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環境関連情報

世界の水資源と水危機(その6)

新しい水との向き合い方「JAPAN Water Style」とは

情報発信日:2015-08-25

はじめに

2015年6月12日付けで、環境省は「ウォータープロジェクトが提案する新しい水との向き合い方『Water Style』について(お知らせ)」と題する報道発表を行いました。

今回は、環境省がいう「ウォータープロジェクト」と「Water Style」とは何かについて説明すると同時に、多くの企業がこの提案に賛同し始めていますので、これらの状況についてもお知らせしたいと思います。

 

ウォータープロジェクトとは

本コラムにおいても、過去何回か述べていますが、最近「企業活動における水資源に対する危機管理の重要性」が急速に注目されるようになって来ました。

 

ウォータープロジェクト

このような状況において、環境省より「ウォータープロジェクト」と「Water Style」という言葉が投げかけられました。
環境省のWater Projectのホームページにおいて、”Water Project”とは以下のように説明されています。

「平成26年4月に『水循環基本法』が公布されました。環境省では、これを受けて平成26年8月1日(水の日)に、健全な水環境の維持または回復を目的とした取組の促進等を推進する官民連携プロジェクト『ウォータープロジェクト』を発足しました。

このウォータープロジェクトでは、水循環や水環境の保全に向けた民間企業による自発的・主体的取組を促進していくとともに、官民連携の機会の場を創出し、多くの企業が取り組まれている水の取組を紹介するとともに、国民の皆様にも水の重要性や正しい情報を発信していきます。

皆さんも、日本の素晴らしい水を将来に受け継いでいくために、3つのアクションで毎日の水とのつながりについて考えてみませんか?

<3つのアクション>

『みんなの水』について【知ろう!】

 水の循環の仕組みや、それに関わる様々な活動について、知ってみよう。

『みんなの水』について【考えよう!】

 1年後、10年後、100年後の水について、何が必要か、何が出来るか、考えてみよう。

少し意識を変えて大切に【使おう!】

 知って、考えて、自分の水との関わり方を昨日より少しだけ変えてみましょう。」 (引用ここまで)

水と空気は私達人類を含めて動植物が生きて行く上でもっとも重要な資源ですが、自然の中で浄化・循環されているため、普段は「その存在のありがたさ」を意識することはあまり多くありません。しか人口の急激な増加や産業の発達により、水も空気も、人間がその意識を高めて行かない限り、SOxやNOc、PM2.5、CO2増加などに代表されるような空気の汚染及びCOD、BODなどの指数で現される河川湖沼や海洋の汚染などが放置されれば私達の生存を脅かすことになりかねません。

このような状況において、環境省は「健全な水循環、水資源の重要性について、広く国民に向けて啓発する『Water Project』を発足したと述べ、このプロジェクトは、「国、地方公共団体、事業者、国民が、将来にわたって水資源の保全に取組む官民連携によるプロジェクトであり、『知って・考えて・使おう』をテーマに、水への理解を深め、日本の水を世界に向けて発信しましょう」とプロジェクトの主旨を説明しています。

このプロジェクトに参加している団体・企業は2015年6月26日現在103団体に達しています。

 

地球の水資源

地球はその全表面の70.8 %が海などから成る約14億km3とされる膨大な水によって覆われており、宇宙から見ると他の星と異なり全体が青く輝いているため、「水の惑星」と呼ばれています。地球はこのように大量の水を保有していますが、その98 %は海水であり、残りの僅か2%が淡水です。そして、その残りの2 %の淡水も氷河や深層地下水のように実際には人類が利用することが困難な状況で存在するため、普段の生活で利用しやすい湖沼、河川、浅層地下水などの水資源は、地球全体が保有する水のたった0.01 %未満しかありません。

国連などの調査によりますと、世界の人口の約10 %に当たる7億人は慢性的な水不足に陥っています。飲用に適さない不衛生な水を利用せざるを得ない状況で、年間180万人もの子供が命を落としているのが現状であり、地球は既に深刻な水不足に陥っているといっても過言ではありません。

この水不足は1927年に20億人であった世界の総人口が、現在70億人を突破したと考えられ、この1世紀近くで約3倍に達しており、このまま推移すれば今から10年後の2025年には世界の2/3の人々は深刻な水不足に直面すると予想されています。

水不足の原因の第1位は人口の増加で、水の用途の多くを占める農業用水(61~78 %)の使用量が、人口の増加とほぼ比例して増えています。また、工業用水や都市・生活用水の増加割合は人口増を上回る比率で増加しています。

