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home>環境について>環境関連情報>化学物質規制・管理>「永遠の化学物質PFAS」の規制が世界的に強化

「永遠の化学物質PFAS」の規制が世界的に強化

2021-04-19

~企業が注意するべき事項~

はじめに

2021年2月2日付けEU官報で、「ペルフルオロオクタン酸(PFOA)、その塩、およびPFOA関連化合物に関する欧州議会および理事会の規則(EU)2019/1021の付録Iを修正」が公告されました。

また、欧州環境庁 (European Environment Agency)が、2019年12月12日公開の「ヨーロッパにおける新たな化学物質のリスク—“PFAS”」と題する短信を、2021年3月9日付けで更新しました。

米国では、環境保護庁が2021年3月3日付け官報「第4版飲料水汚染物質候補リストに収載する汚染物質の最終的な規制決定の発表“Announcement of Final Regulatory Determinations for Contaminants on the Fourth Drinking Water Contaminant Candidate List”」により、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とパーフルオロオクタン酸(PFOA)を規制する決定を公告しました。

これらPFOSやPFOAの規制強化は、2019年4月29日~5月10日にスイスのジュネーブで開催されたストックホルム条約第9回締約国会議(COP9)において、既に制限物質として附属書B(製造・使用、輸出入が特定の用途、目的に制限)に収載されていたPFOSに次いで、PFOAが附属書A(製造・使用、輸出入の原則禁止)に収載されることが決定したことによると考えられます。

PFOS やPFOAに代表される、「永遠の化学物質」と呼ばれる非常に難分解性の高い化学物質PFASについて詳細を解説するとともに、企業への影響の可能性について述べたいと思います。

図1 ストックホルム条約<POPs条約> (出典:経済産業省)
※各附属書記載物質詳細は経済産業省参照

PFASとは

PFASは「パーフルオロアルキル化合物、ポリフルオロアルキル化合物及びこれらの塩類」の略称です。非常に持続性のある(難分解性)の化学物質群で、フッ素系またはポリフッ素系アルキル物質と呼ばれ、主にフッ素系の界面活性剤として70年以上の長きに渡って多くの用途に使用されてきました。約4,700種類あると言われ、中でもパーフルオロオクタン酸(PFOA)とパーフルオロスルホン酸(PFOS) が代表的です。

注)パーフルオロ:満置換(全ての直鎖炭素の水素が全てフッ素と置換)
ポリーフルオロ:CF2基が複数/多く

図2 PFASとは(種々資料から筆者が作成)

図3 PFOSとPFOAの化学構造①(種々資料から筆者が作成)

図4 PFOSとPFOAの化学構造②(種々資料から筆者が作成)

PFASの特性と用途例

<主な特性>

耐火性、耐水性、耐脂性。

表1 PFASの主な用途 (出典:経済産業省のCOP9に関する資料などから作成)

※当工業会会員企業に関係のありそうな用途は赤字で示す。

物質名

主な用途

PFOS
  • 水溶性泡消火薬剤や、紙・包装製品
  • 繊維品・台所器具・電子機器・車部品の表面コーティング
  • 潤滑油や油性調合物
  • 航空機用の作動油
  • 糸を紡ぐために使用する油剤
  • 金属の加工に使用するエッチング剤
  • 消火器、消火器用消火薬剤及び泡消火薬剤
  • 半導体用反射防止剤・レジスト
  • 金属メッキ処理剤
  • 工業用の研磨剤
  • その他の産業・商業製品 (防汚剤、撥水剤、表面処理剤、他)
PFOA
  • 半導体製造におけるフォトリソグラフィ又はエッチングプロセス
  • フィルムに施される写真用コーティング
  • 作業者保護のための撥油・撥水繊維製品
  • 侵襲性及び埋込型医療機器
  • 液体燃料から発生する蒸気の抑制及び液体燃料による火災のために配備されたシステム(移動式及び固定式の両方を含む。)における泡消火薬剤
  • 医薬品の製造を目的としたペルフルオロオクタンブロミド(PFOB)の製造のためのペルフルオロオクタンヨージド(PFOI)の使用
  • 以下の製品に使用するためのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)の製造

・高機能性の抗腐食性ガスフィルター膜、水処理膜、医療用繊維に用いる膜
・産業用廃熱交換器
・揮発性有機化合物及びPM2.5微粒子の漏えい防止可能な工業用シーリング材

  • 送電用高圧電線及びケーブルの製造のためのポリフルオロエチレンプロピレン(FEP)の製造
  • Oリング、Vベルト及び自動車の内装に使用するプラスチック製装飾品の製造のためのフルオロエラストマーの製造

注)ストックホルム条約ではPFOSの適用除外として
・「ハキリアリの防除に用いられる防虫剤」
個別の適用除外として
・「リサイクルに限定された金属めっき(硬質金属めっき)」
・「液体燃料から発生する蒸気の抑制及び液体燃料による火災のために配備されたシステム(移動式及び固定式の両方を含む。)における泡消火薬剤」

PFOAやPFASなどのPFAS物質の毒性について

食品安全委員会の資料等によると、PFOSは1950年代に開発されて以降70年余りに渡って、表1に示す様々な用途に使用されてきた有機フッ素系界面活性剤ですが、2000年になり最大手の製造企業が環境への配慮を理由に突如製造中止を表明して世界的に大きな衝撃を与えた化合物です。PFOSは化学的に極めて安定性がある化合物ですが、言い換えると難分解性であるため、分解されずに環境中に広く拡散し、世界中の飲料水や大気中からも検出されるようになり、ヒトを始めとする生体内に長く留まる事もわかってきました。同時にこれらの物質が生体に害を及ぼす可能性があることも次第にわかってきました。

