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環境関連情報

温室効果ガス排出量削減のために

チャレンジ25キャンペーンとは

情報発信日:2012-1-20

はじめに

2011年3月11日東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故発生から9ヶ月が過ぎた2012年1月現在の最新情報によると、全国18ヶ所に54基ある原子力発電用原子炉のうち稼動しているのはわずか8基で、稼動率は20.1% に留まっているとのことです。

資源エネルギー庁の「エネルギー白書2010」によると、日本の総発電電力量のうち火力発電電力量が占める割合は61.7% (LNGが29.4%、石炭が24.7%、石油など7.6%) 、次いで原子力発電電力量が29.2%、水力発電電力量が8.1%、その他新エネルギーなどが1.1% と原子力発電電力量が全体の約3割を占めていると報告されています。その8割が稼働を停止しているということは、前年と単純に比較すると実に24% もの電力供給能力が減少していることになります。

もちろん、各電力会社は効率や環境問題などの理由で休止していた火力発電所を再稼働させたり、稼働率をアップさせたりしているとは思われますが、昨年に比べて約20% 前後の電力供給量低下が起きているにもかかわらず、「節電」の呼びかけだけで主要な産業や交通などに大きな影響や混乱が出ずに済んでいる状況をみると、今まで散々「省エネ、省エネ」と叫びながらも、いかに大切なエネルギーのムダ使いをしてきたかがわかるような気がします。

街を見回すだけでも、以前は人が乗ろうが乗るまいが1日中稼働していたエスカレーターに、人感センサーが付いて人が乗る時だけ動くようになっていたり、複数あるエレベーターのうち、使用頻度の少ない時間帯には部分的に停止させたり、赤信号で停車した場合にアイドリングをストップする車両が増加したりと、いろいろなところで省エネのための工夫がみられ「なるほど」と感心するこの頃です。

一方、先月も書きましたが温室効果ガス排出量削減のための会議 (COP17/CMP7) が2011年11月28日から12月11日まで予定を2日も延長して開催され、多くの議論が行われたにもかかわらず各国の利害が激しく衝突し、2012年で拘束期間の切れる京都議定書以降に対して、温室効果ガス排出削減に大きな不安を残す結果となってしまいました。 しかし、各国政府も温室効果ガスの排出量削減に関しては異論のないところであり、「ペナルティのある削減義務を負う条約には加わりたくはないが、二酸化炭素の排出量は削減するべき」として、国連に加盟している数十ヶ国がすでに二酸化炭素排出量の削減目標を提示しているそうです。

わが国においては「二酸化炭素排出量第1位の中国と第2位の米国が加わらない京都議定書は不平等」という主張を行い、今回のCOP17/CMP7においてはロシアやカナダとともに2013年以降の京都議定書延長を拒否しましたが、2009年9月、当時の鳩山内閣総理大臣がニューヨークの国連気候変動サミットにおいて、「わが国の目標として、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減する」と表明しています。

この発言に対する法的拘束力はありませんが、仮にも一国のリーダーが国連という公の場で表明しましたので、政府としては、「地球と日本の環境を守り未来の子どもたちに引き継いでいくため、あらゆる政策を総動員して地球温暖化防止の対策を推進する」としています。 そのための温暖化防止のための国民的運動を、「チャレンジ25キャンペーン」と名付け、2010年1月14日より新たに展開されています。

枯渇性エネルギーの消費量を抑制し温室効果ガスの排出量の削減目標を定め、国家間での約束を行うのは各国政府ですが、実際に行動する各企業や個人1人1人が種々の工夫をしないかぎりにおいて目標は達成できないと思いますし、「やらされている」という後ろ向きの姿勢で対応するよりは、原子力発電の稼働率が20% になってもあまり困らないという状況を考えれば、「この際、徹底的に無駄なエネルギー消費を抑えよう」という前向きな姿勢で対応した方が、このような不況の世情において家庭でもビジネスでも有効ではないでしょうか?

そのためのツールとして、今回は環境省が主体で進める「チャレンジ25キャンペーン」を紹介したいと思います。

チャレンジ25キャンペーンとは

※(以下環境省「チャレンジ25キャンペーン」ホームページより引用)

地球温暖化という人類の生存に関わる脅威に対して、世界が立ち向かおうとしています。 2005年2月16日には「京都議定書」が発効し、日本は2008年から2012年の間にCO2などの温室効果ガス排出量を1990年にくらべて6%削減することが義務づけられ、さまざまな対策を進めてきました。

このようななか、2009年9月、鳩山内閣総理大臣がニューヨークの国連気候変動サミットにおいて、わが国の目標として、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減することを表明されました。

