ホーム > 知ってなるほどバルブと水栓 > 環境関連情報 > 我が国の環境政策 #1

環境関連情報

我が国の環境政策 #1

経済産業省 産業技術環境局 環境政策課

情報発信日:2012-06-22

はじめに

国の環境政策というと、所管官庁は環境省と思われている方が大半と思いますが、過去の公害対策のような狭義の環境負荷低減とは異なり、昨今の環境対応は、商品の開発設計、原材料の調達、生産、物流、使用、廃棄に至るまでの、いわゆる製品のライフサイクル全体や事業活動全てを対象に考えなければならないため、環境と経済の関係が非常に重要な問題となってきています。そこで環境と経済の問題については経済産業省が大きな関与をしていますし、環境問題は国境を越えた課題でもあるために外務省が、生物多様性や地球温暖化防止の問題では農林水産省が、また飲料水の水質問題などでは厚生労働省、下水処理・水資源あるいはシップリサイクル法などは国土交通省が関与するなど、現在では多くの省庁が環境問題に関与しています。

中でも、経済産業省は「企業経営において積極的に環境問題に関与する事が企業の経営に有利に働く」との判断のもとで産業界に広く環境政策を展開していますので、今回は経済産業省における環境政策について述べたいと思います。

 

経済産業省の環境政策

経済産業省の組織図を見ると産業技術環境局という部署があり、その中に環境政策に関与していると思われるセクションとしては環境政策課とリサイクル推進課の二つの課がありましたので、まずそこを覗いてみたいと思います。

「環境政策課の所掌事務」は以下の通り

1) 経済産業省の所掌に係る産業公害の防止対策の促進に関する総合的な政策の企画及び立案並びに推進。
2) 経済産業省の所掌に係る環境の保全に関する事務の総括。
3) 経済産業省の所掌に係る環境と調和のとれた事業活動の促進に関する総合的な政策の企画及び立案並びに推進。
4) 経済産業省の所掌に係る地球環境保全に関する対策の促進に関する総合的な政策の企画及び立案並びに推進。
5) 経済産業省の所掌に係る事業の産業廃棄物に関する対策の促進に関する総合的な政策の企画及び立案並びに推進。
6) 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律の施行。
7) 産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律の施行。
8) 自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の施行
9) 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の施行に。(輸出移動書類及び輸入移動書類に関することを除く。)
10) エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法の施行。(資源エネルギー庁、中小企業庁及び製造産業局の所掌に属するものを除く。)

「リサイクル推進課の所掌事務」は以下の通り

1) 経済産業省の所掌事務に係るリサイクルの推進その他資源の有効な利用の確保に関する総合的な政策の企画及び立案並びに推進。
2) 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の施行に関する事務のうち同法第二条第一項第十六号に規定する特定施設に関すること。
3) 再生資源の利用の促進に関する法律の施行
4) 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の施行

上記の二つの課が環境政策に関与しているようですが、特に環境政策課における「環境経営・環境ビジネス支援政策」について述べたいと思います。

 

経済産業省の環境経営・環境ビジネス支援政策

経済産業省では「現在、産業界は地球温暖化、廃棄物・リサイクル、化学物質管理など多様な環境問題への対応が求められています。このような環境問題の解決と経済を両立した形で実現するべく、産業界の自主的な環境対応、 いわゆる環境に配慮した企業経営や環境ビジネスの育成を推進しています。」として基本として以下の2つの大きな政策を推進しています。

環境に配慮した企業経営の促進支援
環境ビジネスの育成支援

具体的には
環境に配慮した企業経営の支援

1) 環境管理会計・・・マテリアルフローコスト会計(MFCA)
※本コラム2012年5月「最新の環境経営手法の国際化の状況」参照
2) 環境ラベル
※本コラム2006年7月「環境ラベル制度について」参照
3) LCA(ライフサイクルアセスメント)
※本コラム2003年10月「LCA(ライフサイクルアセスメント)について」参照
4) 環境効率 ※あまり聞きなれない言葉ですが経済産業省によりますと環境効率とは以下の通り、環境負荷の少ない製品の普及を目指すことのようです。
 「環境効率の目的」環境効率は価値を向上しつつ環境負荷を削減する取組みの進捗状況を測ることを可能にする新しい考え方です。環境負荷削減と価値向上という両側面の改善評価をするため、一部の企業では、事業や製品に対する主要な環境効率指標を作成し、社内の目標管理もしくは社外への報告ツールなどとして積極的に活用し始めています。
 「環境効率の概要」経済産業省では、企業の積極的な協力のもとで製品を主として環境効率の調査研究を行ってきました。企業が環境効率の良い製品を提供し、消費者は環境効率の良い製品を購入し、使用することで持続可能な社会の実現を目指します。環境効率はその判断基準となるものです。

