気温38℃を記録)
さらには、NATIONAL GEOGRAPHIC(2020年6月25日付)によると、2020年6月20日、北極圏に位置するロシア、シベリアの町ベルホヤンスクで、気温が過去最高の38℃を記録したことを報じています。このことは「単に高い気温を記録した」という事実だけではありません。シベリアの大地を覆う、太陽の熱を反射して寒冷な気候を保つ白い雪が例年より1ヶ月も早く溶け出し、黒い土は太陽の熱を吸収しますので、ますます高温傾向が促進されることになります。

2019年末からの記録的な暖冬発生や夏の高温現象が発生している我国の気象も、上記の異常気象やバッタの大量発生も一見無関係に思えますが、最近になって関連性があるということがわかってきました。

近年、世界的な異常気象を起こすことで良く知られている現象として、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなる「エルニーニョ現象」、平年より低くなる「ラニーニャ現象」があります。

今回は、このエルニーニョ現象やラニーニャ現象と似た現象がインド洋でも起こり「インド洋ダイポールモード現象」と呼ばれ、上述したようなな一連の異常気象を引き起こすことがわかってきました。

地球温暖化がこのインド洋ダイポールモード現象の発現と関連性があるのではという研究もあり、今回はこのインド洋ダイポール現象とエルニーニョ/ラニーニャ現象の概要と、それに伴う異常気象との関連などについて述べてみたいと思います。

エルニーニョ/ラニーニャ現象
ニュースで時々耳にするエルニーニョ現象とラニーニャ現象ですが、これらの現象が発生すると太平洋沿岸地域を含む世界的に異常気象が起こる事がわかっています。

地球は常に赤道付近で気温が高く、両極で低い温度分布となっています。気温の高い地域では、空気が軽くなるため、水蒸気を含んだ上昇気流が発生し低気圧となります、逆に中緯度地域ではその気流が下降し高気圧となります。これに地球の自転の動きが加わり、中緯度地域では西から東へ向かって常に風が吹いています。これを「偏西風」といいます。

逆に、赤道付近では東から西へ風が吹きますがこれを「貿易風(偏東風)」と呼びます。

図3には偏西風と貿易風を模式的に書き入れましたが、実際には流れる緯度が移動したり、蛇行したりすることによって、世界の気象が大きく影響を受けます。

1997年11月に発生した「エルニーニョ現象」
太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて
海面水温が平年より高くなり、それが1年程度続く現象

1988年12月の月平均海面水温平年偏差

1988年12月に発生した「ラニーニャ現象」
逆に、海面水温が平年より低くなる現象

図3 エルニーニョ現象とラニーニャ現象(出典:気象庁の資料を一部筆者が加筆)

気象庁によると、貿易風が何らかの原因によって、平年より強く吹くようになったり、弱く吹くようになったりする結果、海水温が変化すると考えられています。

図4 エルニーニョ/ラニーニャ現象に伴う太平洋熱帯域の大気と海洋の変動(出典:気象庁)

むずかしい気象上の説明は省きますが、エルニーニョ/ラニーニャ現象が発生した場合には、以下のような変化があります。

図5 エルニーニョ現象が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム(出典:気象庁)

(エルニーニョ現象が起きた場合の日本付近の気象影響)
・夏季は太平洋高気圧の張り出しが弱くなり、気温が低く、日照時間が少なくなる傾向があります。(冷夏)
・西日本の日本海側では降水量が多くなる傾向があります。(豪雨)
・冬季は西高東低の気圧配置が弱まり、気温が高くなる傾向があります。(暖冬)
・台風の発生は少なくなるが、発生した場合は強い台風となり、秋に発生した場合は寿命が長い傾向

図6 ラニーニャ現象が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム(出典:気象庁)

(ラニーニャ現象が起きた場合の日本付近の気象影響)
・夏季は太平洋高気圧が北に張り出しやすくなり、気温が高くなる傾向があります。(猛暑)
・沖縄・奄美では南から湿った気流の影響を受けやすくなり、降水量が多くなる傾向があります。(台風、豪雨)
・冬季は西高東低の気圧配置が強まり、気温が低くなる傾向があります。(寒い冬、豪雪)
・台風の発生位置が、平常時に比べて西にずれる傾向がある(夏は北に、秋は西にずれる傾向がある)

