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home>環境について>環境関連情報>環境経営・戦略・政策>企業における非財務情報開示基準

企業における非財務情報開示基準

2022-01-17

~SASB、TCFD、IIRCからIFRSへ~

1. はじめに

2021年12月22日付けでWeb版日経ESGが「IFRS財団が非財務情報開示の新基準『TCFD超え』で負担増も」と題する記事を掲載しました。

これによると、「IFRS(国際財務報告基準)財団は2021年11月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立を発表した。ISSBは、気候変動をはじめとするサステナビリティに関する情報開示の基準を策定する」とのことです。

2018年頃から機関投資家や金融機関による企業への投融資において「ESG投資」が注目を集め始め、三菱総合研究所によると「世界における2020年のESG投資額は約3900兆円で、過去2年間で15%伸び、資産運用残高全体の36%に達した。ESG投資拡大の流れは不可逆的といえる」とのことです。

2020年2月27日付け本コラム「多様化するESG情報開示基準~本命と言われ始めたSASBスタンダードについて~」でも述べましたが、従来の企業は「納期、品質、コスト」が取組むべき最優先事項であり、従来の投資家や金融機関は企業のバランスシート、損益計算書、利益処分計算書、付属明細書、キャッシュフロー計算書等の財務情報を見て投融資を決定してきました。しかし、近年の気候変動による異常気象の頻発、新型コロナウイルス感染症の発生、企業の品質偽装問題の露見など、財務問題以外の「環境問題、社会的責任、ガバナンスなど」の面での問題発生により、企業の経営が一夜にして危機的状況に陥る状況が生じています。

そこで、「企業の長期的な成長の可能性を見極めるためには、ESG(Environment=環境、Social=社会、Governance=ガバナンス)などの非財務情報示を含めて判断することが必要だ」という考え方が世界的に広まってきました。

特に、現在進行中の新型コロナウイルス感染症や異常気象の影響によって、工場の操業停止、物流の停滞、サプライチェーンの寸断など、企業活動に致命的な影響を与えかねない問題が多発しています。

このような状況において、企業はどのように自社の非財務情報を管理し、どんな基準でこれを開示する必要があるのかが重要になってきています。管理項目が増えれば企業の負担も増えるため、悩ましい問題だと言えます。

今回は、企業における非財務情報の開示に関する現状について見て行きたいと思います。

 

2. 非財務情報とその開示

そもそも非財務情報とは財務情報以外の諸々の企業の情報で、本来「経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに係る情報」ですが、金融庁によるCGC(コーポレート・ガバナンス・コード:企業統治指針)の改定により、社会・環境問題に関する事項(いわゆるESG要素)が追加されました。

特に、近年の気象変動に起因する異常気象の多発は巨大な台風や集中豪雨・豪雪、高温などを引き起こし、生産拠点の被災、サプライチェーンの寸断、物流の停滞など、企業活動の停止に直結する危険性をはらんでおり、企業にとって無視できない課題になっています。

このため、企業の気象変動に対する「自社の機会と脅威の分析、危機管理計画など」に関する情報開示が強く求められるようになってきました。

さらに、企業はこの気象変動の抑止のための活動として、CO2排出量の削減対策、エネルギーの転換・確保計画など社会的な責任をどのように果たしていくのかについても、情報開示を求められるようになってきています。

 


図1 企業における情報開示、財務情報と非財務情報(種々資料から筆者作成)

3. 非財務情報の開示基準

企業における非財務情報の開示が投資家や金融機関、ステークホルダーから強く求められるようになってきましたが、どのような項目をどのような基準で管理して開示すればよいのでしょう。それぞれの企業がそれぞれの方法で開示しても比較ができませんので、何らかの国際的な基準の作成が求められます。

2020年2月27日付け本コラム「多様化するESG情報開示基準~本命と言われ始めたSASBスタンダードについて~」において、2020年初頭における非財務情報に関する各種基準と立ち位置について説明しましたが、色々なグループが様々な観点から発表することで乱立していた「基準」が、短期間のうちに統合される方向に流れ始めています。

