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home>環境について>環境関連情報>資源・エネルギー>電気電子機器廃棄物(E-waste)の発生量が急増

電気電子機器廃棄物(E-waste)の発生量が急増

2017-05-22

〜E-waste急増による問題点とは〜

はじめに

日本経済新聞は2017年1月15日付け web版の「『電子ごみ』アジアで急増、トップ中国は5年で2倍」と題した記事において、「古いパソコンや携帯電話などの『電子ごみ(E-waste)』の発生量が東アジアや東南アジアで急増し、中国では5年で2倍になったとする報告書を国連大(学)と環境省が15日発表した。水銀や鉛などの有害物質も含まれるため人体や環境への影響が懸念される」と報じました。

また、朝日新聞は2017年2月2日付けデジタル版の「アジアで増える電子ごみ レアメタルも有害物質も含有…環境汚染の原因に」と題する記事において、使われなくなった古いパソコンやスマホなどの『電子ごみ(E-waste)』が、アジアで急増している。電子ごみは金やレアメタルなどを含み『都市鉱山』としての活用が期待される一方、鉛や水銀など有害物質も含む。途上国に輸出されて不適切なリサイクルが行われると環境汚染を引きおこすため、日本政府も対応に乗り出した」と報じました。

ご存知のとおり、EU加盟国においては過去に電子ごみが大量に不法投棄され、そこに含まれる鉛や水銀、ヒ素、六価クロムなどの有害物質によって土壌や地下水などが汚染された経験から、これを防ぐためにRoHS指令やWEEE指令が施行されました。また、日本や中国、アジアの多くの国々でもEUのRoHS指令を模した電気電子機器に対する有害化学物質含有規制を行っていますが、これらが上手く機能していないのか、あるいは他の理由によるものなのか、廃電気電子機器(以下「E-waste」と呼ぶ)による環境汚染が問題になっています。E-wasteには金や銀、あるいはレアメタル等を含むため「都市鉱山」とも呼ばれ、近年は宝の山として効率良くリサイクルが行われていると思われていましたが、有害物質を含む基盤の不法投棄やバーゼル条約で禁止されている有害物質を含む廃棄物の輸出入が実際には行われている実態があるようです。今回はこの「E-waist」の廃棄・リサイクルなどの現況について見て行きたいと思います。

東アジア及び東南アジアにおける電子ごみの増加とその問題点

2017年1月16日付けで、国連大学は環境省と連名で、“Regional E-waste Monitor: East and Southeast Asia”と題する報告書において「2011年から2015年までの5年間において、東アジアおよび東南アジアにおいてE-wasteが63%増加した」と述べました。

この報告書によると、「12カ国・地域(インドネシア、韓国、カンボジア、シンガポール、タイ、台湾、中国、日本、フィリピン、ベトナム、香港、マレーシア)においては、収入の増加や新しい小型家電や電子機器の需要により、これらの国・地域全体で、2015年までの5年間の間にE-wasteは63%も増加し、全体では約1,230万トンとの報告。これはギザの大ピラミッドの2.4倍の重さである」とし、特に中国における増加は顕著で、「発生量は670万トンと倍増した」と約50%超を占めています。

この発生量を人口1人当たりで計算すると平均で約10kgですが、香港が21.7kg、シンガポールが19.95kg、続いて台湾が19.13kgと上位を占め、逆にカンボジア1.10kg、ベトナム1.34kg、フィリピン1.35kg(いずれも2015年)となっています。

このような使われなくなった廃電気電子機器について、回収・リサイクルシステムやインフラが整備されている我が国のような場合においても、必ずしも十分で適切な処理が行われているとはいえない状況にあります。途上国においては、なおのこと、不法投棄や不適切な処理から、有害化学物質や重金属による土壌や地下水に対する深刻な環境汚染が危惧されています。

また、我が国を始めとして「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」のBAN条項(先進国から途上国への輸出を禁止するバーゼル禁止修正条項)を批准していない国も多く、これら有害物質を含むE-wasteを経済的に裕福な国から途上国に輸出する行為も横行しているようです。