エルニーニョ/ラニーニャ現象が発生すると、世界の多くの国において豪雨・洪水と干ばつなどの異常気象が発生します。
地球温暖化の影響がこのエルニーニョ/ラニーニャ現象の発生や強度に影響を与えているか否かは、両説があり、未だ明確な証拠はないようです。

インド洋ダイポールモード現象

エルニーニョ現象とラニーニャ現象

インド洋ダイポールモード現象

貿易風が弱まり暖かい海水が東に留まる
図7 エルニーニョ現象
 
貿易風が強まり暖かい海水が西に移動
図8 正のインド洋ダイポールモード現象
 
図9 平常時(赤道付近)
 
図10 平常時(インド洋)
 
貿易風が強まり暖かい海水が西に移動
図11 ラニーニャ現象
貿易風が弱まり暖かい海水が西に留まる
図12 負のインド洋ダイポールモード現象

※図7~図12の出典は国立研究開発法人海洋研究開発機構「Blue Earth 海と地球の情報誌第29巻第6号」

エルニーニョ現象とインド洋ダイポールモード現象では海水温の上昇は東西が逆になります。

  強く吹く 弱く吹く
太平洋赤道付近の貿易風(偏東風)が ラニーニャ現象
暖かい海水が西に移動する
エルニーニョ現象
暖かい海水が東に留まる
インド洋で貿易風(偏東風)が 正のインド洋ダイポールモード現象
暖かい海水が西に移動
負のインド洋ダイポールモード現象
暖かい海水が東に移動

 

図13 正のインド洋ダイポールモード現象が起きた場合の気象変化
(出典:国立研究開発法人海洋研究開発機構「Blue Earth 海と地球の情報誌第29巻第6号」)

インド洋ダイポールモード現象は1999年頃に国立研究開発法人海洋研究開発機構の山形俊男らによって認識され、エルニーニョ/ラニーニャ現象とは独立した現象であるが、エルニーニョ/ラニーニャ現象を誘発するとも言われています。このインド洋ダイポール現象が発生すると図9に示すように地中海、アフリカ、オーストラリアから日本までの広範囲で異常気象が発生することがわかってきました。

また、このインド洋ダイポールモード現象が最近は頻発し、かつ長期化する傾向が強くなってきており、地球温暖化との関係が議論されるようになってきましたが、まだいろいろな議論があり、結論が出るまでには至っていないようです。

しかし、地球温暖化の影響で各海洋における海水温は確実に上昇しているため、エルニーニョ/ラニーニャ現象やインド洋ダイポールモード現象が起こった場合には、より広範な異常気象が発生すると推定されます。

まとめ

(1) 1999年国立研究開発法人海洋研究開発機構の山形俊男らによって、インド洋において、エルニーニョ/ラニーニャ現象と類似した大気海洋現象であるインド洋ダイポール現象が1~2年程度の周期で秋から冬に起きることが発見された。
(2) エルニーニョ/ラニーニャ現象もインド洋ダイポール現象も、何らかの原因により、貿易風や偏西風の流れ方や強弱などに影響を受けて、海水温の上昇や下降が起きることにより、世界的な異常気象を引き起こすと考えられている。
(3) ただし、海水温の分布様式はエルニーニョ現象とは東西逆である。
(4) エルニーニョ/ラニーニャ現象とインド洋ダイポール現象は独立した現象と考えられるが、インド洋ダイポール現象がエルニーニョ/ラニーニャ現象を誘発する場合もあるとする説もある。
(5) インド洋ダイポール現象には正と負の現象がある。貿易風が強く吹いた場合は「正」、弱まった場合が「負」
(6) インド洋ダイポール現象は2年連続で発生することはまれであるが、2006~2008年は3年連続、2012~2013年は2年連続で発生した。
(7) 正のインド洋ダイポールモード現象が発生すると、図9に示すように大規模な異常気象が発生する。負のインド洋ダイポールモード現象が発生した場合の日本への影響は明確ではない。
(8) 冒頭に述べた、オーストラリアの大規模な森林火災多発、日本の記録的な暖冬、2020年の世界各地の大規模なバッタの発生、中国における80年に一度と言われる、三峡ダム決壊も危惧されるほどの豪雨と大洪水など一見関連が無さそうな異常気象が、インド洋ダイポールモード現象による影響であると判明し、その存在が一躍有名になった。
(9) 異常気象は、バッタの大量発生や森林火災による生物多様性への影響も多大である。
(10) エルニーニョ/ラニーニャ現象とインド洋ダイポール現象の地球温暖化との因果関係はまだはっきりしていないが、地球温暖化による海水温上昇や気温の上昇による降雨量の増大、偏西風や貿易風への影響は確実に大きくなると考えられるので、エルニーニョ/ラニーニャ現象とインド洋ダイポール現象が発生した場合の異常気象もより大きくなると推定され、今後のさらなる研究が期待される。

