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home>環境について>環境関連情報>化学物質>米国への化学物質規制に配慮した輸出への注意

米国への化学物質規制に配慮した輸出への注意

2020-12-17

~TSCA規制対応の実務~

はじめに

有害化学物質に関する規制情報は、REACH規則、RoHS指令、WF指令(廃棄物枠組み指令)などEUの規制が主であり、米国の規制に関してあまり詳しい情報がありません。

これは、米国の各州が個別に独自の法規制を行ってきたため、連邦政府が積極的に細い関与を行うことを避けてきた歴史に由来していると思われます。

しかし、化学物質は大気、水、土壌の汚染や、製品や廃棄物の移動等で州を越えることにより、環境やヒトを含む動植物に影響を与えるため、米国における安全保障上の問題として30年振りにTSCA(有害物質規制法)が全面的に改訂されEPA、(米国環境保護庁)がその運用を進めてきています。

JTERO(日本貿易振興機構)ホームページの「貿易・投資相談Q&A」のコーナーに、「化学品の現地輸入規則および留意点:米国向け輸出」と題して、次のようなQ&Aがありました。

Q: 米国向けに化学物質(品)を輸出する際の米国の輸入規則および留意点について教えてください。

A: 米国へ化学物質(品)を輸出する場合、環境保護庁(EPA)の「有害物質規制法(Toxic Substances Control Act:TSCA)」と、労働安全衛生局(OSHA)が所管する「労働安全衛生法(Occupational Safety and Health Act: OSHA)」による規制を理解する必要があります。

TSCAは「商業目的で米国において製造、加工、または輸入される『化学物質、混合物または化学物質、混合物を含有する物品(以下アーティクル)』に適用されます」(JETRO)ので、日本の企業がユーザーまたは代理店などに輸出する場合に適用されます。
OSHAについては「米国内の製造業者、輸入業者、流通業者および事業者が対象で、米国外の製造業者、輸出業者は対象外です」(同)。米国内の輸入業者から間接的に「安全データシートの提出」などを求められることはありますが、直接海外企業に適用されることはありません。
TSCAについては本コラムにおいても過去に4回ほど概要の説明を行ってきましたが、今回は、TSCAの運用とその根幹を成しているインベントリの解説を行い、日本から輸出する場合の注意点などについて解説したいと思います。

米国有害物質規制法TSCAの概要

(1)TSCAが対象とする化学物質の定義
「特定の分子的特性を有する有機又は無期の物質」
※(農薬、食品、医薬品。化粧品及び医療機器は別途規制を受けるので適用外とする)
(2)TSCAの適用範囲
化学物質を製造、加工、流通、利用または処分する個人及び企業に対して適用
(3)TSCAインベントリとは
商業目的で米国において製造、輸入または加工される化学物質を記載したリストで作成・保管をEPAが行う。
(4)新規化学物質と既存化学物質
既存化学物質:EPAが管理するインベントリに収載されている化学物質(天然物質を含む)
新規化学物質:インベントリに収載されていない物質
(5)新規化学物質の届出と審査
米国内でインベントリに収載の無い物質を商用目的で製造または輸入する場合(10トン以上)は
a) 90日以上前にEPAに届出を行う。
b) 届出が受理されると90日以内で審査が行われ審査の結果、承認を受ければ製造者または輸入者は、製造または輸入後30日以内に開始届出を提出します。
c) 届出・審査が行われるとインベントリに収載され既存物質となります。
d) 特に問題が無い場合は、特別なマーク(フラグ)は付きませんが、何らかの制限、規制、データ追加が必要などと判断された場合にはインベントリに「フラグ」が付与されます。
e) 審査のフローは図1のとおり。


図1 新規化学物質(インベントリ未収載物質)の製造前届出書・免除申請審査フロー(出典:厚生労働省)

