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環境関連情報

「水道水の水質基準」に対する最近の方向性など

~第18回厚生科学審議会生活環境水道部会にて~

情報発信日:2017-03-24

はじめに

厚生労働省は2017年2月2日付けで、「2017年1月31日に開催された、第18回厚生科学審議会生活環境水道部会に関する資料」を公表しました。

ここ数年、水道法や水質基準については、あまり大きな動きはありませんでしたが本資料には、「今後の水質基準等の見直しについて(案)」「水道法の一部を改正する法律案の概要」「水道事業の維持・向上に関する専門委員会報告書について(報告)」等が含まれていますので、概要について記します。
なお、詳細について知りたい場合は厚生労働省のホームページより確認してください。

 

資料の目次

公開された資料の目次は以下のとおり。
1.農薬類の目標値等見直しに関するパブリックコメント結果と対応(案)
2.今後の水質基準等の見直しについて(案)
3.国民生活を支える水道事業の基盤強化等に向けて講ずべき施策について(平成28年11月 厚生科学審議会生活環境水道部会水道事業の維持・向上に関する専門委員会報告書)
4.水道法の一部を改正する法律案の概要
5.平成29年度水道関係予算案について

以上のうち、会員に関係のありそうな2.の内容について概要を以下に示します。

 

今後の水質基準等の見直しについて(案)<抜粋>


図1 水質基準などの体系図(出典:厚生労働省)

(1)水道水質基準の見直しに関する基本的な考え方はWHOと同様に「逐次改正方式」とし、これを実施するためには、例えば「関連分野の専門家からなる水質基準の見直しのための常設の専門家会議を設置する」など検討する。
(2)12種類の農薬に関し再評価し規制値を検討(省略)
(3)水質検査結果に基づく水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類見直しを行う。

 

表1 水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類要件(出典:厚生労働省)

(4)上記③項に基づいた集計及び検討結果 ベンゼン、陰イオン界面活性剤、六価クロム化合物、ニッケル及びその化合物の4種類の物質について分類変更を検討すべき項目に該当。

 

表2 分類要件に基づく水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類結果(出典:厚生労働省)

ベンゼンについては引き続き「水質基準」に据え置いて管理していくことが望ましい。

【理由】

水質基準項目である「ベンゼン」については、「分類要件1(最近3ヶ年継続で評価値の10%超過地点が1地点以上存在) NO」に該当するが、平成24年度に10%超過地点、平成25年度に 10%超過地点及び50%超過地点が確認されており、検出されない状況が継続するかどうか不明なため。
・陰イオン界面活性剤については引き続き「水質基準」に据え置いて管理していくことが望ましい。

【理由】

水質基準項目である「陰イオン界面活性剤」については、「分類要件1(最近3ヶ年継続で評価値の10%超過地点が1地点以上存在)NO」に該当するが、平成24年度に50%超過地点が確認されており、検出されない状況が継続するかどうか不明なため。
・六価クロム化合物については引き続き「水質基準」に据え置いて管理していくことが望ましい。

【理由】

水質基準項目である「六価クロム化合物」については、「分類要件1(最近3ヶ年継続で評価値の 10%超過地点が1地点以上存在)NO」に該当するが、平成24年度及び平成25年度にそれぞれ10%超過地点が確認されており、検出されない状況が継続するかどうか不明なため。
・ニッケル及びその化合物」については、引き続き水質管理目標設定項目に据え置くこととし、浄水中の検出状況等を注視していくことが適当である。

【理由】

水質管理目標設定項目である「ニッケル及びその化合物」については、昨年度の検討において、3ヶ年(平成23年度~25年度)継続で目標値の50%超過地点が1地点以上存在し、かつ平成25年度には目標値超過地点も1地点確認される「分類要件2 YES」であり、水質基準に分類するか検討すべき項目に該当している状況と判断された。

その際、水質基準とするに当たっては更に知見を収集した上で目標値を再検討する必要があることや、給水装置からのニッケルの浸出に対する対応が困難であるという課題があるため、水道原水及び浄水におけるニッケルの存在状況、環境汚染状況の推移、水道用資機材等を含めた水道における制御方法等についての調査検討を引き続き行い、「ニッケル及びその化合物」を水質基準に分類するかどうかについての検討を継続することとされた。

このうち、目標値の再検討については、ニッケルの摂取量とアレルギー等の健康影響が生じる量との相関性を示す公表文献情報等について調査を行ったが、特に新たな知見は得られなかった。一方、食品経由によるニッケル摂取量は単純に加算した場合にTDIを上回っており、これまでの定法に従い飲料水の評価値を設定することが困難であることに加え、TDI の設定根拠となった空腹時の飲水投与試験における胃の飲料水由来のニッケルの吸収率は食物からの吸収率の10~40倍であるという報告もあることから、飲料水の評価値の設定に当たっては情報が不十分であり引き続き検討を行う必要がある。

<以下略>

以上のことより、今回の検討結果から「浄水中での検出状況による水質基準及び水質管理目標設定項目間(ベンゼン、陰イオン界面活性剤、六価クロム化合物、ニッケル及びその化合物)での分類変更は行わない」と結論しました。

まとめ

2017年1月31日に開催された第18回厚生科学審議会生活環境水道部会において、水道水質に関する「水質基準項目」及び「水質管理目標設定項目」の改訂に関する議論があり、水質検査結果に基づく水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類見直しを行うための「水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類要件」に照らした検査結果より、水質基準項目であるベンゼン、陰イオン界面活性剤、六価クロム化合物及び水質管理目標設定項目であるニッケル及びその化合物が分類変更候補として挙げられ、検討が行われましたが、いずれも分類変更は見送られました。

但し、ニッケル及びその化合物については、給水器具からの流出防止の技術的問題、ニッケルの有害性に関するデータ不足、基準値設定など種々の問題があり見送られましたが、継続して注視する必要があるように思えます。

 

引用・参考文献

注意

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