引用・参考資料

  • 地球温暖化がインド洋ダイポールモード現象に及ぼす影響 (国立研究開発法人海洋研究開発機構)
  • 2019年スーパーインド洋ダイポールモード現象の予測成功の鍵は熱帯太平洋のエルニーニョモドキ現象 (国立研究開発法人海洋研究開発機構、2020年4月6日)
  • JAMSTEC Blue Earth:海と地球の情報誌第29巻,第6号 「気候変動を予測して先手を打つ」  (国立研究開発法人海洋研究開発機構)
  • Vol.07 “猛暑列島”の原因?インド洋ダイポールモード現象 (エネルギーフロントライン)
  • “地中が燃える” 豪森林火災の脅威~異常気象のリスク~ (NHKクローズアップ現代、2020年1月30日)
  • 2019年~2020年/オーストラリア森林火災 (防災システム研究所)
  • アフリカはいま、「バッタの大群・洪水・パンデミック」の三重苦に襲われている (WIRED、2020年6月21日)
  • 《南米》バッタの大群襲来に怯えるウルグアイ=パラグアイ、アルゼンチンに大被害 (JORNALニッケイ新聞、2020年6月25日)
  • バッタ大量飛来 軍を動員して駆除 農作物被害拡大 パキスタン (NHKニュース、2020年6月22日)
  • バッタ大量発生、数千万人に食料危機の恐れ、東アフリカ 作物を食い荒らす被害が急速に深刻化、春に迫る「最悪の大量発生」 (NATIONAL GEOGRAPHIC、2020年2月25日)
  • インド洋の海面水温異常「過去最強」 豪森林火災、アフリカ・バッタ大量発生の一因に (web版毎日新聞、2020年2月13日)
  • 日本の「超暖冬」とアフリカの「バッタ大量発生」に共通の原因があった (web版週刊現代2020年3月12日)
  • 記録的な暖冬、「インド洋ダイポールモード現象」影響か・・・日本付近の偏西風が北にずれる (読売新聞オンライン、2020年4月15日)
  • 「80年に一度の大洪水」中国で大雨1000万人超が被災  (テレ朝ニュース、2020年6月15日)
  • 長江大洪水、流域住民が恐怖におののく三峡ダム決壊 (JBpress、2020年6月26日)
  • 中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか (web版Newsweek、2020年7月6日)
  • 地球温暖化による生物多様性への影響  (環境省、平成22年版環境・循環型社会・生物多様性白書)
  • インド洋ダイポール現象とは? (国立研究開発法人海洋研究開発機構)
  • 北極圏で前代未聞の38℃を記録、何を意味する?さらなる高温化へ、負のスパイラルはすでに加速している (NATIONAL GEOGRAPHIC、 2020年6月25日)
  • 北極は数十年で4℃上昇、温暖化は加速モードに危険な2℃シナリオの行方、「北極の声に耳を傾けよ」と研究者 (NATIONAL GEOGRAPHIC、2019年1月10日)
  • エルニーニョ/ラニーニャ現象とは  (気象庁)
  • インド洋ダイポールモード現象 豪の森林火災と日本の暖冬 (Yahooニュース、気象予報士・片山由紀子)
  • 梅雨入りとインド洋ダイポールモード現象 (Yahooニュース、気象予報士・片山由紀子)
  • ダイポールモード現象の長期変調と地球温暖化の関係 (日本学術振興会、東京大学大学院教授・山形俊男)

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