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環境関連情報

低炭素時代に向けた環境省の新しい施策

L2-Tech認証とは

情報発信日:2015-10-22

はじめに

環境省は2015年3月31日付けで「平成26年度L2-Techリストの公表について(お知らせ)」と題する発表を行いました。続いて2015年8月17日付けの「平成27年度L2-Tech認証製品等の募集開始について(お知らせ)」にて、2015年8月17日より9月4日までに「今年度のL2-Tech水準に基づくメーカー製品認証の公募を行う」旨の発表を行いました。

これは、低炭素時代に向けて環境省が定める「エネルギー起源二酸化炭素の排出量削減に寄与するための製品基準」を満たした製品に対して認証を与えるという制度の開始を告げるものです。

よりわかりやすく言うと、EUにおけるErP指令(エネルギーに関連する製品に対するエコデザイン指令)に近い制度、あるいはエネルギーに関連する製品に対して一定の基準を設け、「必ずしも、これに適合しない製品を売ってはダメとは言わないが、適合しない製品は不適格である」と言う「不適格品排除」と言う印象も受けますが、むしろ、より積極的に抜本的な省エネによる低炭素社会を推進するための先進的技術の普及を推進するが狙いのようです。本年のT2-Tech製品の公募期間は過ぎてしまいましたが、来期以降も公募があるかと思われますので、まずは本制度についての詳細について環境省の発表資料を基に整理してみたいと思います。

 

L2-Tech・JAPANイニシアティブとは

環境省の公表資料によると、L2-Tech・JAPANイニシアティブとはLeading Low-carbon Technology(先導的低炭素技術)の略で、エネルギー消費量を抜本的に削減する事を目的としています。平成26年(2014年)3月に発表した「先導的な低炭素技術(Leading Low-carbon Technology=L2-Tech)をリスト化し、開発普及を「強力に推進する事業」と定義し、イニシアティブ推進の基盤整備のため、「L2-Techリスト」の更新・拡充・情報発信、対策導入に必要な技術開発・実証の特定、次世代素材活用の実現可能性調査を実施するとしています。

注1)“Leading”先導的とは
・当該設備・機器等に適用された要素技術の先導性が認められる。
・技術そのものに新規性は無いが、要素技術の組合せや適用方法に先導性が認められる。
・短期間に効率が飛躍的に向上している。

注2)“Low-carbon”低炭素技術とは
・設備・機器等について、最高効率「L2-Tech水準」を有する技術。

注3)リスト作成の目的
・L2-Techの開発・導入・普及を国内外で強力に推進するための情報整備の一環。

より具体的には「L2-Techとはエネルギー消費量の削減・CO2排出量削減のための先導的な要素技術、または、それが適用された設備・機器のうちエネルギー起源CO2の排出削減に最大の効果をもたらすもの」で、これを公募により審査・認証してL2-Techを普及させ、大幅なエネルギー起源二酸化炭素の排出量削減を推進し、低炭素社会の構築を目指すものと言えます。

 

L2-Techの背景・必要性・概要

全世界の人口が急増し現在地球上には70億人超の人々が生活しています。先進国においては、地球が何個分も必要な資源、エネルギー、土地などを使っていますが、幾ら人口が増えても「地球は1個」でそれ以上は増えません。そのような環境的な制約の下、我が国は2050年までに80%の温室効果ガスの削減を目標としており、大量生産・大量消費型社会からいち早く脱却し、国民1人1人が低炭素社会ではあるが豊かさを実感できる社会を実現するために、現在のエネルギー消費量を抜本的に削減する大胆な省エネを進める必要があります。

このような状況において2014年3月に環境省が「L2-Tech JAPAN イニシアティブ」を発表し、これにより先導的な低炭素技術(L2 Tech)をあらゆる部門において分野別にリスト化し、開発・導入・普及を強力に推進することとしました。

このため、「L2-Tech JAPAN イニシアティブ」推進の基盤となる基礎情報として策定する「L2-Techリスト」を効率的に更新・拡充し、国内外へ効果的に情報発信するとともに、削減ポテンシャルの分析に基づき、対策導入に必要な技術開発及び実証を特定することや、次世代素材活用の実現可能性調査を進めることが重要であるとしています。

 

