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環境関連情報

改正・土壌汚染対策法 成立

2009年4月24日に公布

情報発信日:2009-05-07

土壌汚染対策法

昨今、工場の跡地や廃棄物処分場などにおける鉛、水銀、砒素、六価クロム、カドミウムなどの金属/金属化合物あるいはトリクロロエチレンなどの塩素系有機溶剤など様々な有害化学物質による土壌の汚染問題が発生しています。土壌の汚染は大気や水の汚染に比べて一度汚染されると、長期に渡って大気や水系に対する二次汚染源となる可能性もあります。これらの問題に対処し、国民の安全・安心を確保する目的で2002年5月に「土壌汚染対策法」が制定され、翌2003年2月15日に施行されました。

現状「土壌汚染対策法」の問題点

しかしながら現状の「土壌汚染対策法」では以下の問題点が生じています。

(1) 法律に基づかない土壌汚染の発見の増加

本来は現行の法律により発見されなければならない土壌の汚染が、土地取引などにおける自主的な調査で土壌汚染が発見されるケースが増加しており、「土壌汚染の状況の把握のための制度の拡充」が必要なこと。

(2) 汚染土壌の掘削除去の偏重

汚染された土壌の回復には莫大な費用と時間を必要とするため、土地の所有者等が汚染土壌の改善のために、比較的安価な対策として汚染土壌を掘削除去する方法が増えているが、環境リスク低減の観点では好ましくない事案が増加している。

(3) 汚染土壌の不適切な処理による汚染の拡散

掘削除去した汚染土壌の不適正な処分などによる汚染の拡散問題の発生。

今回の改正のポイント

1.土壌の汚染の状況把握のための制度拡充

(1) 一定規模以上の土地であって土壌汚染のおそれのある土地の形質変更(その土地を掘削したり盛土したりすること)時における都道府県知事による土壌汚染の調査命令

(2) 自主調査において土壌汚染が判明した場合、土地の所有者等の申請に基づき、2.の区域として指定し、適切に管理

(3) 都道府県知事による土壌汚染に関する情報の収集、整理、保存及び提供に関する努力義務

2. 規制対象区域の分類等による講ずるべき措置の内容の明確化等

区域の分類化と必要な対策の明確化

(a) 土地の形質変更時に届出が必要な区域(形質変更届出区域)

(b) 盛土、封じ込め等の対策が必要な区域(措置実施区域)
(※都道府県知事が必要な対策を指示。対策後は、解除又は(a)の区域に指定)

3. 搬出土壌の適正処理の確保

(1) 2.の区域内の土壌の搬出の規制(事前届出、計画の変更命令、措置命令)

(2) 搬出土壌に関する管理票の交付及び保存の義務

(3) 搬出土壌の処理業についての許可制度の新設

4. その他

(1) 指定調査機関の信頼性の向上(指定の更新等)

(2) その他規定の整備

(3) 施行期日(公布後1年以内)

まとめ

今回の改正により、

(1) 掘削による汚染土壌の不適切な処分による汚染の拡散防止を目的として、一定以上の規模の土地の形質変更(その土地の掘削や盛土)を行う場合は、都道府県知事に対して事前届出制とし、その土地が汚染されている可能性が有る場合は調査命令が下される。

(2) 土地所有者の自主的調査で土壌汚染が発見された場合は、都道府県知事に対して規制対象区域として指定の申請を行うことが出来る。

(3) 調査の結果、土壌の汚染が明確になった場合、都道府県知事は規制対象区域として講ずるべき措置を指示する。

(4) 規制対象区域から汚染土壌を搬出する場合は、都道府県知事への事前届出、都道府県知事の認可業者による処分など規制の強化を行う。

本法律は2009年4月17日の参議院本会議で付帯決議が付き可決され2009年4月24日に公布されました。2010年4月1日までに施行される見込みです。

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