実際にどのような毒性があるかは未だはっきりした結果は出ていないようですが、現在図3に示すような疑いが持たれています。また、食品安全委員会の資料に、毒性に関する欧米の調査研究結果(急性毒性、遺伝毒性(変異原)、発がん性、生殖発生毒性、その他の毒性)が示されていますので、参照下さい。

図3 人間の健康に対するPFASの影響 (出典:欧州環境庁が集めた資料)

日本企業が気をつけるべき課題

2020年12月にPillsubury法律事務所が発行した“Legal wire”では、PFOSやPFOAなどPFAS物質のサプライチェーンに関して3つの段階での責任問題があるとしています。

(1)化学物質そのものの製造メーカー(化学物質製造企業)の責任
(2)化学物質を購入して自社製品の製造過程で二次的に使用する企業の責任。例えば、繊維メーカーがPFOSを撥水加工のために添加する場合
(3)最終段階の製造業者として、(2)のメーカーが加工した製品を最終製品に組込む場合。例えば、撥水加工された繊維・生地からレインコートを製造する場合

上記以外にも流通業者や工場労働者などが消費者に届くまでに関与する場合がありますが、これらの化学物質を故意または意図しない放出や廃棄を行い、何らかの悪影響を与えた場合には、製造物責任等による訴訟を起こされる可能性が生じます。

Pillsburyは米国における法律から日本企業が訴訟を起こされる3つのシナリオについて述べています。

<シナリオ1-製造物責任>
含有製品を米国に輸入する米国子会社のみならず、日本に拠点をおく親会社や子会社でも製造物責任を負うリスク。

<シナリオ2-有害物質不法行為責任訴訟(製造物責任の場合を除く)>
有害物質不法行為責任(toxic tort liabilities)は損害を被った被害者が請求根拠(過失責任、不法侵入、不法妨害、人身傷害、危険活動など)の各要素を満たし、コモンローに基づく訴えがなされるリスク。

<シナリオ3-環境法上の責任>
商流の上の方にあるサプライヤーではなく、汚染に直接的に責任を負う企業に対して汚染除去費用を負わせることを目的としています。、基本的には、有害物質不法行為責任(toxic tort liabilities)を問われる企業は、環境法上の責任も問われるリスク。

2021年2月末現在では、PFOAやPFOSなどPFAS物質は米国連邦法における規制物質とはなっていませんが、2021年3月8日付けでEPAは「バイデン・ハリス政権の大統領命令と指令に従い、2021/1/6にTSCA第6条に基づき公布された難分解性、生体蓄積性、および毒性 (PBT)を有する特定の化学物質に対するの5つの最終規則について、追加の60日間の意見募集を行うことを発表した」と発表しました。PFASを含む難分解性・生体蓄積性物質の規制を進める方針であり、既に各州法やストックホルム条約の制限物質の指定、EUにおける規制の動きなどから早急にサプライチェーンにおけるPFAS使用の有無の確認と非含有とする対策を講じる必要があると言えます。

表2 参考~ストックホルム条約におけるPFOAやPFOSなどPFAS物質に対する規制

ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質 附属書A(廃絶)
ペルフルロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩、ペルフルオロオクタンスルホニルフオリド(PFOSF) ※ただし、一部半導体用途や写真フィルム用途等における製造・使用等制限は適用除外 附属書B(制限)

注) PFOAの廃絶は決定はされていますが、リストへの正式追加は各締約国での批准後になります。

まとめ

(1)非常に難分解性が高く自然環境に広く拡散し生体内に蓄積することから「永遠の化学物質」と呼ばれる、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロスルホン酸(PFOS)に代表される「パーフルオロアルキル化合物、ポリフルオロアルキル化合物及びこれらの塩類(PFAS)」の規制が、ここ数年、欧米で急速に強まってきている。
(2)PFASは70年以上に渡って便利なフッ素系界面活性剤として幅広い用途で使用されてきた。
(3)PFASは、その化学構造から4,700種類以上あると言われるが、発がん性や生殖毒性などを持つ物質である可能性が高まっている。

PFASは過去長きに渡って幅広い用途で使用されてきており、難分解性が高く自然環境に広く拡散されています。アスベストのように、後の世になって健康被害が判明した例でも企業の責任が追及されています。過去に流出させてしまった分については仕方がないと思いますが、自社における過去の使用実績や現状使用の有無を確認しておくことが重要だと言えます。

引用・参考資料

  • 米国における PFAS 規制の概要と日本企業への影響~米国における次なる環境法上のテーマ~ (Legal Wire Pillsbury、2020年12月)
  • EPA Releases Testing Data Showing PFAS Contamination from Fluorinated Containers (EPA米国環境保護庁、2021年3月5日)
  • amending Annex I to Regulation (EU) 2019/1021 of the European Parliament and of the Council as regards perfluorooctanoic acid (PFOA), its salts and PFOA-related compounds (EU官報、2020年11月27日)
  • Announcement of Final Regulatory Determinations for Contaminants on the Fourth Drinking Water Contaminant Candidate List (EPA米国環境保護庁、2021年3月3日)
  • ストックホルム条約第9回締約国会議(COP9)が開催されました (経済産業省、2019年5月14日)
  • 「永遠の化学物質」 水道水の大半で検出、米国~全米44地点中43カ所で検出、健康へのリスクとは、規制は進むのか~ (National Giogrphic、2020年1月29日)
  • Emerging chemical risks in Europe — ‘PFAS’ (EEA欧州環境庁)
  • アメリカ環境保護庁、パーフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物行動計画を発表 (EIC環境ニュース)
  • パーフルオロ化合物(概要) (食品安全委員会)
  • EPA Seeks Public Comment on Protecting Human Health and the Environment from PBT Chemicals (EPA米国環境保護庁、2021年3月8日)

注意

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