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home>環境について>環境関連情報>地球温暖化>2030年温室効果ガス排出量46%削減への道 #2

2030年温室効果ガス排出量46%削減への道 #2

2021-10-14

~CO2を再資源化するカーボンリサイクルとは~

1. はじめに

我が国は2050年のカーボンニュートラルへ向けた途上の2030年までに、温室効果ガス排出量を46%削減する宣言をしました。温室効果ガス排出量削減を実現するための方法には、大別すると
(1)化石燃料エネルギーを再生可能エネルギーなどに転換して温室効果ガス排出量を削減する方法
(2)排出された温室効果ガスを回収・貯留し、さらに再資源化しサイクルする方法
があります。

今回は経済産業省が中心となって推進し、2021年7月に改訂された「カーボンリサイクル技術ロードマップ」、資源エネルギー庁のカーボンリサイクルに関する資料、実際に建設された実証試験運転施設、商用ベースでのプラント建設など、厄介者のCO2を再資源化するカーボンリサイクルの概要について紹介したいと思います。

2. 経済産業省「改訂カーボンリサイクル技術ロードマップ」

カーボンリサイクル技術ロードマップは経済産業省が中心となり2019年6月に策定されました。

経済産業省の資料では、カーボンリサイクルを「CO2を資源として捉え、これを分離・回収し、コンクリート、化学品、燃料など多様な製品として再利用するとともに、大気中へのCO2排出を抑制する技術」と定義し、「『カーボンリサイクル技術ロードマップ』は、カーボンリサイクル技術について、目標、技術課題、タイムフレーム(フェーズ毎の目指すべき方向性)を設定し、広く国内外の政府・民間企業・投資家・研究者など関係者に共有することによりイノベーションを加速する目的で、各技術分野における学識経験者・技術者を中心に、内閣府、文部科学省、環境省の協力を得て、2019年6月に策定したものです」と説明しています。

即ち、従来のCO2を回収・貯留するだけの技術では付加価値を生まないため、一歩進んで回収したCO2を再資源化しようとする技術と位置づけられます。

ダイアグラム, テキスト  自動的に生成された説明
図1 カーボンリサイクルの概略
(出典: 経済産業省資料を筆者がアレンジ)

図1の注釈(出典:経済産業省資料、EIC環境用語辞典、ウイキペディア、その他)

EOR:Enhanced Oil Recoveryの略。油田で自噴する原油は少なく、火力発電所などで発生するCO2の圧力を利用して原油を回収する方法。
BTX:芳香族炭化水素のベンゼン、トルエン、キシレンの総称。石炭の乾留などで得られる。
E-fuel:水を電気分解したH2とCO2を触媒反応で合成した液体の炭化水素鎖(燃料)のこと
SAF:Sustainable aviation fuel持続可能な航空燃料または再生可能代替航空燃料の事で、高度な航空バイオ燃料と言われる。
MTG:methanol-to-gasoline天然ガスとスチームからメタノールを製造し、ゼオライト触媒を用いガソリンを合成る方法。
BECCS:Bioenergy with Carbon Capture and Storage回収・貯留(CCS)付きバイオマス発電 .
CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage、CO2の分離・回収・再利用
CCS:Carbon dioxide Capture and Storage、回収・貯留

カーボンリサイクルのための基礎技術開発のポイントは
(1)CO2分離技術:CO2をどのように、より低コストで、より高濃度で分離できるか
(2)再資源化:分離したCO2をどのように付加価値の高い資源にリサイクルできるか
であり、図2に示すような種々の技術開発が行われています。


図2 カーボンリサイクルを実現するためのCO2分離・回収共通技術
(出典: 経済産業省)

いずれにしても、CO2を再資源化するに当たっての最大の問題は「コスト」であり、従来品と比較して同等のコストで生産可能か否かにかかっています。

 

3. 経済産業省/資源エネルギー庁が紹介する国内のカーボンリサイクルの現状

経済産業省の外庁である資源エネルギー庁は、経済産業省のカーボンリサイクルロードマップに沿って、カーボンリサイクルを推進するために、カーボンリサイクルの理解推進、ファンド、全国の研究拠点整備や実証プラントの建設などの実務展開を図っています。

初めに、カーボンリサイクルを視覚的に理解するための図3を紹介するとともに、国内の実証設備などを紹介したいと思います。

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/shared/img/7bq56-2onyq4nw.png
図3 カーボンリサイクルのコンセプト
(出典:資源エネルギー庁)

以下、全国のカーボンリサイクル研究施設及び実証プラントなどを紹介します。

東京湾岸エリアの企業、大学、研究機関、行政機関などが参加し、東京湾岸周辺を世界に先駆けたゼロエミッション技術のイノベーションエリアにするべく発足した「東京湾岸ゼロエミッションイノベーション協議会(ゼロエミベイ)」が発足し、ここを中心として全国の研究拠点が連携し、北海道苫小牧、広島県の大崎上島、福島県浪江町などで大規模な実証実験が進められています(図4)。

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/shared/img/7bq57-2onyq4nw.png
図4 カーボンリサイクル関連研究拠点
(出典:資源エネルギー庁)