インベントリにおけるフラグの意味

インベントリに付与されたフラグ(Flag)については、2019年1月21日付け本コラム「米国の有害物質規制法(TSCA)#1~化学物質インベントリとは~」で簡単に説明しましたが、読者からの問合せがあったため、今回は詳しく説明したいと思います。

<フラグ規制の意味>
TSCAインベントリ全体で特別なフラグを使用して、TSCAの下で公布されたEPA規則または命令の対象となるインベントリ上の物質を識別し、TSCAレポート要件からの完全または部分的な免除のタイプを示します。

表1 TSCAインベントリに付与されているフラグ(Flag)とその意味(出典:EPA)

フラグ(Flag) 規制の意味
5E TSCA第5条(e)の”Order”「命令」の対象となる物質を示します。注1)
5F TSCA第5条(f)”Rule”「規制」の対象となる物質を示します。注2)
12C TSCA第12条(c)に基づいて「米国からの輸出が禁止されている物質」を示します。
FRI インベントリには「フリーラジカル開始剤を用いない高分子物質」を示しますが、使用量に関係なくフリーラジカル開始剤により製造されたポリマーは含有していると見なします。
PE1 平均分子量が1,000ダルトン以上10,000ダルトン未満で、1995年のポリマー免除規則で免除されているポリマーを示します。ポリマーのオリゴマー含有量は、500ダルトン未満で10重量パーセント未満、1,000ダルトン未満で25重量パーセント未満でなければなりません。
PE2 平均分子量が10,000ダルトン以上で、1995年のポリマー免除規則で免除されるポリマーを示します。ポリマーのオリゴマー含有量は、500ダルトン未満で2重量パーセント未満、1,000ダルトン未満で5重量パーセント未満でなければなりません。
PE3 ポリエステルであり、1995年のポリマー免除規則で免除されているポリマーを示します。ポリエステルは、1995年のポリマー免除規則の適格基準の1つを構成する特定のリストに含まれるモノマーと反応物のみから作られています。
PMN 新規物質の製造前届出が開始された物質
R 提案もしくは最終的なTSCA第6条の「リスク管理規則の対象」となる物質を示します。注3)
S 最終的に「重要な新規使用規則」(SNUR)で特定された物質を示します。注4)
SP 提案された重要な新規使用規則で特定された物質を示します。
T 最終的なTSCA第4条の「テスト規則」または「命令」の対象となる物質を示します。注5)
TP 提案されたTSCA第4条「テスト規則または命令」の対象となる物質を示します。
XU 化学データ報告規則(40 CFR 711)に基づく報告が免除されている物質を示します。注6)
Y1 平均分子量が1,000を超え、1984年のポリマー免除規則で免除されたポリマーを示します。注7)
Y2 ポリエステルであり、1984年のポリマー免除規則で免除されたポリマーを示します。 ポリエステルは、1984年のポリマー免除規則の適格基準の1つを構成する、懸念の少ない反応物の特定のリストに含まれる反応物のみから作られています。

注1) EPAによる新規化学物質のPMN(製造前届出)またはMCAN(微生物の商用利用に関する通知)の審査、または重要な新しい用途のためのSNUN(重要新規利用届出)の審査の結果の1つは、TSCAの第5条(e)に基づく「命令」の発行です。ほとんどのTSCA第5条(e)のEPAによって発行された「命令」は、通知の提出者と交渉される同意命令です。EPAはそれを決定することができます
注2) EPAが、新しい化学物質または重要な新規使用が、その使用条件下で潜在的に暴露された集団への不合理なリスクが含まれ、コストまたは他の非リスク要因を考慮せずに健康または環境への不当な傷害のリスクがあると判断した場合、EPAは(1)商取引のため製造/処理/流通される量を制限するか、TSCAの第6条に基づいて直ちに有効な規則案により物質に他の制限を課す、または(2)該当する審査期間の満了時に有効になるように、商取引における製造、処理、または流通を禁止または制限する命令を発行します。
注3) TSCA第6条は2016年12月21日に改正され、更に追加提案中の持続性、生体内蓄積性および毒性のある(PBT)化学物質
注4) 既存の化学物質のSNUR(新規の重要な使用)に関する規則ではインベントリに収載されている化学物質であるがその使用が「重要な新規使用である」とEPAが判断すると、TSCA第5条(a)により、製造(輸入を含む)または処理を行う少なくとも90日前までに重要な新規使用通知(SNUN)をEPAに提出することを要求する規則。
注5) TSCA第4条「テスト規則」または「テスト命令」は、EPAが化学メーカー(輸入業者を含む)および加工業者に対しデータ不備や追加試験の必要がある場合には既存の化学物質をテストし、結果をEPAに報告するよう要求する権限を与えます。
注6) 詳細な説明及び具体的な物質名はこちら
注7) 分子量が大きいまたは強い結合を持ち容易に分解しない/分解しても有害な物質にならない高分子、有害な重合開始剤を含まないなど一定の条件を満たした高分子化合物は毒性がないと判断され、毒性試験が特例的に免除される。


