有害物質規制最前線#11
日本版RoHS「家電製品・パソコンの製品含有物質に関する情報提供の義務化」
情報発信日:2006-06-07
資源有効利用促進法の政令及び省令の一部改正
経済産業省は「資源有効利用促進法」に基づき、事業者に「環境配慮設計を求める判断基準省令」を改正し、2006年7月1日より以下の制度をスタートさせます。
- 製造事業者及び輸入販売事業者に対して、製品に含有される物質に関する情報の提供
- 従来は製造事業者(国内メーカ)にのみ求められていた環境配慮設計の取組みが輸入販売事業者にも求められます
製品に含有される物質に関する情報提供
本制度の目的
本制度の目的は「電気・電子機器に含有する特定化学物質に関する情報の提供を行うこと」により、
- サプライチェーン(セットメーカへ部品、原料などを供給する川上事業者)及びライフサイクル(製品の原料調達から廃棄まで)の各段階の事業者における、特定化学物質管理の改善促進
- 一般消費者の理解を容易にする
- 再生資源及び再生部品の利用の促進を図る
義務対象者
対象製品の製造事業者及び輸入販売事業者
対象製品(指定再利用促進製品のうち以下の7品目)
- パーソナル・コンピュータ
- ユニット形エアコンデショナ
- テレビ受像機
- 電気冷蔵庫
- 電気洗濯機
- 電子レンジ
- 衣類乾燥機
対象物質
- 鉛及びその化合物
- 水銀及びその化合物
- 六価クロム化合物
- カドミウム及びその化合物
- ポリブロモビフェニル(PBB)
- ポリブロモジフェニルエーテル(PBDE)
情報提供の方法
対象製品を製造または輸入販売する事業者は、対象製品に含有される対象物質の管理を行うとともに、対象製品に対象物質が含有基準値*1を超えて含有する場合には、
- 機器本体、包装箱への含有マーク*2表示
- 機器のカタログ類への画乳マーク・化学物質記号の表示
- ウェブサイトにおける含有状況に関する情報提供
*1 含有率基準値:カドミウム0.01wt%(100ppm)、それ以外の対象物質:0.1wt%(1000ppm)
*2 J-Mossオレンジマークでマーク版下は日本工業標準調査会「ニュースとお知らせ」欄(JIS C0950:2005で規定する含有マークのダウンロード)およびJEITA(電子情報技術産業協会)のウェブサイトからダウンロードできます。くわしくは「JIS C0950 電気・電子機器の特定の化学物質の含有表示方法」をご覧ください。
輸入販売事業者に求められる環境配慮設計の取組み
これまでは国内製造業者にのみ求められていた環境配慮設計の取組みが輸入販売業者にも求められることになります。
指定省資源化製品
「原材料の使用の合理化」「長期間の使用の促進」等の取組みにより使用済物品等の発生の抑制に取組むべき製品
対象製品
上述7品目
求められる取組み
対象製品ごとに定められた判断基準省令により、以下の取組みが求められます。くわしくは判断基準省令を参照ください。
- 原材料等の使用合理化
- 長期間の使用促進
- 修理などに係る安全性の確保
- 修理機会の確保
- 安全性等の配慮
- 知識の向上
- 事前評価
- 情報の提供
- 包装材料の工夫
指定再利用促進製品
製品の使用・廃棄後にその全部または一部を再生資源や再生部品として利用することに取組むべき製品
対象製品
上述7品目に「複写機」を加えた8品目
求められる取組み
- 原材料の工夫
- 構造の工夫
- 分別のための工夫
- 処理に係る安全性に確保
- 安全性等の配慮
- 知識の向上
- 事前評価
- 包装材の工夫
- 含有物質の管理
- 情報の提供
グリーンマークの任意表示制度
前述したように、本政省令で対象7品目の製品において対象6品目の化学物質を規制閾値以上に含む場合は、含有オレンジマークを表示する義務が生じますが、反対に対象7品目の製品及びその他の非対象電気・電子機器において対象6品目の化学物質含有量が閾値以下である場合には、任意に「非含有」を示すグリーンマークを表示してもよいことになります(グリーンマーク版下はJEITAウェブサイトから有料でダウンロードできます)。
それでは、会員企業の製品である電動の遠隔操作弁や電子制御によるコントロール弁、電子水栓などにもグリーンマークを表示することは可能なのでしょうか? ちょっと気になるところなので調べてみました。
JIS C0950原案作成分科会作成のQ&A、及び、JEITAウェブサイトによると、
- 電気を動力とする、あるいは電子制御機能を有する機器の本体(部品・付属品を除く)、かつ、
- 日本標準商品分類(総務省統計局統計基準部発行平成2年改訂)の中分類(52,54,56,57,58,59,60,61,62,64,84,89,90)に該当するもの、かつ、
- JIS C0950で規定されている特定の化学物質の含有に関する情報が正しく管理されており、グリーンマークの次のいずれかの条件を満たすこと
- すべての算出対象物質の含有率が,含有率基準値以下である場合
- 一部の算出対象物質が含有マークの除外項目に該当し,かつ、それ以外の算出対象物質の含有率が,含有率基準値以下である場合
以上1〜3までの条件を満たす場合にのみ、非含有を示すグリーンマークを任意表示できるようです。バルブや継手類は、日本標準分類では「45」に分類されており、任意表示製品には該当しないようです。
重要
- 非含有を示すグリーンマークは任意表示ですが、虚偽の表示をすると「不当景品類及び不当表示防止法」に違反し、公正取引委員会から排除命令を受ける可能性があります。また、不正競争防止法違反となる可能性もあります。
- J-MossとRoHSには、適用除外などにおいて詳細が異なる事項がありますので、J-Moss適合=RoHS適合ではありません。
引用・出典
注意
- 無断で本情報を二次使用すること及び転載することを禁じます。
- 本情報は経済産業省及びJEITA(電子情報技術産業協会)のウェブサイトなどから収集した情報を加工したものです。その内容に疑義を感じた場合、本情報の利用者はリンク先の情報を調査のうえ、自己判断に基づき、解釈をお願いします。なお、リンク切れの場合はご容赦願います。
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