写真1は、広島県大崎上島にある設備で、既存の非効率火力発電所からCO2を効率的に分離・回収し、さらにこのCO2をリサイクルする実証実験を実施しています。

施設の写真
写真1 高効率化を目指した「石炭ガス化燃料電池複合発電実証プロジェクト」(広島県大崎上島町)
(出典:資源エネルギー庁/大崎クールジェン株式会社)

写真2は北海道・苫小牧の施設で、CO2を分離・回収・貯留する「CCS」技術について、初の大規模実証試験が実施されています。回収されたCO2からメタノールなどの製造の取組みが実施されています。

施設の写真
写真2 北海道・苫小牧市のCCS実証試験プラント全景
(出典:資源エネルギー庁)

カーボンリサイクルを行うためにはカーボンフリー水素を多量に消費します。このため、福島県浪江町の実験施設(写真3)では、水素価格の低減に向けて、世界最大級の水電解装置を備えた「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」にて実証試験が行われています。

施設の写真
写真3 福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)
(出典:資源エネルギー庁/東芝エネルギーシステムズ株式会社)

 

4. 実証実験から商用ベースに

三菱重工業株式会社(以下、「三菱重工」)は、ノルウェー、アメリカ、イギリスにおける商用規模での実証プラントの建設などに関する契約締結を、自社ホームページで発表しました。
(1)2021年3月4日付け、「三菱重工エンジニアリング、ノルウェーの世界最大級CO2回収実験施設で実証試験~TCMと合意、新吸収液KS-21TMの商用化に向け検証~」を発表
(2) 2021年4月15日付け、「米国テキサス州・LNG液化プラント向けCO2回収システムの基本計画について契約締結~世界初、LNG液化プラントの排ガスからCO2回収・貯留の実施に向け前進~」を発表
(3)2021年6月10日付け、「MHIENGとDrax社、世界初・商用規模でのネガティブ・エミッション実現に向け協業~英国バイオマス発電所における最新CO2回収技術ライセンスの長期使用で契約締結~」

図5に示すフロー図は、液体吸着剤を用いて吸着剤を再生・脱着して再利用する一般的なものですが、三菱重工の一連の技術は同社と関西電力が開発し「KS-21TM」と命名したアミン系のCO2高性能吸着剤がコア技術と思われます。

液体吸着剤は揮発しにくく、化学的に安定で長期に繰り返し使用できるなど、消耗しにくいことがランニングコストを抑えるために重要な技術です。

ダイアグラム  自動的に生成された説明
図5 三菱重工のCO2回収装置のフロー(出典:三菱重工動画より筆者が作成)

5. まとめ

(1)米国、EU、日本、英国など先進主要国は2050年のカーボンニュートラル(中国は2060年)を宣言し、種々のCO2排出量削減のための技術開発に大規模な人的、資金的な提供を行っている。
(2)カーボンニュートラルの実現のためには、以下2つの方向性を同時に進める必要がある。
a)CO2排出量そのものを削減するために、CO2を大量に発生する化石燃料の使用を極力止めて、再生可能エネルギーや水素エネルギーなどクリーンエネルギーへの転換を進める。
b)止むなく排出されたCO2を分離・回収・貯留し、さらにはCO2を再資源化するカーボンリサイクルを進める。
(3)カーボンリサイクルを進めるためには、安価で高効率にCO2を分離する技術、CO2を還元するための安価なクリーン水素製造技術など、多くの課題を解決するべき技術開発が必要。
(4)2021年現在、国内にカーボンリサイクルの研究拠点・実証施設などが建設され実用化に向けた研究開発が進められている。
(5)一部の民間企業では商用ベースでのカーボンニュートラルのためのプラント建設も始まろうとしている。
基礎的な技術はおおよそ確立しており、実用化には大幅なコストダウンが何時、どこまでできるかが鍵と言える。

引用・参考資料

  • カーボンリサイクル技術ロードマップ (経済産業省、2021年7月改訂)
  • 「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を改訂しました (経済産業省、2021年7月26日)
  • CO2削減の夢の技術!進む「カーボンリサイクル」の開発・実装 (資源エネルギー庁、2021年4月30日)
  • 「カーボンニュートラル」って何ですか?(後編)~なぜ日本は実現を目指しているの? (資源エネルギー庁、2021年3月16日)
  • 未来ではCO2が役に立つ?!「カーボンリサイクル」でCO2を資源に (資源エネルギー庁、2019年9月20日)
  • MHIENGとDrax社、世界初・商用規模でのネガティブ・エミッション実現に向け協業英国バイオマス発電所における最新CO2回収技術ライセンスの長期使用で契約締結 (三菱重工、2021年6月10日)
  • 米国テキサス州・LNG液化プラント向けCO2回収システムの基本計画について契約締結世界初、LNG液化プラントの排ガスからCO2回収・貯留の実施に向け前進 (三菱重工、2021年4月15日)
  • 三菱重工エンジニアリング、ノルウェーの世界最大級CO2回収実験施設で実証試験TCMと合意、新吸収液KS-21TMの商用化に向け検証 (三菱重工、2021年3月4日)
  • Mitsubishi Heavy Industries Group’s CO2 Capture Technology (三菱重工)
  • 【業界動向】2℃目標の達成とCCS(BECCS)技術 (WsteBox、2019年7月3日)
  • 知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~CO2を集めて埋めて役立てる「CCUS」 (資源エネルギー庁、2017年11月14日)

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