注) TSCAインベントリーに未収載の物質でも企業の機密上の問題で収載されていない場合もあるようなので、その場合はEPAに問合せを行った上で製造前届出を行う必要があります。
 
図2 米国に製品などを輸出する場合のTSCA対応 (EPAの資料より筆者が作成)

まとめ

(1)米国に製品や部品、材料などを輸出する場合の「有害物質規制」には各州に個別の州法があると同時に、全米共通の連邦法があるので、個々の対応が必要となる。
(2)有害化学物質規制のための連邦法としてTSCA(有害物質規制)とOSHA(労働安全衛生法)があるが、日本など海外から輸入される物品はTSCAの規制を受ける。
(3)TSCAに対応するためには、対象物品に含有する化学物質「特定の分子的特性を有する有機又は無機の物質」を全てリストアップして、TSCAインベントリに収載されているかをチェックする。
(4)インベントリに収載されていない物質(年間10トン以上製造)を含んでいる場合には「新規化学物質」として90日以上前にEPAに届出を提出して、審査を受け承認を受ける必要が生じる。※10トン以下でもEPAに確認をした方が安全。
(5)全ての物質がインベントリに収載されており、フラグ(Flag)が付いていない場合は、そのまま流通させることができるが、フラグが付いている場合には、そのフラグの意味を理解して対応する。
(6)インベントリは6ヶ月ごとに更新されるので、都度確認する方がよい。
(7)インベントリへのアクセスはこちらより“Download the non-confidential TSCA Inventory”でダウンロードできる。ただし、申請者が機密情報上公開を拒否している場合があるので、EPAに問合せた方が安全。

引用・参考資料

  • Chemical Hazard Communication U.S. Department of Labor Occupational Safety and Health Administration (United States Department of Labor)
  • 化学品の現地輸入規則および留意点:米国向け輸出 (JETRO)
  • 米国TSCAについて (厚生労働省)
  • What is EPCRA? (EPA)
  • TSCA Work Plan Chemicals (EPA)
  • Summary of the Toxic Substances Control Act (EPA)
  • 米国環境保護庁による化学物質管理政策と最近の動き (東京環境経営研究所、2020年7月21日)
  • TSCA インベントリ・リセットルールに対する実務的対応 (PILLSBURY、2017年9月)
  • TSCA Chemical Substance Inventory~How to Access the TSCA Inventory~ (EPA)
  • 米国の有害物質規制法(TSCA) #2~リスク評価の高優先度物質20を決定~ (日本バルブ工業会、2020年1月15日)
  • 米国の有害物質規制法(TSCA)の改正・実施強化(その2) (日本バルブ工業会、2011年2月18日)
  • 米国の有害物質規制法(TSCA)の改正・実施強化(その1) (日本バルブ工業会、2011年1月16日)
  • 米国の有害物質規制法(TSCA) #1~化学物質インベントリとは~ (日本バルブ工業会、2019年1月21日)

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