ホーム > 環境について > 環境関連情報 > 有害物質規制最前線#2 製品含有化学物質管理ガイドライン
情報発信日:2005-10-21
グリーン調達調査共通化協議会(JGPSSI)は2005年9月27日付で、経済産業省の支援を受けた「製品含有化学物質情報管理認証制度検討委員会」の報告書を引き継ぎ、RoHS指令などに代表される有害物質規制に対応するための仕組みとして「製品含有化学物質管理ガイドライン」を公表しました。
EUにおけるRoHS指令に端を発したかたちの有害物質規制の流れは、「環境負荷低減」という世界共通の課題であることから急速に広がりを見せており、直接EU向け電気電子機器を生産しない企業にとっても、今後は企業間取引において製品含有有害物質の管理は無視できない大きな経営課題の一つになると思われます。
これは、電気電子機器や自動車に含有してはならないとされる有害物質が「規制がないから他分野の製品には含有されてもよい」という論理が成り立たないことから明らかです。
したがって、自社製品に含まれる有害物質をいかに効率的に管理してゆくかが、今後の企業の生き残りをかけた大きな分岐点になると思われます。
有害物質の管理は、一つ一つの部品を構成する材料ごとに分析を行う必要があるために、最終製品を出荷する段階で検査・分析することは物理的にも困難であり、製造段階での部品や材料の調達段階から管理する必要があります。
しかし、各企業が個別に調達段階で分析を行うことは費用面からむずかしく、川上の部品メーカから有害物質に関する管理情報を受けとる、部品メーカはさらに川上の材料メーカから情報を受けとるといった、モノとともに情報の伝達が正確に行われるサプライチェーンを構築する必要が生じます。
このようなサプライチェーンにおいては、大企業から中小企業までが同じレベルで正確な情報伝達を行わないと意味がありません。現状では川下企業のセットメーカからさまざまなかたちで、川上の部品、材料メーカー有害物質含有に関する情報提供が求められていますが、とくに「化学の知識をもつ技術者がいない」あるいは「自社で有害物質の分析ができない」といった川上の中小企業にとって、この負担は重いものがあります。
また大手企業にとっても、効率的な有害物質管理は手探り状態にあり、統一した管理手法が求められておりました。
このような状況において、経済産業省の支援のもと2004年3月にJGPSSI代表幹事(キヤノン、ソニー、NEC)、日本化学工業協会、日本塗料検査協会、製品評価技術基盤機構、産業技術総合研究所、化学物質評価研究機構、日本品質保証機構が参加する「製品含有化学物質情報管理認証制度検討委員会」(事務局:富士総合研究所)が設置され「製品含有化学物質情報管理ガイドライン」が作られました。
「このガイドラインは素材メーカーからセットメーカーまでのサプライチェーンに関わる企業が含有化学物質情報の信頼性を確保するため、自社内で実践すべき事項について示されたものです。JGPSSI参加企業及びその他の企業の皆様が、本ガイドラインに沿った製品含有化学物質管理の仕組みを構築していただき、情報伝達のスピード及び精度向上をはかっていただくことを期待します。」
-2005年9月27日付JGPSSI発表の「『製品含有化学物質管理ガイドライン』の発行について」より引用。
本ガイドラインは自主基準であるため、ガイドラインにしたがった管理体制構築が、RoHS 指令などに対する遵法が保証されるものではありませんが、少なくともISOとの整合性などが考慮されて作成されており、世界で初めてのガイドラインとして示されたことから、今後は種々の有害物質規制対応での仕組構築のグローバルスタンダードになる可能性が高いと思われます。今後グリーン調達を行う予定の企業にとっては、効率的な有害物質管理のためのガイドラインとなりうるものと思われます。