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環境関連情報

新エネルギー紹介#7

バイオエタノール

情報発信日:2007-05-29

燃料としてのバイオエタノール

地球温暖化防止対策の一環として、2007年4月より日本でもバイオガソリンの発売が一部のガソリンスタンドで開始されました。バイオ燃料(動植物由来の燃料)は石油や天然ガスなどの化石燃料と違い、「水の循環」と同様に、排出された分の二酸化炭素は太陽エネルギーにより再び動植物として還元されるために、気候変動に対して「中立(カーボン・ニュートラル)」と考えられ、世界各国において余剰作物対策と合わせて積極的な導入が始まっています。

バイオ燃料の製造法と用途

バイオ燃料は植物を高温高圧下で処理することや、化学的処理や微生物による分解により得ることができますが、現状多くの国々で将来を見越して大量に生産しようとしている物質はエタノールです。エタノールはビールやワインを作るのと同様に醗酵により作られます。このように作られたエタノールは石油を原料として合成したエタノールとは区分してバイオエタノールとよばれます。また動植物由来の廃油を処理して作られたバイオディーゼル油があります。

現在、バイオエタノールはおもに自動車用燃料としてガソリンと混合して使用されます。混合のさせ方には2とおりの方式がありガソリンに直接混合させて使用する方式(直接混合方式)と、エタノールとイソブチレンから合成されるエチルターシャリブチルエーテル(MTBE)に変性させて、オクタン価向上剤(アンチノック剤)として添加する方式とがあります。

世界のバイオ燃料導入状況と課題など

世界のバイオ燃料状況

国際エネルギー機関(IEA)の統計資料によると、2003年における世界の1次エネルギー総供給量は10,578メガトンで、そのうち再生可能エネルギーは13.3%。その80%近く(全体の約10%)がバイオマス燃料とされています。ただし、このなかには古典的な薪や藁、木炭なども含まれていますので、アジア、アフリカ、中南米などの途上国も主要消費国になっています。

欧州の状況

EU(欧州連合)では、温暖化ガスの発生源の約25%が自動車など運輸部門からのものであること、および、化石燃料の多くを輸入に頼っている状況は安全保障上からも好ましくないとして、2003年「自動車用バイオ燃料導入促進に係(かか)わる指令」が成立し、輸送用燃料のうち、2005年末に2%、2010年末には5.75%をバイオ燃料に置き換えることを目標とし、各国へ法制化を求めました。EUでのバイオ燃料生産量は、2004年度でバイオエタノール50万トン、バイオディーゼル190万トンで、これはEUにおけるガソリン、ディーゼルの約0.8%、2005年の実績は1.5%で目標には達していませんが、EU加盟各国はEU内での消費量向上及び途上国への輸出も含めて積極的な検討がなされています。

米国の状況

バイオマスエネルギーは米国における代替エネルギーでは最も多く利用されており、2003年以降4年連続で代替エネルギー原料の上位にあります。その生産量は2.9×1015Btu(英国の熱単位で1Btu=約252カロリー)で全米生産エネルギー量の4%に達するそうです。

米国のバイオマスの原料は、農業生産物のほかに木質廃材や製紙工場の廃棄物などが利用され、発電や熱エネルギーに変換されています。

バイオエタノールについて、原油価格の高騰や環境問題を背景として連邦及び州政府による種々の支援・優遇政策に後押しされる形で進み始めています。現状では安価な動物向け飼料のトウモロコシの利用に留まっていますが、2006年に成立した「包括エネルギー法」で、エタノールを含むバイオ燃料の生産量を2006年40億ガロンから2012年までに75億ガロンへ拡大することを義務づけましたが、4年前倒しで2008年には早くも75億ガロンに達する見込みです。また欧州や日本と異なり、米国でのバイオエタノールはMTBEに変質させず直接ガソリンに混合する方式が取られ、混合比率もミネソタ州では20%(E20)の導入が行われるなど、動きが急速に高まっています。

このためには、エタノールの低価格化、高効率生産技術の確立が必要で、最先端の遺伝子組換え技術、微生物技術、触媒技術などを駆使し、さらには木質系バイオマス廃材なども視野に入れてエタノール化技術を開発する方向で進んでいます。

南米の状況

世界的にみて、ブラジルは米国と並んでエタノールの2大生産国であり、両国で世界生産量の約70%を占めています。両国の生産量は現状ではほぼ同じで各々世界の36%ほどです。ブラジルにおけるバイオエタノールの原料は、米国がトウモロコシであるのに対して、サトウキビがおもな原料になっています。米国に比べてブラジルにおいては、バイオエタノールを生産することに対し政府からあまり大ききな優遇処置はありませんが、燃料と食糧の需給バランスから「農作物を食糧として売るか燃料として売るか」の価格により決まっているようにも思えます。

日本のバイオ燃料導入状況と課題など

バイオ燃料、とくにバイオエタノールはトウモロコシ、麦、米、ジャガイモ、サトウキビなどの澱粉を多く含み主食となりうる農作物を醗酵させて作りますが、日本のように食糧自給率が40%を切っている現状では、とても農作物をバイオエタノールに転換する余裕はありません。そこでわが国では、木質系廃材、雑草、藁など、セルローズ系バイオ原料を分解して多糖類を作り、これを原料としてバイオエタノールを生産する方式が研究されています。

2007年1月に稼動を始めたバイオ・エタノール・ジャパン関西(株)は、世界初の木質系バイオマス(建設廃木材、木くず、剪定枝など)を原料としたプラントです。当初、能力は初年度1,400kℓ/年、その後設備を増強して最終的には4,000kℓとなる予定です。

本当にバイオ燃料が地球温暖化対策の切り札なのか?

しかし、これほど急激にバイオエタノールを増産して本当に大丈夫なのでしょうか?

このような諸問題を真剣に議論・検証することなく、急速にバイオ燃料の生産を拡大することに大きな不安をもつのは筆者だけでしょうか?

参考文献及び引用先

注意

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