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情報発信日:2006-04-06
ロッテルダム条約とは「The Rotterdam Convention on the Prior Informed Consent Procedure for Certain Hazardous Chemicals and Pesticides in International Trade (PIC);国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関する条約」(外務省訳)といわれ、「有害な化学物質の輸出入にあたり、事前に輸入国の意思を確認する」ことを目的とする条約で1998年に採択され、2004年2月に発効しました。
一般的に開発途上国においては、有害な化学物質や駆除剤(農薬)の製造・使用・輸入等の規制措置が整備されていないことが多く、先進国ではすでに製造や使用が禁止された物質が、なお広範に使用され続け、環境汚染、健康被害を引き起こしている例がみられます。このような問題を解決すべく、有害な化学物質や駆除剤(農薬)に関して、各国間の情報交換の制度化が進められてきました。
「事前のかつ情報に基づく同意の手続;the Prior Informed Consent Procedure」とは、有害な化学物質に関する情報を各国で共有したうえで、これらの化学物質等の輸出入を行う場合は、その可否について事前に輸入国の意思を確認・尊重して対応するという制度です。同制度は、平成元年(1989年)より「国際貿易の対象となる化学物質に係る情報交換に関する国際連合環境計画(UNEP)の改正ロンドン・ガイドライン」及び「駆除剤(農薬)の流通及び使用に関する国際連合食糧農業機関(FAO)の国際行動規範」によって導入され、これまでわが国を含む多くの国の間で任意に実施されてきました。
平成4年(1992年)に開催された国連環境開発会議(地球サミット)において採択されたアジェンダ21の第19章には、有害な化学物質の適正な管理のため、「事前のかつ情報に基づく同意の手続」に係る法的文書の早期作成を要請しました。これを受けて、平成7年(1995年)のUNEP第18回管理理事会において、条約化のための外交交渉の開催が決定され、平成8年(1996年)3月以来5回にわたる政府間交渉委員会を経て、平成10年(1998年)9月にロッテルダムで開催された外交会議においてロッテルダム条約が採択されました。
ロッテルダム条約は2005年2月現在、83カ国が署名、わが国を含む73か国(G8では加、独、伊、仏、英)及びECが締結しています。
条約が発効した2004年2月以降、2回の締結国会議が開催されました。2004年9月に開催された第1回締約国会議では130カ国の政府代表が集まり、新たに14物質をPICリストに追加指定すること、及び、27物質を監視対象リストに加えることで合意し、また、PICリストに掲載する化学物質を評価するための「化学物質審査委員会」が設立されました。
第2回締約国会議では、2006年度予算、不遵守への対応、途上国が条約を遵守することを促進する資金メカニズム、技術支援、化学物質審査委員会の運営手続、ロッテルダム条約事務局に関するUNEP・FAO間の最終的な取決め、バーゼル条約事務局・ロッテルダム条約事務局・ストックホルム条約事務局間の協力・連携について議論される予定です。