図2に示すように、2020年初頭の段階ではIIRC(国際統合報告評議会)が提案する国際統合報告フレームワークと、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の最終提案に則った、SASB(米国サステナビリティ会計基準審議会)によるSASBスタンダードが有力でした。

その後、主流財務報告への気候変動関連情報の統合を通じて投資家や金融市場のための情報提供を目標としているCDSB(気候変動開示基準審議会)とSASBが合同で、「TCFD実践指針」(TCFD Implementation Guide)を公開しました。

さらに、冒頭で述べた、2021年12月22日付けWeb版日経が報じたとおり、2007年に設立されロンドンに本部を置く、IFRS(国際財務報告基準財団)が既存のIIRC、SASBとCDSBを統合したISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の設立を、2021年のCOP26において宣言しました。このISSBはフランクフルトに本部におき、ロンドン、サンフランシスコ、モントリオールにオフィスを構えており、目的は「投資家のニーズを満たすために、サステナビリティの開示にリンクされた統一された一連の基準を作成すること」としています。

しかし、一部の企業を除き、企業側からは、開示すべき情報量の多さから労力が過大になり負担増を心配する意見が多く出ているようです。

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図2 企業におけるESG情報開示のための各開示基準の立ち位置・提案背景(2020年2月時点)
(出典:日本バルブ工業会、2020年2月27日)


図3 企業における非財務情報開示基準の変遷(種々資料から筆者が作成)

<参考> 非財務情報開示推進に係わる各組織の概要

VRF(Value Reporting Foundation 価値報告財団)

IIRCとSASBが合併し、2021年6月9日設立。「統合思考原則」「統合報告フレームワーク」「SASBスタンダード」の3つの重要なリソースを活用して、企業及び投資家の意思決定をサポートし、企業価値についての共通理解を図っていく。(出典:日本公認会計士協会、その他)

IIRC(International Integrated Reporting Council 国際統合報告評議会)

イギリスで2010年7月に創立された世界的な非営利組織。主な活動として、企業のこれまでの業績などの財務情報だけでなく、環境保全や地域貢献をどれだけ行っているかという非財務情報もまとめた情報公開のフレームワークである「統合報告(Integrated reporting)」の開発・促進を行っている。(出典:ウィキペデイア)

SASB(Sustainability Accounting Standards Board サステナビリティ会計基準審議会)

2011年にアメリカを拠点に設立された非営利団体。企業情報開示の質向上に寄与し、企業の非財務情報の評価や比較を行いたいという投資家のニーズに応えることを目的として活動している。2018年11月に、ESG情報開示の枠組みである「SASBスタンダード」を発表。これは「国際統合報告フレームワーク」や「GRIスタンダード」などと同ように、世界で広く利用されている。(出典:ウィキペディア)

CDSB(Climate Disclosure Standards Board 気候変動開示基準審議会)

本部はロンドン。2007年設立。気候開示基準審議会(CDSB)が主流財務報告への気候変動関連情報の統合を通じて投資家や金融市場のための材料の情報を提供するために取り組んでいる非営利団体です。(出典:ウィキペディア)

IFRS(International Financial Reporting Standards Foundation 国際財務報告基準財団)

本部はロンドン。2007年設立の非営利団体。その主な目的は、国際会計基準審議会(IASB)を通じた国際財務報告基準(IFRS基準)の開発と推進。IFRS財団の使命は、世界中の金融市場に透明性、説明責任、効率性をもたらすIFRS基準を開発すること。(出典:ウィキペディア)

ISSB(International Sustainability Standards Board 国際サステナビリティ基準審議会)

IFRS財団によって提案された機関。投資家のニーズを満たすために、サステナビリティの開示にリンクされた統一された一連の基準を作成することを目的としています。この機関は、グラスゴーで開催された2021年の国連気候変動会議(COP26)で発表されました。(出典:ウィキペディア)