政府では、地球と日本の環境を守り未来の子どもたちに引き継いでいくため、「チャレンジ25」と名づけ、あらゆる政策を総動員して地球温暖化防止の対策を推進することとしており、そのための温暖化防止のための国民的運動を「チャレンジ25キャンペーン」として2010年1月14日より、新たに展開することとしました。

「チャレンジ25キャンペーン」は、これまでの地球温暖化防止のための国民運動「チーム・マイナス6%」から、よりCO2削減に向けた運動へと生まれ変わり展開するものであり、オフィスや家庭などにおいて実践できるCO2削減に向けた具体的な行動を「6つのチャレンジ」として提案し、その行動の実践を広く国民の皆様によびかけて参ります。

チャレンジ25キャンペーンが推進する「6つのチャレンジ」と「25のアクション」とは

(1) チャレンジ1 <エコな生活スタイルを選択する>

地球温暖化を防止するためには、新技術や新製品の開発も必要ですが、1人1人の取る行動が大切、いくら省エネ機器やエコカーを購入したといっても、エネルギーを無駄に消費する使用を繰り返しては効果が出ません。

1人1人が賢くエネルギーを使うことにより、その効果は小さくとも寄せ集めれば大きな効果を生みます。

例えば

チャレンジ2 <省エネ製品を選択する>

エアコン、テレビ、冷蔵庫などの家電製品や自動車などわれわれの生活を便利にしてくれる製品は多くのエネルギーを消費します。新しい製品を購入する場合にはエネルギー効率の高い製品を選択することが重要になります。

日本の技術力は高く、家電をはじめさまざまな製品が、日進月歩の進化を遂げています。 たとえば、2008年型のエアコンと1995年型のエアコンを比較(※)すると、約40%も省エネ効率が高くなっています。
(※冷暖房兼用・壁掛け型・冷房能力2.8kWクラス・省エネルギー型の代表機の比較/出所:社団法人日本冷凍空調工業会)

例えば

(3) チャレンジ3 <自然を利用したエネルギーを選択する>

太陽・風・水、自然に存在する力(再生可能エネルギー)を利用する。

石油や石炭など二酸化炭素を排出する化石エネルギーに対して二酸化炭素を排出しない自然エネルギーを積極的に利用する。

例えば

(4) チャレンジ4 <ビル・住宅のエコ化の実施>

昔から今日まで人間の生活は暑さと寒さとの戦いの歴史でした。国によって、気候に合わせた形の住宅が発達してきました。蒸し暑い夏を快適に過ごすために日本では庇を長くしたり、町屋の坪庭など自然の光や風を活かす家作りをの工夫を行ってきました。最近の住宅やオフィスでは冷暖房の効率を高めるために、高断熱高気密化による快適空間作りが進められています。新築時はもちろんですがリフォーム時にも外壁の断熱化や窓の気密性向上により空調の効率化が可能になります。

例えば

(5) チャレンジ5 <CO2削減につながる取り組みを応援する>

現在各企業や団体などがいろいろな知恵や工夫を行ってCO2削減のための努力を行っています。しかし、CO2は目で見えないため生活の中での排出している責任を実感することが難しかったと思います。

そこでCO2をどれくらい排出しているのか、商品などに排出量を明示して購入選択時のひとつの目安にする新しい取組として「カーボン・フットプリント」という制度があります。また日常生活や経済活動において排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方を「カーボン・オフセット」といいます。

これら、社会においてCO2の排出量を率先して削減しようとしている企業や団体を応援して育てていくことが大切です。

例えば

製品を購入する場合に、1人1人がそのような環境負荷の少ない製品を選択する「グリーンコンシューマ」が増加することによって企業のエコ製品開発も加速すると思われます。

(6) チャレンジ6 <地域で取組む温暖化防止活動に参加する>

温暖化の問題はこの地球に住む私たち「みんなの問題」であり、仲間や地域の人たちとともに温暖化防止にチャレンジすることが重要です。

地域や企業、学校、各種団体などさまざまな単位で温暖化防止活動に「参加する」ことで互いに励まし合って環境への意識を高めることが重要です。

そして、1人1人の温暖化防止の意識が高まれば、地域で交通手段を共有するなど工夫によって、そのコミュニティに根付いた新しい取組も考案できることでしょう。

例えば

まとめ

温室効果ガス排出量の削減および枯渇性エネルギー消費の抑制による環境負荷低減は自分の目で見えにくいことや、自分一人が努力しても、たいしたことはないと思うことなく、環境問題は地球に暮らす私たち全員に関わる問題だという認識を持ち、1人1人が行動を起こすことによって、一人の力は小さくてもそれが集まることによって大きな力、大きな流れになると思います。

本日(2011年12月22日)現在、このチャレンジ25キャンペーンにチャレンジしているのは個人866,168人、企業及び団体が22,597団体です。

チャレンジ25に参加したい方はこちらです。

引用・参考資料

注意

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