一方、これらE-wasteには「都市鉱山」とも言われるように、金、銀、銅、パラジウムなど高価な金属を含むため、違法なリサイクル業者が、例えば電線から銅を取り出すために、電線を「野焼き」して有毒なガスをまき散らす、あるいは貴金属を取り出すために酸浴を利用し、同様に有毒ガスを発生させるなどの環境汚染を起こし、さらには「手袋、ゴーグル、マスク等、作業用防護服なしでは、作業者は直接有害化学物質の吸引や暴露にさらされるため重大な健康被害をもたらす危険性がある」ことが危惧されており、報告書では「E-wasteの不適正処理と甲状腺機能異常、肺機能低下、死産、成長障害、精神的疾患、認知発達障害、細胞毒性、遺伝毒性等との関係性が報告されている」としています。

このような状況に対処するため、1990年後半に経済力の高い日本、韓国、台湾の3ヶ国は、E- wasteに関する法規制やリサイクルシステムの整備を先行させました。また、国土の狭い香港やシンガポールでは、法規制はないものの、官民連携によりE- wasteの厳格な管理を実施しているようです。

図1 世界の地域別総E-waste量と人口当たりの量(2014) (出典:国連大学/環境省)

図1 世界の地域別総E-waste量と人口当たりの量(2014) (出典:国連大学/環境省)

また、報告書では「全世界の市場に出回っている電気電子機器類(バッテリーまたはコードが接続されているもの)は、2007年には5,133万トンであったが、2012年には5,656万トンに増加した」と述べられ、そのうちの約半分(2005年:2,062万トン、2012年:2,669万トン)が東アジアと東南アジア12ヶ国の市場に出回ったものとしています。

ただし、「一人当たりのE-waste量では、アメリカとヨーロッパの15.6kg/人口に対し、アジアはその1/4の3.7kg/人口しか排出されていない」とも述べています。

上述したように、東アジア及び東南アジアにおいて急増したE- wasteは、法規制やリサイクルインフラの遅れから、違法なリサイクル業者による不適切な処理や不法投棄により土壌や地下水だけに留まらず、大気汚染や作業者の健康被害までが危惧され、さらにはこれらのE- wasteが国境を越えて行く現状が示されています。

我が国におけるE-wasteの現状

我が国では、廃棄物のリサイクル推進の新たな仕組みを構築するため、「特定家庭用機器再商品化法(以下「家電リサイクル法」)」が1998年(平成10年)5月に国会で成立し、同年6月に公布され、2001年(平成13年)4月1日より本格施行されました。この法律では「エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機の4品目が特定家庭用機器」として指定されました。これに続き2013年4月から小型家電リサイクル法が始まりました。また、パソコンは「資源有効利用促進法」に基づき、メーカーが回収するか、小型家電リサイクル法により自治体が回収するルールになっています。

我が国おいては、このようにE-wasteに関する法規制やインフラが整ってきていますが、経済産業省によると、小型家電リサイクル法に基づく基本方針に定められた回収目標(平成27年度までに年間回収量14万トン)に対し、回収実績は平成25年度約2万4千トン(対目標17.1%)、平成26年度約5万トン(対目標35.7%)、と芳しい結果には至っていません。

環境省によると、我が国おける廃電気電子製品の不法投棄は、平成27年度に全国の市町村が回収した、不法投棄された廃家電4品目(エアコン、テレビ(ブラウン管式及び液晶・プラズマ式)、電気冷蔵庫・電気冷凍庫、電気洗濯機・衣類乾燥機)の台数(推計値)は69,700台(前年度74,600台)で、前年度と比較して6.6%減少しました。品目ごとの割合は、エアコンが1.5%、ブラウン管式テレビが62.2%、液晶・プラズマ式テレビが6.2%、電気冷蔵庫・電気冷凍庫が20.2%、電気洗濯機・衣類乾燥機が9.8%でした。また、同年に回収された、不法投棄された廃パソコン(デスクトップ、ノートブック、ブラウン管式ディスプレイ、液晶ディスプレイ)の台数は3,132台と報告されており、法規制やリサイクルシステムやインフラが整備されている我が国においてもこのような状況ですので、途上国の状況は容易に推察出来るものがあり、各国当局による早急な対応が求められるのではないでしょうか。

E-wasteが「都市鉱山」と呼ばれるにも関わらず、なぜ「消費者、解体業者、リサイクル業者は、機能しないパーツや解体処理等から発生した残渣の環境中への放出や不法投棄等を行ったり、法に抵触する行為を行ったりすることがあとを絶たず、正常なリサイクルが回らないのか」について、国連大学の報告書では、以下のような理由を述べています。

(1)認識不足:

