ホーム > 環境について > 環境関連情報 > REACH規則用語・略語#1
情報発信日:2007-12-25
昨今、有害化学物質の規制が広がりをみせていますが、2007年6月に実効になったEUでのREACH規則は、本文だけで数百ページに渡り、さらにRIPとよばれる複数の技術ガイダンス(現在も継続して製作/公開が続いています)を含めると実に膨大な量から構成されています。
また、REACH規則はすべての化学物質が規制の対象になりますが、その化学物質の年間生産の多少、心配される毒性の強弱、その用途、意図的放出の有無などによって規制開始の時期や規制内容も異なり、一元的な規制でないために解釈や対応が極めて難しい規制だといえます。
さらには、多数の略語や専門的な用語が用いられているため、完全に解釈を行うには多大な労力が必要になるかと思われます。
このような状況において、主要な用語及び略語を拾い上げてみました。
用語 | 略語・和訳 | 解説 |
---|---|---|
Agency | 機構 | REACHに関する日常的な管理運営のために設置された機構。欧州化学品庁(ECA: European Chemicals Agency)のこと |
Animal testing | 動物実験 | 動物、マウスやラットなどの小動物を用いての実験。人間や大型動物に対する物質の有害性を予測するために行う |
Article | 成形品 | 物質(substance)や調剤(Preparation)から構成される材料や部品。製品や最終製品を意味する |
Authorization | 認可 | 非常に高い懸念のある物質(SVHC: Substances of Very High Concern)を使用するにあたり、用途によりECAから特定の許可を受けること |
Carcinogenic, Mutagenic, or Toxic to Reproduction (Substances) | CMR(発癌性、変異原生、生殖毒性物質) | 発癌性 carcinogenic(癌を発生させる)、変異原生 mutagenic(遺伝子に損傷を与える)、生殖毒性 reproductively-toxic(生殖能力の減少や胎児への障害を起こす)が強く懸念される物質 |
Carcinogenicity(発癌性) | - | マウス、ラットなどの実験動物において癌を発生させる性質を有すること |
Chemical (Substance) Safety Report | CSR(化学物質安全報告書) | 化学物質の安全な使用を産業界に示すためのツールを提供する文書。年間10t以上生産される物質の製造者及び輸入者は、化学物質安全報告書"CSR"の作成が必要。CSRには、物質の有害性、分類、その物質がPBTやvPvBに該当するか否かの評価を記載する。危険に分類された物質やPBTまたはvPvBについては、その個々の用途に応じて、曝露シナリオをCSRに記載することが義務づけられる |
Chemical Safety Assessment | CSA(化学物質安全性評価) | 化学物質安全報告書(CSR)よりその物質が特定の用途に使用された場合を想定して、その安全性を評価すること |
Competent Authorities | - | 化学物質の影響についてコンピュータを用いて予測すること。REACHにおける「動物実験を極力避ける」ポリシーを反映して積極的な利用が薦められている |
Downstream user | 川下ユーザ | 化学物質(Substance)を製造するメーカ(サプライヤー)を最上流とし、これを調剤(Preparation)、成形品(article)とする下流のユーザ |
Epidemiological studies | 疫学的調査 | 同じ環境要因である化学物質に曝露した人々のグループの健康状態を、非曝露グループの人々と比較すること。または、ある特定の症状をもつ人々のグループが他の人々に比べて、ある特定の環境要因に多大に曝露したかどうかを観察すること |
European Chemicals Agency | ECA(欧州化学品庁) | REACHの日常的な管理運営を専門に担当する行政担当 |
European Chemicals Bureau | ECB(欧州化学物質局) | 現行の法のもとに、欧州委員会の多くの科学技術的作業を実施している |
Evaluation | 評価 | 化学物質の登録書類 and/or 登録物質の定性的評価のこと |
Existing chemicals | 既存化学物質 | 新規化学物質の届出義務が発効した1981年時点で上市されていた化学物質 |
Exposure | 曝露 | 化学物質と接触すること |
Exposure Scenario | ES(曝露シナリオ) | 特定の化学物質と人間や動物が接触したと推定した場合の被毒推定を行うこと |
Global Harmonised System | GHS | 化学物質の分類と表示のための世界調和システム |
Good laboratory practice | GLP | 研究機関、検査機関などにおける業務管理基準 |
High Production Volume (Chemicals) | HPV | 高生産量化学物質(生産量1,000t/年以上の化学物質) |
Importer | 輸入者 | 輸入において、EU内において責任ある個人または法人のこと。EUの税関を通関した場合は上市とみなされる |
In vitro testing | 体外試験 | 動物を用いた試験(In vivo testing)の反対の意味で、生体外で行われる試験。試験管試験ともいわれ、生物の組織や細胞などを用いる |
Intentional Release Substance | 意図的放出 | たとえば、スプレー缶内の液体、プリンタカートリッジ内のインクなど「当該化学物質を放出することによって製品が機能する」もの |
Intergovernmental Forum on Chemicals Safety | IFCS | 化学物質の安全性に関する政府間フォーラム |
Low Degradablity | 難分解性 | 自然界環境下で当該化学物質が生物的または非生物的に容易に分解されない性質。自然環境下に排出された難分解性の化学物質は環境中に残留して、人間や生物に悪影響をもたらす可能性がある。難分解性化学物質の例としてDDT、PCB、ダイオキシンなどがある |