ホーム > 環境について > 環境関連情報 > 環境省・経産省 2013年度温室効果ガス排出量の集計結果を公表
情報発信日:2016-8-25
2016年6月13日付けで、環境省と経済産業省は連名で、「地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」により、事業者から報告のあった2013年度の温室効果ガス排出量を集計し、とりまとめたと発表しました。
今回は、この「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」とは何か、何が報告されたのかについて解説したいと思います。
地球温暖化対策の推進に関する法律(通称:地球温暖化対策推進法または温対法)とは、JCCCA(全国地球温暖化防止活動センター)によると「1998年10月に成立した地球温暖化対策を目的とし、国・自治体・事業者・国民の各主体の取組を促進するために作られた環境省所管の法律です。全国及び都道府県の地球温暖化防止活動推進センターもこの法律により、設置が定められました。また京都議定書の締結に伴い、2002年に改定されました」と解説しています。
(以下環境省webサイトより引用)
① 温室効果ガスの排出の抑制を図るためには、まず、各事業者が自らの活動により排出される温室効果ガスの量を算定・把握することが基本です。これにより、排出抑制対策を立案し、実施し、対策の効果をチェックし、新たな対策を策定して実行することが可能になります。
② 算定された排出量を国が集計し、公表することにより、事業者は、自らの状況を対比し対策の見直しにつなげることが可能になります。また、国民各界各層の排出抑制に向けた気運の醸成、理解の増進が図られるものと期待されます。
改正された地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づき、平成18年4月1日から、温室効果ガスを多量に排出する者(特定排出者)に、自らの温室効果ガスの排出量を算定し、国に報告することが義務付けられました。また、国は報告された情報を集計し、公表することとされています。
①対象となる温室効果ガス事業者
全ての温室効果ガスが対象となり、多量に温室効果ガスを排出する事業者は、事業内容に関わらず対象となります。
表1 温室効果ガスの種類と対象者(出典:環境省)
温室効果ガスの種類 | 対象者(※1) |
エネルギー起源CO2 | 全ての事業所のエネルギー使用量合計が1,500kl/年以上となる事業者(特定事業所排出者) 省エネ法で特定荷主及び特定輸送事業者に指定されている事業者(特定輸送排出者) |
上記以外の温室効果ガス | 次の①および②の要件をみたす事業者(特定事業所排出者) ① 温室効果ガスの種類ごとに全ての事業所の排出量合計がCO2換算で3,000t以上 ② 事業者全体で常時使用する従業員の数が21人以上 |
※1 要件を満たすフランチャイズチェーンについても、加盟している全ての事業所における事業活動を、フランチャイズチェーンの事業活動とみなして報告します。
下記の事業活動が、温室効果ガスの排出量の算定の対象となります。
①エネルギー起源CO2
・燃料の使用
・他者から供給された電気の使用
・他者から供給された熱の使用
②非エネルギー起源CO2
・原油又は天然ガスの試掘・生産
・セメントの製造
・生石灰の製造
・ソーダ石灰ガラス又は鉄鋼の製造
・ソーダ灰の製造
・ソーダ灰の使用
・アンモニアの製造
・シリコンカーバイドの製造
・カルシウムカーバイドの製造
・エチレンの製造
・カルシウムカーバイドを原料としたアセチレンの使用
・電気炉を使用した粗鋼の製造
・ドライアイスの使用
・噴霧器の使用
・廃棄物の焼却もしくは製品の製造の用途への使用・廃棄物燃料の使用
③その他(詳細は省略)
・メタン(燃料を燃焼の用に供する施設・機器における燃料の使用、電気炉における電気の使用など)
・一酸化二窒素(燃料を燃焼の用に供する施設・機器における燃料の使用、工場廃水の処理など)
・ハイドロフルオロカーボン類(溶剤等の用途へのHFCの使用など)
・パーフルオロカーボン類(溶剤等の用途へのPFCの使用、アルミニウムの製造など)
・六ふっ化硫黄(マグネシウム合金の鋳造など)
① 排出活動の抽出
●温室効果ガスごとに定めた当該温室効果ガスを排出する活動のうち、事業者が行っている活動を抽出します。
② 活動ごとの排出量の算定
●抽出した活動ごとに、政省令で定められている算定方法・排出係数を用いて排出量を算定します。
温室効果ガス排出量 = 活動量× 排出係数
※活動量:生産量、使用量、焼却量など、排出活動の規模を表す指標
排出係数:活動量当たりの排出量
③ 排出量の合計値の算定
●温室効果ガスごとに、活動ごとに算定した排出量を合算します。
④ 排出量のCO2換算値の算定
●温室効果ガスごとの排出量をCO2の単位に換算します。
温室効果ガス排出量(tCO2) = 温室効果ガス排出量(tガス)× 地球温暖化係数(GWP)
※GWP(Global Warming Potential):温室効果ガスごとの地球温暖化をもたらす程度のCO2との比
対象となる排出活動ごとの算定方法は、電気の使用に伴うCO2の算定を除き、これまでの算定方法と同じです。排出活動ごとの算定方法は、制度のホームページに掲載の算定・報告マニュアルをご参照ください。
