世界の環境規制#1
欧州
情報発信日:2004-06-03
EUにおける環境政策について
EU(欧州連合)における環境政策は、1987年の単一欧州議定書(ローマ条約の大改正単一欧州議定書、Single European Act 1986)の発効以来、重要な政策として位置づけられています。とくに、1992年に決定された第5次環境行動計画は、「持続可能な開発(Sustainable Development)」を基本としたEUの環境政策のガイドラインとなりました。
- 人の健康と環境を守るための問題防止と予防原則
- 持続可能な開発
- 天然資源の慎重な利用と地球生態系の保護
- 環境と生活の質の全般的な改善
- 大気中のGHG(温室効果ガス)を550ppmで固定
(2008年〜2012年、90年比8%削減)
- 再生可能エネルギーの利用率を12%に増加
- 経済成長と資源利用の分離
- 廃棄物の減量、リサイクル、再利用を優先
- EMAS規則の推奨
EMASとは、Eco-Management and Audit Schemeの略で、企業活動における環境パフォーマンスの継続的な改善を目的に、93年7月に施行、95年4月から運用が開始されたEUの規則です。工場・事業場が環境マネジメントシステム(EMAS)を構築し、内部監査の結果を環境声明書にまとめ、それを外部の公認環境認証人が検証して公表する枠組みで、EMASの継続的改善のみで環境パフォーマンスを直接問わないISO14001より一歩踏み込んでいます。当初、原則として製造業を対象にスタートしましたが、2000年夏を目処に全業種に拡大されました。
化学物質管理の新しい考え方
化学物質の使用
化学物質の利用に起因する、潜在的な「負の影響」に関する知識を深める必要があり、知識提供の責任は生産者、輸入業者及び川下ユーザが負うべき。
危険な化学物質
危険な化学物質は、人と環境に対する危険を軽減することを目的とし、より安全な化学物質あるいは化学物質の利用を必要としない、より安全な代替技術に替えるべきである。
- 2020年までに、化学物質が健康と環境に著しい負の影響を及ぼさない形でのみ生産・利用できるようにする。
- 新しい化学物質及び既存の化学物質に関する実験、リスクアセスメント、リスクマネジメントについて、少量使用を除き段階的アプローチに基づく一貫システムを開発する。
REACHシステム Registration, Evaluation and Authorization of Chemicals
- 予防原則
- 疑わしいものは禁止
- 企業はリスクを評価し、明らかになったリスクを管理する
- 登録内容は生産量・ヒト・環境への曝露可能性による
- 発ガン性・突然変異誘発性・生殖毒性・難分解性・生体蓄積性などは認可性
- 環境ホルモンは認可性
- 曝露リスクは低い場合は登録免除
- 約40種類の各種規制を統合
- 1,000トンを越える物質:2009年頃
- 100トンを越える物質:2012年頃
- 1トンを越える物質:2017年頃
鉛・クロム・フタル酸・ハロゲンのフリー化
- 鉛フリー
- クロムフリー
- 六価クロムによるクロメート処理の廃止
1992年、Volvo自主規制、0.3μg/c㎡ 部品表面
- フタル酸フリー
- フタル酸ジイソノル(DINP)・フタル酸ジブチル(DBP)
フタル酸ジ-2-エチルヘキサン(DEHP)などを含む軟質ポリ塩化ビニル製品商品に対し、3歳以下の子供が口にくわえることを意図したおもちゃ及び育児用品の販売禁止
- ハロゲンフリー
- ポリ塩化ビニル(PVC)に関するグリーンペーパー(規制試案文書)、2000年7月26日
- 包装材料などの寿命の短い用途のものから着手し、可能なかぎり早急に全廃する
価値観の相違(難燃材のベネフィット)
スウェーデン国立研究所調査(BSEF JAPAN/徳勢正昭氏データ)
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