ECHA(欧州化学品庁)は2023年1月17日付けで、“Candidate List of substances of very high concern for Authorisation”(高い懸念のある認可対象候補物質「SVHC候補物質」のリスト)を更新し、新たに9物質(6物質+3物質群)を追加しました。これにより、2023年1月17日現在、SVHC候補物質は233物質(群)となりました。
1 |
物質名 |
英名 |
1,1′-[ethane-1,2-diylbisoxy]bis[2,4,6-tribromobenzene] (BTBPE)
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和名
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・1,1′-[エタン-1,2-ジイルビスオキシ]ビス[2,4,6-トリブロモベンゼン] (BTBPE)
・1,2-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン
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CAS RN |
37853-59-1 |
物質の詳細 |
ECHA資料(1) |
構造式 |
出典:ECHA |
収載理由 |
vPvB(非常に持続性があり、生体蓄積性が非常に高い)第57条(e) |
主な用途など |
・難燃剤および熱可塑性樹脂の添加剤。(アクリロニトリル ブタジエン-ポリスチレン (ABS)、耐衝撃性ポリスチレン (HIPS)樹脂。電子機器、電気製品、および一部の建設資材が含まれます。)
※REACH規則に登録なし |
備 考 |
・化審法:新規公示化学物質(2011年3月31日以前届出)
・米国:有害物質規制法(TSCA)インベントリ収載、Flag(T)
・韓国:化評法( K-REACH): 既存化学物質
・台湾:TCCSCA/OSHA:既存化学物質
・その他(省略)
出典:(独)製品評価技術基盤機構NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP |
2 |
物質名 |
英名 |
2,2′,6,6′-tetrabromo-4,4′-isopropylidenediphenol (TBBPA) |
和名 |
・2,2′,6,6′-テトラブロモ-4,4′-イソプロピリデンジフェノール (TBBPA)
・2,2’-ビス(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジブロモフェニル)プロパン
・テトラブロモビスフェノールA |
CAS RN |
79-94-7 |
物質の詳細 |
ECHA資料(2) |
構造式 |
出典:ECHA |
収載理由 |
発がん性 第57条(a) |
主な用途など |
臭素系難燃剤:(主な用途は以下)
エポキシコーティングされた回路基板、プリント基板、プリント配線板(PWB)、紙、織物 |
備 考 |
・化審法:既存化学物質、旧第三種監視化学物質
・安衛法:ラベル表示・SDS交付義務対象物質
・水質汚濁防止法:指定物質
・米国:有害物質規制法(TSCA)インベントリ収載、Flag(T)
・RoHS指令:制限候補物質
・その他(省略)
出典:(独)製品評価技術基盤機構NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) |
3
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物質名
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英名
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4,4′-sulphonyldiphenol (BPS)
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和名
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・4,4′-スルホニルジフェノール (BPS)
・ビスフェノールS
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CAS RN
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80-09-01
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物質の詳細
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ECHA資料(3)
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構造式
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出典:ECHA
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収載理由
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・生殖毒性 第57条(c)
・内分泌攪乱特性 第57条(f) -環境
・内分泌かく乱特性 第57(f)条-人間の健康
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主な用途など
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感熱紙、皮革製品、再生紙などに使用。染色助剤,難燃剤、写真用カプラー原料
ポリエーテルスルホン(PESU)ポリマー、合成なめし剤(Syntans)(皮革生産におけるなめし用など)、およびポリマーの製造に使用。
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備 考
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・化審法:既存化学物質、旧第二種監視化学物質
・水質汚濁防止法:指定物質