さらには、地球温暖化による気象変動の影響からの集中豪雨や干ばつに起因する降水量の偏在化が益々顕著になることから、水不足が急速に進んで来ています。

このように、水不足は世界共通の深刻な問題であり、どのように水資源を確保するかが、近い将来において人類が直面する大きな課題の1つといえます。

 

Water Projectが提案するWater Styleとは

「Water Style」について、環境省は「官民連携で推進するウォータープロジェクトの施策の1つであり、水を『~守り育て、贈り使い、大切に還す~』日本の優れた水循環を官民が連携して支えていくことを『JAPAN Water Style』として民間企業や地方公共団体を含めて国民へ広く提案します」と述べています。

そして、「この『JAPAN Water Style』に賛同頂いた民間企業や地方公共団体では、それぞれの水に関する商品やサービス、取組などを通じて、水を意識し、正しい知識をもって、より大切に、より楽しく、水を取り入れて水を楽しむ、新しい水との向き合い方『Water Style』を国民の皆様へ提案していくこととしています」と説明しています。

近い将来、やって来るのであろう地球規模での水不足に対応するため、「Water Style」は、これまであまり意識せずに接することの多かった水や、水循環に関する関心を高め、私たち一人一人が水循環の役割を担う一員であることを認識し、水をより身近に意識して正しい知識をもって、より大切に、そしてより楽しく、生活の中に水を積極的に取り入れ、水を楽しむ、新しい水との向き合い方といえます。

私達の普段の買い物や生活の中で目にする親しみのある商品やサービスなどを、直接自分の目で見て、手に触れながら、水について考え、選択された商品やサービスを自分流にアレンジするなど、楽しみながら毎日の生活に「Water Style」を取り入れて行くことが重要であると述べられています。

私達一人一人が水に興味を持ち行動することが、日本における健全な水循環を持続可能で豊かにすることといえます。

 

まとめ

(1) 地球は宇宙から見ると他の星と異なり青く輝いており、総表面積の約70%が水に覆われ、私達は「水の惑星」と呼んでいます。

(2) 地球上の水の量は約14億km3と膨大な量がありますが、その98 %は海水であり、残りの僅か2%が淡水です。さらに、その残りの2 %の淡水も氷河や深層地下水のように実際には人類が利用することが困難な状況で存在するため、普段の生活で利用しやすい湖沼、河川、浅層地下水などの水資源は地球全体が保有する水全体の0.01 %未満しかありません。

(3) 国連などの調査によりますと、世界の人口の約10 %に当たる7億人は慢性的な水不足に陥っており、飲用に適さない不衛生な水を利用せざるを得ない状況にあって、年間180万人もの子供が命を落としているのが現状であり、地球は既に深刻な水不足に陥っているといっても過言ではありません。

(4) 水不足の原因は人口の急増であり、水の用途の60~80 %を占める農業用途が人口の増加に比例して増えています。さらに、文明や工業の発達に伴い、工業用途や都市・生活用途の水使用量が人口の増加比率以上に増加傾向にあります。さらには、地球温暖化による集中豪雨や干ばつなどの異常気象が頻発することによる、降水量の顕著な偏在化が水不足を助長しています。

(5) 現状、日本は比較的水資源に恵まれているように思われていますが、食料自給率が40 %しかないため、実際には海外で日本のために消費される水の量は日本国内で消費される水の75 %にものぼる計算になります。そのため、将来的に予想される世界的な食料不足に対応し、仮に食料自給率を100 %にする場合には、現在の1.75倍の水資源を確保する必要に迫られることになります。

(6) このような状況において、持続可能な水循環を確保するために2014年4月に「水循環基本法」が公布されました。

(7) 私達が生存し行くためには、健全な水循環が極めて重要ですが、これは民間企業などによる取組、地方公共団体の役割、民間団体などの活動、そして何よりも国民一人一人の取組によって成り立ち、維持されるものです。Water Styleは、具体的に「こうしなさい」という行動や規範を定めたものではないので、わかりにくい面はありますが、普段の生活において、あまり意識しない水に対して一人一人が健全な水循環に向き合って、自分に何が出来るかを考えて自主的に行動することが重要ということを示しているといえます。

(8) 当工業会の会員企業でも、既に数社がWater Styleの提案に賛同して行動を始めていますので、これを機会に参加企業が増えることを期待したいと思います。

引用・参考文献

注意

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