第31次REACH規則SVHC候補物質が追加　#27

～SVHC候補物質として1物質が追加され241物質に～

2024年7月10日

掲載内容に関する最新の情報は、記事中に記載されている出典元や引用・参考資料にあたりご確認ください。

1.　はじめに

ECHA（欧州化学品庁）は2024年6月27日付けで、“Candidate List of substances of very high concern for Authorisation”（高い懸念のある認可対象候補物質「SVHC候補物質」のリスト）を更新し、新たに1物質を追加しました。これにより、2024年6月24日現在、SVHC候補物質は241物質（群）となりました。

2.　第31次REACH規則の新規追加SVHC候補物質

今回追加されたSVHC候補物質は以下のとおりです。

1	物質名	英名	Bis (α,α-dimethylbenzyl) peroxide 別名：2-Phenyl-2-[(2-phenylpropan-2-yl)peroxy]propane　など
		和名	ビス（α，α-ジメチルベンジル）パーオキシド別名：２－フェニル－２－［（２－フェニルプロパン－２－イル）ペルオキシ］プロパン、ジクミルパーオキサイド　など
	CAS RN		80-43-3
	構造式		出典：ECHA
	収載理由		生殖毒性（第57条(c)）
	主な用途など		有機過酸化物（重合触媒）でスチレンの重合開始剤の他、PE（ポリエチレン）、EPR（エチレンプロピレンゴム）、EPDM（エチレンプロピレンジエンゴム）などのオレフィンポリマー、コポリマーや合成ゴムの架橋剤、不飽和ポリエステル樹脂の加熱成形用硬化剤、ポリマーの難燃助剤など。この物質は、木材（例：床、家具、玩具）、石材、しっくい、セメント、ガラスまたはセラミック（例：食器、鍋／フライパン、食品保存容器、建材、隔離材）、プラスチック（例：食品包装・保存容器、玩具、携帯電話）を素材とする製品に含まれる可能性がある。
	備考		<国内> 化審法：既存化学物質及び旧第二種監視化学物質、旧第三種監視化学物質化管法：（令和5年度分以降の排出量等の把握や令和5年度以降のSDS提供の対象）安衛法：ラベル表示・SDS交付義務対象物質消防法：危険物 <米国> TSCAインベントリ：既存物質 Flag：なし出典：独立行政法人製品評価技術基盤機構NITE 化学物質総合情報提供システム（NITE-CHRIP）

＜参考＞
（1）SVHCとは「高懸念物質」（Substances of Very High Concern）の略称で、欧州連合（EU）のREACH規則（化学物質の登録、評価、認可および制限に関わる規則）の附属書XIVに収載される認可対象物質の候補となる物質を指します。これは、人や環境に危険を及ぼす懸念が高い物質のリストであり、約1500種類の物質が含まれています。SVHCは、REACH規則の認可対象物質の前段階にあたり、現在241物質（群）が登録されています。
（2）加盟国または欧州委員会の要請を受けたECHAは、REACHの附属書XVに規定された要求事項に従って書類を作成することにより、高懸念物質（SVHC）として特定する物質を提案することができます。
（3）現在、候補物質としてECHAに提案または提案する準備をしている物質は275物質あります。リストはRegistry of SVHC intentions until outcomeにあります。
（4）Candidate List of substances of very high concern for Authorisation（認可対象の高懸念物質候補リスト）に収載された物質を使用する場合、企業には直ちに法的義務が発生します。具体的には、REACH規則の第7条、第31条、および第33条に基づく義務が該当します。このリストに含まれる物質を製品に0.1重量％以上含有する場合、EU域内でその製品を販売する際には欧州化学品庁（ECHA）への届け出と認可が必要です。詳細はこちら

3.　まとめ

（1）ECHA（欧州化学品庁）は2024年6月27日付けで、“Candidate List of substances of very high concern for Authorisation”（高い懸念のある認可対象候補物質「SVHC候補物質」のリスト）を更新し、新たに1物質を追加し合計241物質となった事をECHA Weeklyにて公表した。
（2）今回の発表では2物質が登録される予定だったようだが、直前に「リン酸トリフェニル（CAS RN 115-86-6）が継続審議となった模様。リン酸トリフェニルはプラスチックの添加剤として難燃剤、物性改質など広く使用されている。
（3）今回“Candidate List of substances of very high concern for Authorisation”に新規収載されたビス（α，α-ジメチルベンジル）パーオキシド（CAS RN 80-43-3）は多くの樹脂の重合開始剤や改質剤、難燃剤など広い用途で使用されており、特にEPR（エイレンプロピレンゴム）、EPDM（エチレンプロピレンジエンゴム）なでにも添加剤として使用されている可能性が有るので、確認が必要。

引用・参考資料

ECHA Weekly　（ECHA, 27 June 2024-06-27）
Candidate List of substances of very high concern for Authorisation　（ECHA, 2024-06-27）
Registry of SVHC intentions until outcome　（ECHA）

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