L2-Techリストの更新・拡充・情報発信

L2-Techリストへの掲載希望製品に対する本年度公募期間は、前述の通り2015年8月17日より9月4日の期間に行われ終了しました。今後は逐次または定期的に追加公募が行われるものと思われますが、本事業の推進のため、メーカーから最新の技術情報が自動的に集まる仕組みなど、「L2-Techリスト」の効率的な更新・拡充手法の検討・実践が行われ、国内・海外への効果的な情報発信手法を検討・実践し、あわせて海外は対象国の政策実施状況やニーズを把握し、我が国の経験をもとに発信するものとしています。

しかし、L2-Techリストに掲載されるのに必要な「L2-Tech水準」は固定ではなく、常に業界最高水準が適用されるトップランナー方式を目指しているようで、メーカーにとっては、この点がかなりのプレッシャーになり開発競争が一層熾烈になるかも知れません。

環境省は「ベストを発信するL2-Tech水準」を次のように説明しています。

●商用化されている設備・機器のうち、実現されている最高効率をL2-Tech水準とし、商用化前や開発中の設備・機器等についても水準があるものについては、開発段階に応じた最高水準をL2-Tech水準とする。
●設備容量によって効率が一定以上変化する設備。機器などについては、いくつかの区分でL2-Tech水準を設定する。
●L2-Tech水準は、環境省として当該時点において目指すべき「ベスト」を発信するための水準とする。

図2の左側は、自動車の排ガス基準のように、「〇〇年までに△△の基準値をクリアせよ」と言う従来多く見られた「基準クリア型」のイメージですが、環境省の目指すところは最近流行の図2右のトップランナー方式で、常に現状の最高性能を水準値として設定しようと言う意図のようです。

このことは、エネルギーに関連する製品を開発・製造するメーカーにとっては、大きな負荷となる可能性がある反面、トップランナーとして成功すればシェア拡大のチャンスになることや、部品調達や社内設備・機器等を導入する場合に利用可能な最高水準の技術(BAT)を最大限導入することが可能となるメリットもあると思われます。

但し、最高水準の技術は導入コストも最高水準である場合も多々あり、今後はこの点をどうするのかが課題と言えます。

※既にL2-Techリスト収載の公募期間は過ぎていますが、2015年度のL2-Tech認証申請書、L2-Techリスト クラス別水準表、L2-Tech認証実施要領はこちらからダウンロードできます。

 

まとめ

我が国は2050年までに気候変動防止のために、温室効果ガスの排出量を80%削減することが求められていますが、80 %削減の内訳は省エネ40 %、再生可能エネルギーの利用30 %、二酸化炭素の吸収・貯留10 %であり、省エネによる割合が最も高いため、これを実現するための具体的な施策の一つとして、当該L2-Tech JAPANイニシアティブが導入された背景と思われます。

しかし、東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の事故により国内の多くの原発が停止したままの状況では、2020年の温室効果ガス排出削減目標が僅か3.8%であり、この状況から30年後の2050年に80%の削減を達成することは、国民や企業にとっては大きな痛みを伴うかも知れない革新的な改革を早急に実行し、低炭素であるが豊かな持続可能な循環型社会へと変革する必要があると思われます。

このような背景で導入されたL2-Tech JAPAN イニシアティブの具体的な施策であるL2-Techリストへの水準クリア製品の登録は、従来の政府の設けた「基準をクリアすれば良い」と言う方式からトップランナー方式の採用により、常に業界最高水準がクリア目標として変動するため、メーカーにとっては諸刃の剣のような存在となる可能性がありますが、今後生き残りを図るためにはこれに追随して行かねばならないのかと思います。

但し、本文中でも述べましたが「先導的技術」「最高水準技術」は、同時にコストも最高水準となる可能性が高いため、L2-Techを推進するに当たっては今後の大きな課題となるかと思いますが、政府として気候変動防止のための先進的な技術を導入に対して補助金を交付する提供ASSET制度などもセットで運用する考えもあるようです(ASSET制度については別の機会に述べるつもりです)。

温室効果ガスの排出量増加に伴う気象変動の影響は、生活の中では中々実感する機会は少ないかと思いますが、最近の「数百年に一度」とか「千年に一度」とか言われる干ばつや集中豪雨、巨大台風などの異常気象が来る度に、やはり温室効果ガスの排出量削減は待ったなしの状況にあるのではと感じますので、今後の企業活動においては、温室効果ガスや生物多様性、エネルギーや資源問題を一人一人が意識して行動する必要性が益々強くなる気がします。

従って、会員企業におかれましてはL2-Techの対象となる製品があれば積極的に参加してリスト収載を目指すのが良いと結論します。

引用・参考文献

注意

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