ホーム > 環境について > 環境関連情報 > 放射能、放射性物質と放射線について(その1)
情報発信日:2011-04-20
このたびの東日本大震災で被災された多くの方々に心よりお見舞い申し上げるとともに一日も早い復興をお祈り申し上げます。
2011年3月11日に発生した東日本大震災により福島第一原子力発電所で放射性物質の漏洩事故が起きています。復旧作業に当たっている電力会社及び協力会社社員、自衛隊や消防関係者の被ばく量の単位にシーベルト[Sv]が使われており、「胸部X線の何倍」とかで表現されています。一方では食品や飲料水に残留放射能が検出されベクレル[Bq]という単位が使用されています。今回は各々どの位の値なら安全といえるのか、まとめました。
まず「放射能」とは、「放射性物質」が「放射線」を出す能力のことで、逆に言うと「放射線」を出す能力のある物質を「放射性物質」と呼びます。放射能の単位にはベクレル[Bq]やキュリーがあり、放射線の単位には放射線の強さの単位にグレイ[Gy]が、人体を含む生体に与える影響も加味した放射線の強さ(被曝量)の単位にはシーベルト[Sv]が使われます。
放射線とは目に見えない電磁波(α線、β線、γ線、X線など)や粒子線(中性子線など)で、放射性物質から放出され人体や生体に悪影響を直接与えるものです。
放射能の単位ベクレル[Bq]は1秒間に1つの原子核が崩壊して出す放射能の量を1ベクレル[Bq]といい、1秒間に100個の原子核が崩壊して放射能を出せば、この量が100ベクレル[Bq]となります。
ある物質が放射性物質から出た放射線を受けた場合の強さ(吸収線量)はグレイ[Gy]で表されます。生体(人体)が放射線を受けた場合の影響は、受けた放射線の種類(α線、γ線γ、線、X線、中性子線など)によって異なるので、吸収線量値(グレイ)に放射線の種類ごとに定められた放射線荷重係数を乗じて線量当量(シーベルト[Sv])を算出します。
線量当量[Sv]=放射線荷重係数×吸収線量[Gy]
2011年(平成23年)3月17日付け厚生労働省医薬品食品局食品安全部長名で各自治体長宛てに出された食安発0317第3号「放射能汚染された食品の取り扱いについて」によると、「福島第一原子力発電所事故に係り食品衛生法の観点から、当分の間、別添の原子力安全委員会により示された指標値を暫定規制値として適用し、これを上回る食品については食品衛生法第6条第2号に該当するものとし食用に供しないようにされたい。」とされており、表3に示す基準値が示されています。
この規制値の飲食物を摂取した場合、このままでは、どの程度の放射線量を浴びたことに相当するのかわかりませんので、現在検出されている放射性ヨウ素と放射性セシウムについて経口摂取したと仮定してシーベルト単位に換算してみると、以下の表3の右列の数字が計算されます。
以上表2と表3の数字の単位を同じにしたことによって、大分わかりやすくなったかと思いますが、世界の各地でかなりバラツキがありますが自然に生活していても「1〜10mSv/年」程度の放射線を浴びています。比較的放射線を浴びる量が多いとされるブラジル・カラバリやイランのラムサールなどでは1〜100mSv/年=0.0027〜0.27mSv/日と計算されます。
現在までの新聞やTVの報道で見ると福島第一原子力発電所からの汚染によると思われる放射能汚染は、
以上の通りです。(赤い数字は暫定基準値超)
放射能についてはいろいろな見方がありますが、ここまで浴びても安全、ここまで摂取しても大丈夫という数字はなく、極力体内に入れない方がよいと言えますが、必要以上に神経質になることも、必要以上に無神経になることもなく、本コラムでまとめた数字を参考にテレビや新聞で発表される数値を理解して冷静に行動されることを望みます。