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情報発信日:2005-03-25
環境先進圏といわれるEUには、最近話題の「WEEE指令」「RoHS指令」「ELV指令」「溶剤指令」などを始めとする多くの環境法規制が存在します。また、現在検討が進んでいる法規制として注目を集めている、化学品規制を目的とした「REACH規則」や環境配慮設計を目的とした「EuP指令」などがあります。
EUには多くの法規制がありますが、産業に対する環境法規制は以下の4つの指令及び規則によりその骨格を形成しているといわれています。
Concerning integrated pollution prevention and control, 96/61/EC
IPPC指令はEU環境法のなかで唯一、産業汚染を根源から総括的に管理する指令といわれています。また、事業の操業許認可制度を設け、EU域内におけるさまざまな汚染源からの汚染を最小化することを目的としています。IPPC指令では、新規及び既存の設備を用いた産業活動による環境への影響度を抑止する目的で、1999年10月以降は付則に定められた特定の産業における新規設備および大幅な改造が行なわれる設備について適用されます。その他の既存設備についても、2007年までの猶予期間が定められていますが、以降は操業許可を取る必要が生じます。
85/337/EEC「特定の公共および民間事業の環境影響アセスメントに関するEU指令」
俗称:Directive Environmental Impact Assessment
正式:The assessment of the effects of certain public and private projects on the environment
EUにおける環境アセスメント関係の規制は、上記のEIA指令と下記の改正EIA指令ともいわれるSEA指令から行なわれています。
2001/42/EC「特定の計画及びプログラムの環境影響アセスメントに関する指令」
俗称:Directive strategic Environmental Assessment
正式:The assessment of the effects of certain plans and programs on the environment
EIA指令およびSEA指令によるEUの環境影響アセスメントの考え方は、「対処療法よりも未然防止に重点を置く」というEUの環境政策の基本的な考え方に基づいており、IPPC指令による許認可対象事業に対して「事業認可申請の前に環境への影響を評価するための環境影響アセスメントの手順」が示されています。
Eco-Management and Audit Scheme Regulation, EEC/No.1836/93
EMAS規則は、「法規制に基づいて規制当局が管理する」という従来の手法では環境保護に限界があり、費用対効果の観点から各企業に自主的に環境施策を推進させようとする目的で導入されたものです。企業は事業所ごとに環境改善計画と管理システムを確立して登録・認証を受け、その結果を第三者監査機関から検証を受けて定期的に報告書として公表する義務を負います。達成すべき目標は環境法令の遵守、環境負荷の継続的な改善などで、ISO14001と同じ主旨の制度といえます。
Directive 96/82/EC on the control of major-accident hazards involving dangerous
通称「セベソ(Seveso)指令(一定の産業活動にともなう重大事故の危険性に関する指令」82/501/EECは、1976年にイタリアのセベソにある殺虫剤と除草剤を製造する化学工場で起きたダイオキシン汚染事故を契機として発令されました。その後、1984年にインドのカーバイト工場で発生したイソシアン酸メチルという毒物の漏洩事故によって2,500人もの人々が死亡しました。さらに1986年にはスイスのバーゼルで起きた殺虫剤工場の火災では、消火に使用された水が、水銀や有機リン系殺虫剤に汚染されてライン川に流れ込んだことにより、50万匹もの魚が死ぬ事故がおこりました。これにより2度の改正が行われ、危険物の保管に関する規定まで範囲を広げ、さらに前述のIPPC指令の採択を受けて現行「セヴェソII指令」が再設定されました。企業及び公的機関の大規模事故を防止するとともに、万一事故が発生した場合に被害を最小限にくいとめるために危険物の保管や管理に関して細かく規定されています。
EUにおける環境法規制に対する基本的な考え方は上記4つの指令及び規則によりその骨格が形成されています。その他のおもな環境法規制は、下記リンクのJETRO、または、日本機会工業連合会のウェブサイトをご参照ください。