前会長 退任挨拶
2023年6月30日株式会社キッツ 代表取締役会長 堀田 康之
一般社団法人日本バルブ工業会会長を退任するにあたり、一言ご挨拶申し上げます。
私が会長に就任した2020年6月は、新型コロナウイルス感染症が拡大し始め、事業活動が思うように実施できない時期でしたが、今年の5月から感染症法上の位置づけが5類へ移行され、ようやくコロナも収束に向かいつつあります。
この時期に西岡新会長にバトンをお渡しすることができ、新体制としてはとてもよいスタートがきれたのではないかと思っております。今後の工業会活動がより一層活性化されるものと期待しております。
さて、会長就任当初、3つの検討課題を掲げておりましたので、その振り返りをしたいと思います。
一つ目は働き方改革についてです。
図らずもコロナでリモートワークが急速に浸透し、工業会でもリアルとオンラインをうまく使い分けしながら研修会や各組織の会合を開催するなど、ニューノーマルな働き方にも迅速に対応してまいりました。
IoT・AIなどの導入による業務の効率化、生産性の向上など、業界としてデジタル化の波に乗り遅れることのないよう、今後も状況変化に柔軟に適応していくことが重要であると思っております。
また、労働安全向上のための取組として、「バルブ安心安全ネットワーク」を発足しました。今後も活発なグループミーティングを通じて情報共有をさらに深め、災害・事故のない働きやすい業界を目指して欲しいと思っております。
二つ目は人財育成についてです。
会員各社におかれましては、人財の確保・育成に苦慮されていることと思います。工業会ではその一助となるべく、バルブ生産・周辺技術の習得からシニア人財の活用検討など、幅広い研修事業を展開してまいりました。近年では、公開講座として会員以外にも裾野を広げ、業界の技術力・認知度の向上にも寄与しております。
また、次世代経営者で構成される「清流会」や女性活躍推進のための「バルブ女史ネットワーク」の組織活動をさらに活性化させることで、今後のバルブ業界を担う多様な人財の活躍にも大いに期待したいところです。
三つ目はサスティビリティについてです。
将来にわたって事業を継続させていくには、災害や感染リスクに対応できる強靭な企業経営が不可欠です。工業会では、BCP(事業継続計画)に関するセミナーを実施するなど、会員各社の企業価値の維持・向上の後押しをしてまいりました。
また、世界的にも急務となっている気候変動問題への対応として、2023年度より「脱炭素化委員会」を新設し、バルブ業界のカーボンニュートラル推進のための目標・計画について検討を開始します。持続可能な社会を目指し、環境負荷低減への取り組みを推進して欲しいと思います。
2021~2023年度の3年間の中期活動計画である「V70」は、本年度が締めくくりの年となります。原材料価格やエネルギーコストの高騰など、バルブ業界を取り巻く状況は厳しいものがありますが、計画策定時の「あるべき姿」を達成するため、西岡新会長のもと、各組織でより一層連携を強め、事業活動に邁進されることを期待しております。
また、V70のスローガンでもある「All for Society ~社会を支えるバルブ産業の更なる進化のために~」にあるように、日本の産業を支えている業界としての役割と責任を果たしつつ、常に進化しつづける工業会であって欲しいと願っております。
これからは、陰ながら工業会を支える立場になりますが、2024年の創立70周年記念事業に向けて、西岡新会長をはじめ会員各社が一丸となって、引き続きバルブ業界を盛り立てていただきたいと思っております。
3年間、会員各社をはじめとする皆様には大変お世話になり、誠にありがとうございました。