・米国:有害物質規制法(TSCA)Flagなし
・韓国:化評法(K-REACH)、既存化学物質
・台湾:TCCSCA/OSHA、既存化学物質
・その他(省略)
出典:(独)製品評価技術基盤機構NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
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4 |
物質名 |
英名 |
Barium diboron tetraoxide |
和名 |
・四酸化二ホウ素バリウム
・ビス(ジオキソホウ酸)バリウム
・メタホウ酸バリウム |
CAS RN |
13701-59-2 |
物質の詳細 |
ECHA資料(4) |
構造式 |
出典:ECHA |
収載理由 |
生殖毒性 第57条(c) |
主な用途など |
PVCトラック用シート、電線のコーティング。
防錆塗料、コーティング剤、シンナー、塗料剥離剤。
難燃剤 |
備 考 |
・化審法:既存化学物質
・化管法:第一種、SDS提供の対象物質
・毒物及び劇物取締法:劇物
・大気汚染防止法:有害大気汚染物質
・水質汚濁防止法:有害物質
・土壌汚染対策法:第2種特定有害物質
・米国:有害物質規制法(TSCA)インベントリ、Flagなし
・韓国:化評法(K-REACH)、既存化学物質
・台湾:TCCSCA/OSHA、既存化学物質
・その他(省略)
出典:(独)製品評価技術基盤機構NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) |
5 |
物質名 |
英名 |
Bis(2-ethylhexyl) tetrabromophthalate (TBPH) covering any of the individual isomers and/or combinations thereof |
和名 |
ビス(2-エチルヘキシル)テトラブロモフタレート(TBPH)は、個々の異性体および/またはそれらの組み合わせのいずれかをカバーします |
CAS RN |
物質群により記載なし |
物質の詳細 |
ECHA資料(5) |
構造式(例) |
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(2R)-2-ethylhexyl (2S)-2-ethylhexyl tetrabromophthalate |
bis[(2R)-2-ethylhexyl] tetrabromophthalate
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bis[(2S)-2-ethylhexyl] tetrabromophthalate
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収載理由 |
非常に持続性が高く、生物蓄積性が高い(vPvB)第57条(e) |
主な用途など |
電気・電子用品:軟質 PVC、ワイヤー、ケーブル、絶縁体などのプラスチックおよびゴム製品
接着剤およびシーラント
難燃剤の添加剤:フィルムおよびシート、カーペットの裏地、コーティングされたファブリック、壁紙、ポリウレタンフォーム |
備 考 |
なし |
例
5-1 |
物質名 |
英名 |
Bis(2-ethylhexyl) tetrabromophthalate |
和名 |
・ビス(2-エチルヘキシル)テトラブロモフタレート |
CAS RN |
26040-51-7 |
物質の詳細 |
ECHA資料(5) |
構造式 |
N0.5の親化合物の構造参照 |
収載理由 |
vPvB(非常に持続性があり、生体蓄積性が非常に高い)第57条(e) |
主な用途など |
N0.5の親化合物に同じ |
備 考 |
・化審法:既存化学物質
・米国:有害物質規制法(TSCA)インベントリ、Flagなし
・韓国:化評法( K-REACH): 既存化学物質
・台湾:TCCSCA/OSHA:既存化学物質
・その他(省略)
出典:(独)製品評価技術基盤機構NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) |
6 |
物質名 |
英名 |
Isobutyl 4-hydroxybenzoate |
和名 |
・イソブチル-4-ヒドロキシベンゾアート
・p-オキシ安息香酸イソブチル |
CAS RN |
4247-02-3 |
物質の詳細 |
ECHA資料(6) |
構造式 |
出典:ECHA |
収載理由 |
内分泌かく乱特性 第 57 条(f) – 人間の健康 |
主な用途など |
物質の製造および次の製品:コーティング製品、フィラー、パテ、プラスター、モデリング粘土、インク、トナ-、化粧品・医薬・食品などの防カビ剤、保存料など |
備 考 |
・化審法:既存化学物質
・台湾:TCCSCA/OSHA:既存化学物質
・その他(省略)
出典:(独)製品評価技術基盤機構NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) |
7 |
物質名 |
英名 |
Melamine |
和名 |
メラミン |
CAS RN |
108-78-1 |
物質の詳細 |
ECHA資料(7) |
構造式 |
出典:ECHA |
収載理由 |
人の健康に重大な影響を与える可能性がある同等レベルの懸念 第 57 条(f) – 人の健康環境に深刻な影響を与える可能性がある同等レベルの懸念 第 57 条 (f) – 環境 |
主な用途など |
・木工産業でよく使用されるホルムアルデヒドベースの樹脂の製造 (例: ラミネート、フローリング、木質パネル、表面コーティング剤、パネル)。
・発泡体のコーティングや、食器などの消費財の製造。
・接着剤、シーラント、ラッカー、顔料、塗料、インク、硬質フォーム、ポリウレタンフォーム、ゴム、防火用途によく使用されるポリマーの中間体、皮革処理剤、メラミン樹脂原料 |
備 考 |
・化審法:既存化学物質
・化管法(令和5年度分以降の排出量等の把握や令和5年度以降のSDS提供の対象)
・安衛法:新規名称公表化学物質
・食品衛生法:規格基準告示別表第1第1表(1)基ポリマー(プラスチック)、その他
・米国:有害物質規制法(TSCA)インベントリ収載、Flag なし
・韓国:化評法( K-REACH)、既存化学物質
