MENU
CLOSE
HOMEHOME
工業会情報
  • 工業会情報トップ
  • 当会の組織概要
  • 会長挨拶
  • 定款
  • 競争法コンプライアンス規程
  • 企業行動憲章
  • 役員名簿
  • 2016年度事業報告書等
  • 2017年度事業報告書等
会員企業紹介
  • 会員企業紹介トップ
  • 正会員企業紹介
  • 賛助会員企業紹介
  • 会員企業商標一覧
  • 会員の技術・製品情報
  • ISO認証取得会員
バルブメーカー検索 統計 会員向け

サイトマップ|English

一般社団法人 日本バルブ工業会 JAPAN VALVE MANUFACTURERS'ASSOCIATION

サイトマップ|English

  • HOME
  • 工業会情報
  • 会員企業紹介
  • バルブメーカー検索
  • 統計
  • 会員向け
home>環境について>環境関連情報>化学物質規制・管理>カリフォルニア州法Proposition65とは

カリフォルニア州法Proposition65とは

2022-05-23

~有害化学物質曝露への警告表示義務~

1. はじめに

2021年3月29日、カリフォルニア州東部地区の米国地方裁判所は【重要なお知らせ:食品および飲料製品中のアクリルアミド】と題して、「カリフォルニア州商工会議所がカリフォルニア州司法長官に対して行った『Proposition65によるアクリルアミドに対する警告表示を行わない企業に対する訴訟の差し止め請求』に対し、仮差し止めを認める決定をした」と公告しました。

その後、2022年3月17日付けでも「控訴審においても地方裁判所による仮差止命令の付与を確認しました」とし、現在控訴が係争中であることを公告しています。

米国における有害化学物資規制法としては、連邦法としてEPA管轄のTSCAがありますが、州法がこれより厳しい規制法を定める場合があり、その場合は州法が優先されます。米国では最も厳しい有害物質規制とされるカリフォルニア州法Proposition65が知られており、本コラムでも何回か紹介してきました。
今回、Proposition65による警告表示義務に対して商工会議所が異議を申し立てた事例が示されましたので、これを機に今回の事例の説明、おさらいとしてProposition65の概要、警告表示義務、罰則などについて解説したいと思います。

2. 2021年のPropisition65の警告表示に対する訴訟とは

カリフォルニア州法Proposition65は、物品に癌、先天性欠損症、またはその他の生殖障害を引き起こす化学物質を含有し消費者に対して重大な曝露の危険性がある場合は、企業に警告表示を行う義務を負わせています。

2022年2月25日現在、警告表示義務のある物質は1022種類に及んでいます。※Proposition65リストはここから入手できます。

今回の差し止め請求は、警告表示義務を負う物質リストの中のアクリルアミド(CAS RN 79-06-1、発がん性、男性生殖毒性)を含有する食品及び飲料に関して「警告表示を行なっていないとする訴訟」に関して、「アクリルアミドは発癌性が100%証明されていない」として、「警告表示を行っていない企業に対する訴訟の差し止め」を求めたものでした。

アクリルアミドは日本国内において化管法、安衛法、毒物及び劇物取締法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法など多くの化学物質規制法の対象物質であり、EUのREACH規則でも発癌性、変異原生が疑われる物質としてSVHC候補物質、制限物質に指定されています。米国においては、カリフォルニア州法Proposition65では発癌性物質としてリストに収載されていますが、連邦法であるTSCA(有害物質規制法化学物質)ではインベントリには収載されているものの、フラグは付されていません。

この訴訟は係争中であり、警告表示を行っていない企業に対する訴訟の仮差し止めであり、警告表示を行わなくてよいとするものではありません。

3. カリフォルニア州法Proposition65とは

米国には連邦法と州法があります。連邦法よりも州法の方が厳しい場合も多々ありますので、米国へ製品を輸出する場合、化学物質規制については製品含有化学物質を規制する連邦法TSCAをチェックするだけでは不十分であることを理解する必要があります。

Proposition65の正式名称は、「Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986:1986年の安全な飲料水および毒物に関する施行法」です。
Proposition65が対象とする物質は「癌、先天性欠損症、またはその他の生殖障害を引き起こすことが知られている化学物質」であり、現在約1000種類の物質がリスト化されており、1年に一度更新されます。

【骨子】

(1)規制対象とする物質による重大な曝露について、カリフォルニア州民に警告を提供することを企業に要求。
(2)カリフォルニアの企業がリストされた化学物質を大量に飲料水源に故意に排出することを禁じる。
(3)リスト収載物質は農薬、一般的な家庭用品、食品、医薬品、染料、または溶剤に含まれる添加剤や成分を含む、さまざまな天然および合成の化学物質。
(4)リスト収載物質は、製造や建設にも使用される場合あり。または、自動車の排気ガスなどの化学プロセスの副産物である場合もある。

上述のように、カリフォルニア州法Proposition65は当初飲料水中の有害物質を規制するための法律でしたが、現在は消費者に対して曝露する可能性のある有害化学物質自身および含有するさまざまな物品を製造・販売または輸入する場合には警告ラベルを添付する方向に規制が拡大してきたものと言えます。
Proposition65の特徴は、REACH規則やRoHS指令などと異なり、含有量の規制ではなく、消費者に対する曝露量が閾値を越える場合に警告表示を義務づけるものです。

例えば、今回訴訟の対象になっているアクリルアミドの場合、
<発癌性>重大なリスクレベルなし 0.2μg/日以下
<生殖毒性>最大許容レベル 140μg/日以下(体重70kg)
これ以上の曝露量が想定される場合には警告ラベルの表示が義務付けられます。