E-wasteが「都市鉱山」と呼ばれるにも関わらず、なぜ「消費者、解体業者、リサイクル業者は、機能しないパーツや解体処理等から発生した残渣の環境中への放出や不法投棄等を行ったり、法に抵触する行為を行ったりすることがあとを絶たず、正常なリサイクルが回らないのか」について、国連大学の報告書では、以下のような理由を述べています。

(2)インセンティブ不足:

最終消費者は回収やリサイクル費用を支払わなければならないとき、既存のシステムを無視する傾向にある。

(3)利便性不足:

たとえ最終処分費用がかからないシステムだとしても、そのシステムが不便な場合、最終消費者は不便なシステムよりも便利な別の方法を選択する。

(4)適切な最終処分地不足:

E-waste処理から排出される残渣を含む有害廃棄物の適切な最終処分地の不足。

(5)不十分なガバナンスと施行不足:

E-waste法制度の不適切な管理または不十分な施行の国は、結果として法制度不遵守となる。

E-wasteに限らず、廃棄物の回収・処理・再資源化には多くの手間と費用が発生するため、単なる法整備だけでなく、廃棄物を排出する消費者に対して、以上5項目を配慮した政策が必要になると言えます。

図2 小型家電リサイクル法の概要(出典:経済産業省)

まとめ

(1)2017年1月16日付けで国連大学が「2011年から2015年までの5年間で、東アジアおよび東南アジアにおいて廃電気電子機器(E-waste)が63%増加した」とする報告書を公表しました。

(2)インドネシア、韓国、カンボジア、シンガポール、タイ、台湾、中国、日本、フィリピン、ベトナム、香港、マレーシアの12ヶ国・地域における全体は約1,230万トンで、これはギザの大ピラミッドの2.4倍の重さに当たります。特に、中国における増加は顕著で、発生量は670万トンと倍増し、全体の約50%を占めています。

(3)E-wasteの増加は、都市鉱山と呼ばれる一方で、法規制やインフラ整備の遅れにより違法なリサイクル業者によるE-wasteからの金、銀、銅、パラジウムなどの取り出しや残渣の不法投棄などによって、土壌、地下水の汚染に留まらず大気汚染や作業者の健康被害をももたらす結果を引き起こしています。

(4)さらには、「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」のBAN条項(先進国から途上国への輸出を禁止するバーゼル禁止修正条項)を批准していない国も多く、E-waistが国境を越えて経済的に豊かで無い途上国に流出する事態も起こっています。

(5)我が国では家電リサイクル法や小型家電リサイクル法、資源有効利用促進法などの法規制やリサイクルのためのインフラ整備は進んでいますが、回収率は目標に遠く及んでいません。

(6)E-wasteに限らず、廃棄物を回収・処理して再資源化するには、多くの手間と費用が発生しますが、単なる法規制を行うだけでなく、消費者の立場に立って、さらなる回収し易い仕組みを整備すると同時に、循環型社会構築の重要性を啓蒙進める必要性があると言えるのではないでしょうか。

引用・参考資料

  • ・「電子ごみ」アジアで急増 トップ中国は5年で2倍 (日本経済新聞Web版、2017年1月15日)
  • ・Regional E-waste Monitor: East and Southeast Asia (国連大学、2017年1月15日)
  • ・平成27年度廃家電の不法投棄等の状況について (環境省、2017年1月19日)
  • ・5年間で、東アジアおよび東南アジアにおいてE-waste63%増加 (国連大学、2017年1月16日)
  • ・ストックホルム条約、ロッテルダム条約、バーゼル条約約定国会議開催及び第2回3条約拡大合同締約国会議(ExCOPs2) (日本バルブ工業会、2003年6月19日)
  • ・有害物質規制最前線#10 バーゼル条約 (日本バルブ工業会、2006年5月1日)
  • ・【都市鉱山】 廃家電からレアメタルを回収する リサイクルビジネス (NAVERまとめ、2017年1月10日)
  • ・アジアで増える電子ごみ レアメタルも有害物質も含有…環境汚染の原因に (朝日新聞デジタル、2017年2月2日)
  • ・小型家電リサイクル制度の施行状況について (経済産業省、2015年12月9日)
  • ・「都市鉱山」伸び悩む回収量 (YOMIURI ONLINE、2016年1月18日)
  • ・早わかり「資源有効利用促進法」 (経済産業省、2013年1月10日)

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