TCFD(Task Force on Climate Related Financial Disclosures 気候関連財務情報開示タスクフォース)

2015年12月にG20・金融安定理事会によって設立。温室効果ガス排出量増加による干ばつ、豪雨、洪水、強大な台風による風水害、高温などの異常気象から企業が受ける可能性のある、財務的な脅威と機会に関わる4項目(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)にどのように備えるのかについて情報開示を求めるものです。(出典:日本バルブ工業会、TCFDコンソーシアム)

TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures 自然関連の財務情報開示に関するタスクフォース)

国連開発計画(UNDP)や国連環境計画(UNEP)などによる世界全体を対象としたタスクフォース。組織が自然関連のリスクを報告し、それに基づいて行動するためのリスク管理と開示のフレームワークを提供する。(出典:TNFD)

 

4. まとめ

(1)従来、企業に対する投資家や金融機関による投融資判断材料は、財務情報によって行われて来た。近年、企業の経営戦略・経営課題、リスクやガバナンス、社会・環境問題に関する事項(いわゆるESG要素)などの非財務情報も大きな判断材料になって来た。特に気象変動による影響は企業の存亡に関わる重要事項として開示要求が高まって来ている。
(2)非財務情報の開示に当たっては、個々の企業が勝手に行っては比較が出来ないため、国際的に統一された開示標準が求められて来た。
(3)非財務情報開示標準は多くの団体が提案を行い、乱立状態に有ったが、2021年グラスゴーで開催されたCOP26において、IFRS(国際財務報告基準財団)がISSB(国際サステナビリティ基準委員会)によって統合された標準の作成を宣言した。
(4)ISSB(国際サステナビリティ基準委員会)による統合された標準はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の要求にも従ったものですが、種々の標準を統合したため、開示要求項目や基準が業種別に細かく決められる模様で企業側からは、一部を除き開示すべき情報量の多さから労力が過大になり負担増を心配する意見が多く出ている様である。
(5)いずれにしても、どのような形にしろ、企業における非財務情報開示は今後避けて通れない流れであり、注視が必要である。

引用・参考資料

  • Understanding SASB Standards (SASB: Sustainability Accounting Standards Board サステナビリティ会計基準審議会)
  • International <IR> Framework (IIRC: International Integrated Reporting Council 国際統合報告評議会)
  • Introducing the Integrated Thinking Principles (IIRC: International Integrated Reporting Council 国際統合報告評議会)
  • IFRS財団とその活動 (IFRS財団)
  • IFRS財団とは 透明性重視で国際基準を開発 (Web版日本経済新聞、2021年11月3日)
  • 小手先の非財務情報開示では通用しない (alterna、2021年11月10日)
  • IFRS財団が非財務情報開示の新基準「TCFD超え」で負担増も (Web版日経ESG、2021年12月22日)
  • ESG投資が促す企業の非財務情報開示 (三菱総合研究所、2021年10月1日)
  • SASB シュミッツユーリット ディレクター「投資家への開示、本命はSASB」TCFDの開示はSASBに沿うものになる (Web版日経ESG、2020年1月6日)
  • TCFDとその他フレームワークの関係性とは? (CSRコミュニケート、2019年7月16日)
  • TCFD実践ガイド (CDSB、SASB)
  • 価値報告財団:Value Reporting Foundation(VRF)が設立されました(IIRCとSASBが合併) (日本公認会計士協会)
  • SASB(サステナビリティ会計基準委員会)スタンダードについて #1 ~業種別・産業別に準備されたESG情報開示のための「SASBスタンダード」とは~ (日本バルブ工業会、2020年3月18日)
  • 企業における「気候関連財務情報開示」の流れ #2~気候変動に関連した情報開示の最新動向~ (日本バルブ工業会、2020年1月15日)
  • 多様化するESG情報開示基準~本命と言われ始めたSASBスタンダードについて~ (日本バルブ工業会、2020年2月27日)
  • 自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が発足します~TCFDの自然版、「TNFD」とは~ (日本バルブ工業会、2020年12月17日)

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