◆電気の使用に伴うエネルギー起源CO2 排出量の算定方法
他人から供給された電気の使用に伴うCO2 排出量の算定については、より正確な排出量の算定のため、次の排出係数を用いて算定を行います。
①電気事業者から供給された電気を使用している場合:
国が公表する電気事業者ごとの排出係数
②電気事業者以外の者から供給された電気を使用している場合:
実測等に基づく適切な係数
③ ①及び②で算定できない場合:環境大臣・経済産業大臣が公表する係数
国は原則として全ての電気事業者の排出係数を公表します。
① 報告様式:排出量等を報告するガスの種類により提出書類が異なります。
報告するガスの種類 | 提出する書類 |
エネルギー起源CO2 | 省エネ法 定期報告書 |
上記以外の温室効果ガス | 温対法 温室効果ガス算出排出量等の報告書 |
また、温室効果ガス排出量について温室効果ガスの排出量の増減の状況に関する情報など、排出量に関する情報を任意で提出することができます。
提供された情報は、排出量の情報と併せて公表・開示されます。
この情報を提供する場合は、温対法の様式第2「温室効果ガス算定排出量の増減の状況に関する情報その他の情報」を用います。
省エネ法の定期報告との関係 |
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事業者の報告に係る負担を抑える観点から、省エネ法の定期報告書を併用することを認めています。具体的には、以下のとおり報告してください。 ①エネルギー起源CO2の排出量のみを報告する場合 →省エネ法の定期報告書を使用し報告しても差し支えありません。 ②エネルギー起源CO2以外の温室効果ガスの排出量のみを報告する場合 →温対法に基づく温室効果ガス算定排出量の報告書を使用して報告してください。 ③エネルギー起源CO2とそれ以外の温室効果ガスの両方の排出量を報告する場合 →省エネ法の定期報告書に、温対法に基づく温室効果ガス算定排出量の報告書を添付して報告してください。 |
報告の期限
①特定事業所排出者:毎年度7月末日までに報告
②特定輸送排出者:毎年度6月末日までに報告
算定対象期間は、代替フロン等3ガス(HFC、PFC、SF6)以外の温室効果ガスは年度ごと、代替フロン等3
ガスは暦年ごとです。
報告をせず、又は虚偽の報告をした場合には、20万円以下の過料の罰則があります。
(1)特定事業所排出者
報告事業者数 | 12,466事業者 |
報告事業所数 | 14,971事業所 |
報告排出量の合計 | 6億8,430万トン(CO2) |
調整後排出量 | 6億3,691万トン(CO2) |
(2) 特定輸送排出者
報告事業者数 | 1,358事業者 |
報告排出量の合計 | 3,236万トン(CO2) |
(3) 特定排出者合計((1)+(2))
報告排出量の合計 | 7億1,667万トン(CO2) |
注1) 環境大臣、経済産業大臣及び事業所所管大臣は、集計結果の公表または請求に応じて情報を公開。
注2) 調整後排出量とは事業者が事業活動に伴い排出した温室効果ガスの排出量を、京都メカニズムクレジット等の償却・無効化量、廃棄物の原燃料使用に伴う排出量等を控除等して調整したもの。
注3) 特定輸送排出者とは輸送部門の排出量報告を行う特定排出者で、省エネルギー法に基づく特定貨物輸送事業者、特定荷主、特定旅客輸送事業者及び特定航空輸送事業者。
(以上公開情報ですが、事業所コード及び事業者名は伏せてあります。)
※興味のある方は、ここをご覧ください。
(1)2016年6月13日付けで環境省と経済産業省は連名で、「地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」により、事業者から報告のあった2013年度の温室効果ガス排出量を集計し、とりまとめたと発表しました。
(2)改正された地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づき、平成18年4月1日から、温室効果ガスを多量に排出する者(特定排出者)に、自らの温室効果ガスの排出量を算定し、国に報告することが義務付けられました。また、国は報告された情報を集計し、公表することとされています。この制度には報告の遅延や虚偽の報告を行った場合に罰則があります。
(3)この制度の対象となるのはエネルギー起源となるCO2及び非エネルギー起源となるCO2を一定以上排出する事業者の全て。
(4)以下の事業者は自主的な申請により、制度に協力することが出来ます。
・算定している排出量が実態と合っていない可能性や、報告対象となっていない温室効果ガスの排出活動が存在する可能性等の懸念がある工場・事業場(エネルギー管理指定工場の指定の有無は問いません)
・エネルギー起源CO2以外の温室効果ガスを排出している(可能性のある)工場・事業場
(5)当工業会の会員においても、複数の企業がこの制度に基づき、温室効果ガス排出量の算定・報告を行い、その数値が公表されています。自社の数値が公表されているか否かは、ここから確認できます。今のところ、対象となっていない事業者もパリ協定の実施に伴い近い将来対象となる可能性もありますので、一度環境省の当該ホームページをご覧になっておくことをお勧めします。