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情報発信日:2004-12-24
中国においても、EUのRoHS指令(電気電子機器における有害物質使用制限令)と類似の法案が検討されていることについては、2004年9月に簡単に触れましたが、2004年4月に中国情報産業部より「年内の公布」が宣言され、成立すれば日本企業への影響も極めて大きいと予想されるため、法案の内容及び制定の動向について、逐次報告してゆきたいと思います。
中国政府がEUのRoHS指令に相当する法律「電子情報製品汚染防治管理弁法」(以下『管理弁法』)の制定を検討している背景には、二つの理由が考えられます。
中国は現在急速な経済成長を続けていますが、そのなかでも家電産業は重要な産業の一つに位置づけられ、全輸出家電のうち約1/4は欧州向けといわれています。したがって、RoHS指令に対応しないかぎり欧州市場を失うという切羽詰まった事情があります。
一方、1980年ごろより急速に普及しはじめた中国国内のテレビ、洗濯機、冷蔵庫などの家電製品は、約1,000〜2,000万台が2005年ごろまでに耐用年数をむかえるといわれており、また携帯電話の利用者も2〜3億人に達したとされ、今後これらの廃棄問題がますます深刻化すると予想されています。とくに、中国では耐用年数を過ぎたものでも市中の業者が簡単なリペアをして再生品として販売するなど廃家電の回収ルートがはっきりしていないため、大量の廃家電が不法投棄される可能性もあり深刻な状況に直面しています。
約2年に渡る中国国内の電気電子関連メーカなどとの調整作業、「管理弁法」の整合性確認などを終えていよいよ公布されるのか、今日現在はまだ公布されたとの情報は得られていませんが、中国が「管理弁法」をなんとしても成立させなければならない事情があることは否めないと思われます。
「欧米の企業が対応できるなら中国も努力すれば何とかなる」との楽観的な見方と、有害物質規制において無鉛ハンダなどの対応が進んでいない状況や、中小のメーカから部品を調達している企業が多く有害規制物質の「非使用」をシステム的に管理することが難しいなどの事情から、「EUのRoHSに対応できるのは日欧米の企業だけであり、中国電気電子産業は大きな打撃を受けるだろう」とする悲観的な見方があるようです。
「管理弁法」が未公布の状況なので正確な情報ではありませんが、「本法」の原案は全4章から構成されています。
第一章 総則、『管理弁法』制定の主旨、目的と制定の法的根拠
第二章 電子情報製品による汚染の防止と対処
第三章 電子情報製品の製造における防止、対処への監督管理
第四章 附則
概要は以下のとおりです。