ホーム > 環境について > 環境関連情報 > 化審法データベース(J-CHECK)について
情報発信日:2016-3-23
独立行政法人製品評価技術基盤機構は、2016年2月9日付けでJ-CHECKのデータを更新したと発表しました(2016年2月16日付けで「J-CHECKに不具合が生じたため、システムを停止しております」とのお知らせがありましたが、2016年3月10日現在では稼働しているようです)。
J-CHECKとは、「環境省、厚生労働省及び経済産業省が、化学物質の安全性情報の発信基盤の充実・強化を目指して、従来のデータベースをリニューアルし、『化審法データベース(通称:J-CHECK:Japan Chemicals Collaborative Knowledge Database)』として、独立行政法人製品評価技術基盤機構のウェブサイトにおいて2008年5月より一般公開されており、無料で利用できるもの」ですが、今回、化審法の一部改正及び当該データの更新が行われたのを機会に、化学物質管理において有用なツールの一つだと思われますので、J-CHECKで何がわかるのかを具体例を用いて解説したいと思います。
※独立行政法人製品評価技術基盤機構は経済産業省所管の独立行政法人で、工業製品などに関する技術上の評価や品質に関する情報の収集・提供などをその主たる業務としており、以下の各分野に関わる業務を行っている機関です。
J-CHECK(Japan Chemicals Collaborative Knowledge Database)とは、データベースを運営している独立行政法人製品評価技術基盤機構によると、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に関わる厚生労働省、経済産業省及び環境省が、化学物質の安全性情報の発信基盤の充実・強化を目指して化学物質の安全性情報を広く国民に発信するため作成するものです」としており、「J-CHECKでは、これまで国が行ってきた既存化学物質の安全性点検の試験報告書やリスク評価結果など、より詳しい情報の発信にも取り組んでいます」と説明しています。
例えば、化審法の第1種特定化学物質である「ヘキサクロロベンゼン」について検索する場合、化学物質の名称、CAS番号またはMITI番号(化審法官報公示整理番号)のいずれかで検索ができます。
試しに「ヘキサクロロベンゼン」を入力し、検索すると、下のようにCAS番号、MITI番号、他の名称、法規制分類、化学構造式、試験データ有無などが表示されます。
さらに、上図の左端のNo.欄「1」をクリックすることで詳細なデータが閲覧できます。
また、日本語と英語の切り替えができますので、英語で検索すると、化学物質の英名がわかります。
化審法の対象となる第1種特定化学物質、第2種特定化学物質、監視化学物質、優先評価化学物質、一般化学物質、新規公示化学物質、既存化学物質、届出不要物質などが検索できます。
注1) 第1種特定化学物質とは、難分解性かつ高濃縮性であり、人又は高次捕食動物に対する長期毒性を有するおそれがあり、政令(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令)により定められた物質です。
注2) 第2種特定化学物質とは、人又は生活環境動植物に対する長期毒性を有するおそれがあり、かつ相当広範な地域の環境中に相当程度残留しているか、又は近くその状況に至ることが確実であると見込まれることにより、人又は生活環境動植物への被害を生ずるおそれがあると認められる化学物質で、政令(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令)により定められた物質です。
注3) 監視化学物質とは、難分解性かつ高濃縮性であり、人又は高次捕食動物に対する長期毒性が明らかでないもので、化審法の規定に基づき公示された物質です。
注4) 優先評価化学物とは、人又は生活環境動植物への長期毒性を有しないことが明らかであるとは認められず、かつ相当広範な地域の環境中に相当程度残留しているか、又はその状況に至る見込みがあり、人又は生活環境動植物への被害を生ずるおそれがないと認められないため、そのおそれがあるかどうかについての評価(リスク評価)を優先的に行う必要がある物質で、化審法の規定に基づき公示された物質です。
*官報公示整理番号が複数の場合は、1つのみ表示されております。
注5) 一般化学物質とは、化審法第2条第7項で、優先評価化学物質、監視化学物質、第1種特定化学物質、第2種特定化学物質を除く、以下の化学物質と定義されています。
1. 既存化学物質名簿に掲載された化学物質
2. 新規公示化学物質
3. 旧第二種・第三種監視化学物質
4. 優先評価化学物質の指定を取り消された化学物質
