EUにおける環境配慮設計指令(EuP)動向#6
-エネルギー使用機器のエコ・デザインに関する指令‐
情報発信日:2009-09-24
EUにおける環境配慮設計指令(EuP)の現状
2006年10月にも述べましたが、EU域内で流通するエネルギー多消費製品に対して、環境に配慮した設計を要求する「エネルギー消費型製品(Energy Using Products/EuP)のエコ・デザインに関する枠組み指令」、通称「環境配慮設計指令(EuP指令)案」が2005年7月に「エコ・デザイン指令(2005/32/EC)」として採択され、既に2005年8月11日に発効しています。しかしRoHS指令やREACH規則などと同じEUにおける環境規制ですが、我国ではまだあまり話題に上りません。現状はどうなっているのでしょうか?
EuP指令は3階建ての基礎部分
EuP指令は上述した様に「枠組み指令」と言われ実際には3階建ての基礎部分を構成しており、この上に「実施対策令」と「整合規格」が乗ることになります。
「枠組み指令」
- 制度の枠組みを規定(採択済み)
- 2007年8月までに加盟国は国内法を整備
「実施対策令」
- 対象機器ごとに具体的な規制内容を制定
- 第1段階として19の機器(後述)に対して予備調査を実施
- 2008年以降、機器ごとに実施対策令を採択予定
「整合規格」
- 実施対策令に対応した機器ごとの整合規格を制定
- CEN, CENELECなどの欧州標準化機関が規格を策定
対象とする規制機器の考え方
- 当面の規制対象製品の絞込みの判断基準はEuP指令15条を目安とする
(1) EU域内での販売量が20万ユニット/年以上有る
(2) 環境への顕著な影響が有る
(3) 過剰なコストを課さずに顕著な環境影響の改善の可能性が有る
- まずは、欧州気候変動プログラム(ECCP)対象製品及び待機電力を優先して取り組む
- 運輸部門は除外
実施に当たり考慮する事項
- 製品のライフサイクル及び全ての重要な環境側面(特にエネルギー効率)を考慮する
- 環境、消費者、製造者(中小企業を含む)に及ぼす影響を考慮してアセスメントを実施する
- EU加盟国の既存の環境規制を考慮する
- ステークホルダーとの適切な対話をする
- アセスメントに基づく実施措置策定の説明文書を用意する
- 中小企業によって製造される製品群への影響を特に考慮して施行日及び移行措置を定める
規制が行われるまでの流れ
- 候補として挙げられたLOT(製品群)について、約3年ほどの予定で予備調査(Prepatrator Study)が行われます。(これにより、どんな実施処置をするか判断されます。勿論候補に挙がっても既に十分な省エネなどが施されている場合は実施処置免除される場合が有る様です)
- EU委員会に予備調査の結果が報告され、これを受けてEU委員会はコンサルテーションフォーラム(諮問委員会の様なもの?専門家による協議会)に図ると同時に標準化委員会より整合規格が提案されます。
- 最終的にはEU委員会が判断し実施処置の実施有無や内容を決定します
現状予備調査の対象となっている製品
第1次予備調査は2006-2008年に実施、第2次予備調査は2009年から始まっていますが、現在予備調査の対象となっているLOT(製品群)は以下の通りです。問題の多そうな製品群から優先して予備調査が開始されている様ですが、第1次候補として14の製品群が、その後直ぐに5つの製品群が追加され、最近更に8つの製品群が追加され27品目が対象候補に挙がっています。
今後の予定など
- 予備調査の結果、当該LOT(製品群)での実施処置が見送られた場合でも、LOTが再定義(例えば、「冷蔵庫」と言うLOTで予備調査を行った結果「家庭用」と「業務用」にLOTを再定義し直して実施処置が行われる可能性がある)
- 次期予備調査の対象製品群としては以下のLOTが候補に挙がっている様です。
- 現在はEuP(Energy using products)に対する規制ですが、ErP(Energy Related Products)と呼ばれる、自らはエネルギーを消費しませんが、例えば窓ガラスや断熱材などエネルギー効率に影響の大きい製品群まで規制の対象にすることが検討されています。
- この様な状況から自社製品も遅かれ早かれこの指令の対象になるであろう事を予想して、環境に配慮した設計を取り入れることが重要だと思われます。
参考文献及び引用先
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