環境省2050年度までのGHG削減目標を発表

～脱炭素行動とCO2排出削減効果をデータベース化～

2025年4月14日

掲載内容に関する最新の情報は、記事中に記載されている出典元や引用・参考資料にあたりご確認ください。

1.　はじめに

COP30（第30回国連気候変動枠組条約締約国会議）が、2025年11月10日から21日までブラジルで開催される予定です。今回は、パリ協定で定める「各国のGHG（温室効果ガス）削減目標を見直す年度」となっており、各国が2050年のカーボンニュートラルを達成するために従来の目標に上積みすることが求められています。各国の出方が注目される中、我が国も目標を公表して国連の事務局に提出される予定です

このような中で、2025年2月18日付で、環境省は2035年度、2040年度の目標数値と2050年のカーボンニュートラル達成を公表し、同時に2025年2月25日付で、企業活動や国民生活の中での削減行動とその結果がどの程度のCO2削減効果をあげたかに関するデータベースを提供するとしました。
今回は、これら2つの公表内容の概要をお伝えしたいと思います。

2.　環境省の2050年度までのGHG削減目標概要

環境省は「2035年度及び2040年度の温室効果ガス削減目標を盛り込んだ地球温暖化対策計画を閣議決定した」と発表しました。

現状、世界のGHG削減状況は2024年12月12日付本コラム「COP29気象変動枠組み条約第29回会議～現状とCOP29で決まったこと～」で述べたとおり、「COP29開催前の2024年10月28日に国連気候変動枠組み条約事務局が発表した報告書によると、現在世界各国が提示しているGHG削減計画が100%達成されたとしても、2030年には2019年比で▲2.6%にしかならず、必要な水準から大きく乖離している」と計算され、各国の目標を大幅に見直す必要があると言われています。

このような状況で、世界2位の排出量（全排出量の14%～15%）を占めている米国のトランプ政権がパリ協定の離脱を宣言するなど前途多難な状況ですが、以下、環境省等が発表した資料、「地球温暖化対策計画の概要」「『デコ活』～くらしの中のエコろがけ～脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」からポイントを引用して紹介します。

3.　「地球温暖化対策計画の概要」

3.1　次期削減目標（NDC）

我が国は、2030年度目標と2050年ネット・ゼロを結ぶ直線的な経路を、弛まず着実に歩んでいく。
次期NDCについては、1.5℃目標に整合的で野心的な目標として、2035年度、2040年度において、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指す。
これにより、中長期的な予見可能性を高め、脱炭素と経済成長の同時実現に向け、GX投資を加速していく。

図1　2050年までの削減計画（出典：環境省）

3.2　次期NDC達成に向け地球温暖化対策計画に位置付ける主な対策・施策

次期NDC 達成に向け、エネルギー基本計画及びGX2040ビジョンと一体的に、主に次の対策・施策を実施。
対策・施策については、フォローアップの実施を通じて、不断に具体化を進めるとともに、柔軟な見直しを図る。

図2　次期NDC達成に向け地球温暖化対策計画に位置付ける主な対策・施策（出典：環境省）

表1　【参考】温室効果ガス別の排出削減・吸収量の目標・目安（出典：環境省）

3.3　【参考】進捗管理（フォローアップ）の強化

将来の電力需要量や脱炭素技術の開発・実装の不確実性が大きい中、本計画に基づき2050年ネット・ゼロに向けた直線的な経路を弛まず着実に歩んでいくため、関係府省庁と連携し、対策・施策の進捗状況や今後講ずる対策の具体化の状況等を点検し、フォローアップを通じて対策の柔軟な見直し・強化を図る。
これまでの評価・見直しプロセスの実績を踏まえ、評価に当たってのエビデンスの柔軟な更新など、フォローアップの改善を図っていく。

図3　【参考】進捗管理（フォローアップ）の強化I（出典；環境省）

4.　「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動『デコ活』くらしの中のエコろがけ」

4.1　デコ活とは

デコ活とは「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」の愛称であり、二酸化炭素（CO2）を減らす脱炭素（DEcarbonization）と、環境に良いエコ（Eco）を含む“デコ”と活動・生活を組み合わせた新しい言葉です。

脱炭素の実現に向けては、2030年家庭66%、運輸35%、非エネ14%、業務51%削減など、暮らしの分野でも大幅な削減が求められます。

4.2　デコ活データベース

デコ活データベースは、デコ活応援団に参画した自治体・企業・団体・個人の方がご利用いただけます。
お済みでない方は、以下のフォームより参画してください。詳しくは以下のリンク先の説明をご覧ください。

4.3　デコ活データベースの内容例

生活の様々な場面の脱炭素に資する行動によるCO2排出削減効果を算定しています。

※デコ活データベースのダウンロードはこちら

図4　デコ活データベースの内容例（出典：環境省）

5.　まとめ

（1）現在、国連の気候変動枠組条約締約国がパリ協定に従い事務局に提出している温室効果ガス削減計画が100%達成されたとしても、2030年には2019年比で▲2.6%にしかならず、必要な水準から大きく乖離している。
（2）COP30（第30回国連気候変動枠組条約締約国会議）が2025年11月10日から21日までブラジルで開催される予定であるが、各国に対してGHG削減目標の大幅な上積みが求められている。
（3）2025年2月18日付で、環境省は2035年度（▲63%）、2040年度（▲70%）の目標数値と2050年のカーボンニュートラル達成を公表した。
（4）同時に環境省は「企業活動や国民生活の中での削減行動とその結果がどの程度のCO2削減効果をあげたかに関するデータベースを提供する」とした。

引用・参考資料

注意

無断で本情報を二次使用すること及び転載することを禁じます。
本情報は不確実な情報が含まれる可能性がありますので、本情報を利用される場合は参考文献及び引用先の情報も合わせてご覧のうえ、自己の責任において判断をお願いします。
英文による引用・参考資料部分においては、英語の専門家でない筆者が仮和訳していますので、本情報を重要な場面で利用される場合は、引用先の原文を参考に自己責任にて判断願います。

前の記事へ