【警告表示について】

(1)曝露の可能性のある製品のラベルに貼付
(2)曝露の可能性のある場所や施設(職場、企業、ホテル、レストラン、歯科医院または賃貸住宅など)における掲示または配布
(3)消費者に対し、1つ以上のリスト化された物質により曝露される可能性がある場合
(4)但し、製品にリスト収載物質が含有していても、曝露が癌の重大なリスクをもたらさないほど十分に低いか、先天性欠損症または他の生殖障害を引き起こすことが観察されたレベルを大幅に下回っている場合には警告表示する義務はなし
(5)警告表示する場合の記号及び表示方法 ※警告記号はここからダウンロードできます。

図1 Proposition65により警告する際のシンボルダウンロードページ(出典:OEHHA:)

(6)警告表示例1
主な製品群、施設群などにおける表示例は図2のとおりです。

図2 Proposition65に従い警告表示を行う場合の主な製品ジャンルと施設などの表示例(出典:OEHHA)

(7)警告表示例2
実際の警告文表示例には次のようなものがあります(図2の出典元でより多くの警告文書の表示例を見ることができます)。

発癌性物質による曝露の警告例

WARNING: This product can expose you to chemicals including [name of one or more chemicals], which is [are] known to the State of California to cause cancer. For more information go to www.P65Warnings.ca.gov.
警告:この製品は、カリフォルニア州でがんを引き起こすことが知られている[化学薬品の名称]を含む化学物質にあなたを曝す可能性があります。 詳細はwww.P65Warnings.ca.govをご覧ください

 

発癌性物質及び生殖毒性の両方による曝露の警告例

WARNING: Crude oil, gasoline, diesel fuel and other petroleum products can expose you to chemicals including toluene and benzene, which are known to the State of California to cause cancer and birth defects or other reproductive harm.  These exposures can occur in and around oil fields, refineries, chemical plants, transport and storage operations such as pipelines, marine terminals, tank trucks and other facilities and equipment.  For more information go to: www.P65Warnings.ca.gov/petroleum.
警告:原油、ガソリン、ディーゼル燃料、およびその他の石油製品は、トルエンやベンゼンなどの化学物質にさらされる可能性があります。これらの化学物質は、カリフォルニア州で癌や出生時の欠陥、またはその他の生殖障害を引き起こすことが知られています。これらの曝露は、油田、製油所、化学プラント、パイプライン、マリンターミナル、タンクローリー、その他の施設や設備などの輸送および保管作業の周辺で発生する可能性があります。詳細については、www.P65Warnings.ca.gov/petroleumにアクセスしてください。

 

4. Proposition65に違反した場合の罰則

「警告の表示を行わず、Proposition65に違反した場合の罰則は、違反ごとに1日あたり2,500ドルにもなる可能性があります」と記載があります。

5. まとめ

  • 米国における有害化学物質規制法には連邦法のTSCAがあるが、各州にも州法があり、ケースにより連邦法より州法が優先される場合がある。特に最も厳しいとされるのがカリフォルニア州法Proposition65。
  • Proposition65の特徴は、製品を消費する、または、施設を利用することで、消費者が閾値を越える有害化学物質の曝露を受ける可能性がある場合には、製品製造者及び施設管理者は警告文を表示する義務を負う。※製品含有量ではなく、想定される曝露量で管理されるのが特徴。
  • 「Proposition65に違反したと」いう訴えは民間の個人または団体からの法的文書の申立てによって始まり、カリフォルニア州検事総長室が60日以内に審査を行い、その期間中に結論が出ない場合は訴訟になる。
  • 消費者擁護団体やバウンティハンター(報奨金目当てで違反製品を探す人々)の存在が厄介であり、非常に過酷な条件で使用した場合の曝露量を示しての訴訟に持ち込まれる事があるので注意する必要。当工業会会員企業の製品では、特に飲料水に接触する給水栓、水栓などで注意が必要。

引用・参考資料

  • Welcome to the Proposition 65 Warnings Website (OEHHA、カリフォルニア州環境保護庁環境ハザード評価室)
  • Proposition 65 Enforcement Reporting (STATE OF CALIFORNIA DEPARTMENT OF JUSTICE OFFICE OF THE ATTORNEY GENERAL; カリフォルニア州司法長官司法長官局)
  • The Proposition 65 List (OEHHA)
  • アメリカにおける法体系と環境法規制 #1~カリフォルニア州法Proposition 65の改正~ (日本バルブ工業会、2018年11月26日)
  • 米国の有害化学物質規制の最新動向~連邦法TSCA、州法プロポジション65改正等~ (日本バルブ工業会、2017年6月23日)
  • アメリカにおける法体系と環境法規制 #2~EPA(米国環境保護庁)の役割~ (日本バルブ工業会、2018年12月12日)

注意

  • 無断で本情報を二次使用すること及び転載することを禁じます。
  • 本情報は不確実な情報が含まれる可能性がありますので、本情報を利用される場合は参考文献及び引用先の情報も合わせてご覧のうえ、自己の責任において判断をお願いします。
  • 英文による引用・参考資料部分においては、英語の専門家でない筆者が仮和訳していますので、本情報を重要な場面で利用される場合は、引用先の原文を参考に自己責任にて判断願います。
  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

化学物質規制・管理(環境関連情報)

  • 2022
  • 2021
  • 2020
  • 2019
  • 2018
  • 2017
  • 2016
  • 2015
  • 2014
  • 2013
  • 2012
  • 2011
  • 2010
  • 2009
  • 2008
  • 2007
  • 2006
  • 2005
  • 2004
  • 2003
ページトップ

個人情報保護方針|特定個人情報の適正な取扱いに関する基本方針

一般社団法人日本バルブ工業会

〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館510 アクセス地図  TEL: 03-3434-1811

Copyright © Japan Valve Manufacturers' Association. All rights reserved