注6) 新規公示化学物質とは、我が国で新たに製造又は輸入される化学物質として、改正前の化審法に基づき2011(平成23)年4月1日より前に届け出られたもののうち、第1種特定化学物質、第2種監視化学物質及び第3種監視化学物質のいずれにも該当しないものと判定され、公示された物質です。 現行化審法においては、第二条第七項の規定に基づき一般化学物質とされています(優先評価化学物質、監視化学物質、第一種特定化学物質及び第二種特定化学物質を除く)。
注7) 既存化学物質とは、1973(昭和48)年の化審法の公布の際、現に業として製造又は輸入されていた化学物質(試験研究のために製造され又は輸入されていた化学物質及び試薬として製造され又は輸入されていた化学物質を除く)であり、化審法の規定により名称が公示された化学物質(既存化学物質名簿に記載されている化学物質)です。現行化審法においては、第二条第七項の規定に基づき一般化学物質とされています(優先評価化学物質、監視化学物質、第一種特定化学物質及び第二種特定化学物質を除く)。
注8) 届出不要物質(製造輸入量の届出を要しない物質)とは、第1種特定化学物質、第2種特定化学物質のいずれにも該当しないと認められる化学物質その他の、人又は生活環境動植物への被害を生ずるおそれがあるかどうかについての評価を行うことが必要と認められないものとして、化審法の規定に基づき公示された物質です。
例えば、第1種特定化学物質を開いてみると、ポリ塩化ビフェニルからヘキサブロモシクロドデカンまで30種類の化学物質が並びます。しかし、ポリ塩化ビフェニルの詳細を調べると単一のCAS番号を有する化合物ではなく、290種類の化学物質群からなることがわかります。
J-CHECKは化審法に関する総合サイトですので、化学物質そのものの情報の他にも、
1. 国が保有する化学物質の有害性情報等
2. 優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価 I の結果及び対応について
3. 化審法の施行状況(経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室 2015年8月3日)
4. 政令指定製品など
5. 審査情報(審査シート)
6. Japanチャレンジプログラム対象物質一覧(656物質)
に関する情報を入手できます。
注9) Japanチャレンジプログラムとは、経済産業省によると「平成15年、厚生労働省、経済産業省、環境省の3省合同審議会により、産業界と国が連携して既存化学物質の安全性点検を実施すべきであるとの提言が行われました。また、化審法の改正法案の国会審議に際し、既存化学物質の安全性点検については、産業界と国の連携により計画的推進を図ることとする付帯決議が行われました。これらを受け、情報の推進を加速し、広く国民に情報発信を行う方策について検討を進め、「官民連携化学物質安全性情報収集・発信プログラム」(通称:Japanチャレンジプログラム)を提案する運びとなりました」とのこと。
Japanチャレンジプログラムは平成17年から開始され、既存化学物質から優先して情報を収集・発信すべき「優先情報収集対象物質」をリストアップし、産業界と国が連携して安全性情報の収集及びデータベースの構築による安全性情報の発信に取組みました。
Japanチャレンジプログラムは平成24年度をもって取組を終了し、平成25年9月に最終とりまとめを公表しました。これにより情報収集された物質は656物質です。
有害化学物質規制・管理という話題に対してEUにおけるREACH規則やRoHS指令、あるいはストックホルム条約などが頭に浮かびますが、まずは国内において環境経由で曝露される化学物質管理に関する主な法体系を熟知し、改正情報を的確に把握して対応することが重要といえます。
上図の他に、危険物取扱法や労働安全衛生法なども関連しますが、特に化審法はこの中でも化学物質そのものの安全性を確認する上で重要な法律ですので、今回紹介したJ-CHECKは有用なツールとなると思われます。但し、独立行政法人製品評価技術基盤機構が運営する無料サイトであるため、利用に当たっては以下の免責条項がありますので、ご承知おき下さい。
・化審法データベース(J-CHECK)において提供する情報の正確性については、万全を期しておりますが、その完全性、正確性、有用性等いかなる保証をするものではありません。
・掲載内容は、予告なく中断、変更、修正、削除等することもあり、常に最新の情報とは限りませんのでご了承ください。
・厚生労働省、環境省及び独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)では、本データベースの使用、閲覧等に起因、または関連して生じたいかなる損害、損失、費用等について一切責任を負うものではありませんのでご了承ください。
・CAS番号と官報公示整理番号の関連は、最終的に確認されたものではありません。