環境ビジネスの育成支援

1) エコタウン事業(環境と調和したまちづくり事業)
※エコタウンとはエコタウン事業は、 地域の産業蓄積などを活かした環境産業の振興を通じた地域振興および地域の独自性を踏まえた廃棄物の発生抑制・リサイクルの推進を通じた資源循環型経済社会の構築を目的に、地方自治体が、地域住民、地域産業と連携しつつ取り組む先進的な環境調和 型まちづくりを支援するものです。
 具体的には、それぞれの地域の特性を活かして、地方公共団体が「エコタウンプラン(環境と調和したまちづくり計画)」を作成し、そのプランの基本構想、具体的事業に独創性、先駆性が相当程度認められ、かつ、他の地方公共団体の見本(モデル)となりうる場合、経済産業省および環境省はエコタウンプランとして共同承認するとともに、地方公共団体および民間団体が行う循環型社会形成に資する 先導的なリサイクル施設整備事業に対し財政支援を実施するものです。

2) 環境コミュニティ・ビジネス事業
※環境コミュニティ・ビジネス事業とは、経済産業省は、地域の企業・NPO・市民団体等の地域コミュニティを形成する主体が連携・協働し、地域が有する環境問題の解決、地域の活性化を経営的感覚に基づき実践する「環境コミュニティ・ビジネス」を全国から発掘します。本事業は、これらの活動を支援することに寄って、持続的かつ効率的な環境負荷の低減を図り、また、事業の成果及び課題の評価等を通じて、全国に同様の取り組みを広く普及させることを目的として地域における企業・市民等が連携した「環境コミュニティ・ビジネス」の立ち上げに係るソフト的な基盤整備や事業展開に必要な準備作業等を公募の対象とし、支援することとしています。具体的には、事業を委託事業として実施すること。

3) エコプロダクツ展
※経済産業省では、「環境と経済の両立」に向け、企業の環境配慮経営の推進や、環境ビジネスの促進を目的に、様々な施策を展開しています。そのような施策の一つとして、環境に配慮した製品やサービス(エコプロダクツ)の普及を目的とする我が国最大の環境総合展「エコプロダクツ展」の開催についても支援しています。

4) グリーン・サービサイジング事業
※近年、企業は環境経営への取組の一つとして、「製品リサイク ルの推進」、「環境配慮製品の普及」に努めているところです。こうした取組は、社会全体の環境負荷低減に資するものの、持続可能な社会の構築に向けて、20世紀型ビジネスモデルの前提とでもいうべき大量生産・大量消費からの転換を十分に促すものとはなっていません。このため、今後はこれまで確立されたリサイクル基盤の整備に加え、例えば、2R(「リデュース(発生抑制)」、「リユース(再使用)」)等を指向した、環境負荷の低減に資する新たな事業活動への転換が一層重要となってきます。また、こうした製品の機能に着目した付加価値の高いサービス提供型ビジネスモデルは、将来的に市場競争力を有する新たな事業としても期待されています。
 経済産業省では、“環境負荷低減”及び“競争力を有する新たなビジネスモデルの創出”に資する新規性・オリジナリティ・競争力の高い「グリーン・サービサイジング事業」を発掘し、その展開を支援することを通じて、21世紀型の持続可能な社会構築に向けた事業活動が進展する契機とすることを目的に本事業を実施しています。

 

まとめ

過去における公害対策においては、ある意味で事業を行う企業に一方的な経済負担が強いられてきましたが、現在の環境負荷低減活動は環境経営という概念の基において環境と経済という一見矛盾するように思える課題に対してこれを両立させるために種々の対策が考えられ、「環境経営を行うことは企業にとって有利に働く事が多い」、更には「環境負荷低減活動自体をビジネスとして活用してしまう」という考えも広まりつつあります。このような状況において「環境問題は大切だが中小企業だから、そこまで手が回らない」というネガティブな環境負荷低減活動を行うのでは無く、積極的に環境問題に取り組むことが、企業の成長に不可欠という認識の上で、経済産業省として環境経営を積極的に支援して行こうという政策を実施していることがおわかり頂けましたでしょうか。

 

引用・参照情報

注意

情報一覧へ戻る