・台湾:TCCSCA/OSHA:既存化学物質、毒性化学物質
・その他(省略)
出典:(独)製品評価技術基盤機構NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) |
8 |
物質名 |
英名 |
Perfluoroheptanoic acid (PFHpA) and its salts |
和名 |
ペルフルオロヘプタン酸 ( PFHpA ) およびその塩 |
CAS RN |
物質群により記載なし |
物資の詳細 |
ECHA資料(8) |
構造式(例) |
出典:ECHA |
収載理由 |
・生殖毒性 第57条(c)
・PBT 第57条(d)
・vPvB 第57条(e)
・人の健康に重大な影響を与える可能性がある同等レベルの懸念 第57条(f) -人の健康
・環境に深刻な影響を与える可能性がある同等レベルの懸念 第57条 (f) -環境 |
主な用途など |
・防汚または撥水
・湿潤分散剤、乳化剤、発泡剤
※REACH規則に登録なし |
備 考 |
CAS RNがないため、情報なし |
例
8-1 |
物質名 |
英名 |
・Ammonium perfluoroheptanoate
・Ammonium tridecafluoroheptanoate(EPA登録名) |
和名 |
ペルフルオロヘプタン酸アンモニウム |
CAS RN |
6130-43-4 |
物資の詳細 |
ECHA資料(8)、EPA資料 |
分子式 |
C7HF13O2.H3N 出典:EPA資料 |
収載理由 |
No8.の親化合物と同じ |
主な用途など |
No8.の親化合物と同じ |
備考 |
・米国:有害物質規制法(TSCA)インベントリ収載、Flag、なし
・韓国:化評法( K-REACH)、既存化学物質
・台湾:TCCSCA/OSHA、既存化学物質
・その他(省略) 出典:(独)製品評価技術基盤機構NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) |
例
8-2 |
物質名 |
英名 |
potassium perfluoroheptanoate |
和名 |
パーフルオロヘプタン酸カリウム |
CAS RN |
21049-36-5 |
物資の詳細 |
ECHA資料(8) |
構造式 |
CF3-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-COO-K+
※筆者作成 |
収載理由 |
No8.の親化合物と同じ |
主な用途など |
No8.の親化合物と同じ |
備考 |
情報なし |
例
8-3 |
物質名 |
英名 |
Perfluoroheptanoic acid |
和名 |
・パーフルオロヘプタン酸
・トリデカフルオロヘプタン酸 |
CAS RN |
375-85-9 |
物資の詳細 |
ECHA資料(8) |
構造式 |
CF3-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-COOH ※筆者作成 |
収載理由 |
No8.の親化合物と同じ |
主な用途など |
No8.の親化合物と同じ |
備考 |
・化審法:既存化学物質
・米国:有害物質規制法(TSCA)インベントリ収載、Flag、なし
・韓国:化評法( K-REACH)、既存化学物質
・台湾:TCCSCA/OSHA、既存化学物質
・その他(省略)
出典:(独)製品評価技術基盤機構NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) |
例
8-4 |
物質名 |
英名 |
Sodium perfluoroheptanoate |
和名 |
・パーフルオロヘプタン酸ナトリウム
・ナトリウム-トリデカフルオロヘプタノアート |
CAS RN |
20109-59-5 |
物資の詳細 |
ECHA資料(8) |
構造式 |
CF3- CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-COO-Na+ |
収載理由 |
No8.の親化合物と同じ |
主な用途など |
No8.の親化合物と同じ |
備考 |
・化審法:既存化学物質
・米国:有害物質規制法(TSCA)インベントリ収載、Flag、なし
出典:(独)製品評価技術基盤機構NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) |
9 |
物質名 |
英名 |
reaction mass of 2,2,3,3,5,5,6,6- octafluoro -4-(1,1,1,2,3,3,3 -heptafluoropropan-2-yl) morpholine and 2,2,3,3,5,5,6,6-octafluoro-4-(heptafluoropropyl)morpholine |
和名 |
2,2,3,3,5,5,6,6-オクタフルオロ-4-(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル)モルホリンと
2,2,3,3,5,5,6,6-オクタフルオロ-4-(ヘプタフルオロプロピル)モルホリンの反応物 |
CAS RN |
なし |
物質の詳細 |
ECHA資料(9) |
構造式 |
出典:ECHA |
収載理由 |
vPvB(非常に持続性があり、生物蓄積性が非常に高い)第57条(e) |
主な用途など |
混合物への配合、成形品
クローズドシステムでの産業用およびプロ用:例えば、実験用試薬として、工業現場や室内で機能性液 |
備 考 |
CAS RNがないため情報なし |
(1)ECHA(欧州化学品庁)は2023年1月17日付けで、“Candidate List of substances of very high concern for Authorisation”(高い懸念のある認可対象候補物質「SVHC候補物質」のリスト)を更新し、新たに9物質(6物質+3物質群)を追加した。これにより、2023年1月17日現在、SVHC候補物質は233物質(群)となった。
(2)PFASとしてNo.8、ペルフルオロヘプタン酸(PFHpA)、および、その塩が含まれる。
(3)その他樹脂などの添加剤、難燃剤などが多い。
(4)今回、当工業会に大きく影響が有る物質はないと思われるが、添加剤が多いので、それなりの注意は必要と思われる。