WHO「飲料水水質ガイドライン第3版」を最終報告
情報発信日:2004-09-30
WHO(World Health Organization:世界保健機構)の報道
飲料水水質ガイドライン第3版の最終報告
WHO(世界保健機構)は2004年9月28日、モロッコのマラケシュで開催されている世界水協会(IWA)総会、及び、ジュネーブWHO本部において、「水に関連して発生する疾病を予防することを目的として飲料水水質ガイドライン第3版を発行する」と発表しました。
WHOの飲料水水質ガイドライン制定の歴史
WHOは、1958年に初めて国際的な基準として飲料水水質基準を策定しました。以降、1984年に「WHO加盟各国がそれぞれの国の実情に応じて国内の水質基準を制定する際の参考にできるガイドライン」という位置づけに改め、ガイドライン初版が発表されました。1993年には、水質汚染の原因となる化学物質の増加にともない、より広範な項目の検討がなされ、第2版ガイドラインが公表されました。
今回は、第2版の内容に、さらに様々な科学的な見地からの検討が加えられ、10年ぶりの改訂が行なわれました。
今回報道内容の概要
今回改訂された第3版ガイドライン報告に際してのコメントは概ね以下のとおりです。
- 今回の改訂は公衆衛生の観点からの極めて重要な方向転換である。
- 公衆衛生管理において、微生物と化学物質による水汚染の予防を目的とする。
- 北アメリカの都市水道システムから、開発途上国の井戸にわたるまで広く適用される。また、水道から供給される水だけでなく、井戸水、ボトルウオーター、船や飛行機で提供される水、脱塩水、緊急災害時の造水機による水、難民キャンプに供給される水など、幅広い飲料対象となる水を対象にする。とくにチャドやスーダンでの難民キャンプで発生したE型肝炎の感染源は飲料水にあり、管理が必要。
- 飲料水の供給と管理に携わるあらゆる組織がこの新しい手法を取り入れることにより、水系感染症の発生がより少なくなることを期待している。
- 水源から(貯水装置までを含む)蛇口までをとおして、系統的かつ組織的な水質管理を行うことが必要である。
- 最新の科学的根拠により、飲料水中の化学物質の上限閾値を見直した。
- 従来の飲料水基準は化学物質や微生物検査用のサンプル水について強調されていたが、検査が済んだ時点ではすでに水が消費された後であった。対症療法的な処置ではなく予防的な処置が行うことが重要。
- 飲料水中の微生物汚染は何十万人もの人達に影響を与え、世界の大半の先進国での給水システムにおいても、いくつかの汚染による事故がおきている。つい最近も、カナダにおける大腸菌O-157やCampylobacter、日本、フランス、米国におけクリプトスポリジウムによる疾病があり、今日以上の管理を継続しないと何が起きるかわからない。
日本における対応
わが国においては、第3版が(案)の段階に検討が行われ、2003年5月に「水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省省令第101号)」が公布され、2004年4月から施行されていますので、第3版への対応はすでになされていることになります。
第3版の全文入手(英語版)
WHOのウェブサイトから直接ダウンロードできます。
注意
- 無断で本情報を二次使用すること及び転載することを禁じます。
- 本情報は、主としてWHO(世界保健機構)のウェブサイトにおける発表資料(英文)を基に作成しましたが、専門家の正確な翻訳によるものではなく、また印象を述べたものですので、もしその内容に疑義を感じた場合、本情報の利用者はWHOのウェブサイトに直接アクセスして、原文より判断をお願いします。
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