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環境関連情報

グリーン・ウォッシュとブルー・ウォッシュ

良く考えると、何か変?

情報発信日:2012-03-26

はじめに

山口県立大学の安渓遊地教授(環境問題授業担当)が自身のブログにおいて「なんか変?)プルトップ集めて車いす・キャップ集めてワクチン」というコラムを書いています。アルミ缶のプルトップやペットボトルのキャップを集めて車いすやワクチンを贈るという運動は、皆さんの身近での学校や企業等で広く行われているのでご存じの方も多いと思います。

実際、アルミ缶のプルトップは一般社団法人環公害防止連絡協議会に、ペットボトルのキャップについてはNPO法人エコキャップ推進協議会に送れば、車いすやワクチンが贈れるので活動自体に問題はないのですが、安渓教授は「何か変」と書き、グリーン・ウォッシュやブルー・ウォッシュの疑いがあると述べています。私達自身を含めて多くの人々は、アルミ缶のプルトップやペットボトルのキャップを集めることが慈善活動になることと信じて疑っていませんが、「電卓片手に数分計算すれば何か変だと直ぐに判ること」のようですので、もしも「何が変なのか」に興味のある方は安渓教授のコラムを読んで頂くとして、本コラムではグリーン・ウォッシュとブルー・ウォッシュという言葉について説明するとともに、皆様にはこの機会に是非この言葉を知って頂きたいと思います。

 

グリーン・ウォッシュとは、ブルー・ウォッシュとは

安渓教授のブログによると、

と書いてあります。

新語時事用語辞典によると、グリーン・ウォッシュとは「実態を伴わないのに、環境へ配慮しているというイメージをむやみに与えるような、虚飾の類い。商品や企業活動について、環境にやさしい、エコである、環境保護に熱心である、といった印象を植え付けようとする虚飾。英語では、「漆喰(しっくい)」を表す「ホワイトウォッシュ」(whitewash)という表現に「体のいい誤魔化し」という意味がある。グリーン・ウォッシュは、ホワイトウォッシュに「グリーン」を掛け合わせて出来た語である。」と書かれています。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』には、「グリーン・ウォッシング(green-washing)は、環境に配慮をしているように装いごまかすこと、上辺だけの欺瞞(ぎまん)的な環境訴求を表す。安価な"漆喰・上辺を取り繕う"という意味の英語「ホワイトウォッシング」とグリーン(環境に配慮した)とを合わせた造語である。」とあります。

現在の社会において、「環境に配慮した活動」、「環境負荷の低減活動」や「人権擁護活動」は善であり社会に貢献する活動と認識されているため、多くの団体や企業はこれらの活動に積極的に取り組み、そのことを大いにPRして自己のイメージアップに利用しようとしています。正当な活動をして正当なPRを行うのは結構なことですが、一方では過剰なPRや虚飾、誤魔化しが横行しており、中には、非常に巧妙で善意の消費者を巻き込む場合もあるのだと言われています。

 

グリーン・ウォッシュの実際

『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、「グリーン・ウォッシュは1980年代半ばから、欧米の環境活動家を中心に使われ始めた。環境に優しい、地球に優しい、グリーンなどという表記がある商品を、環境意識が高い消費者が選択することを狙い、消費者に誤解を与えるような訴求を行っている商品に対し、グリーン・ウォッシュ商品と名づけられる。 80年代後半から90年代にかけては、森林や海洋の写真を使った広告キャンペーンにより安易にグリーンな印象付けを行おうとしていたが、現在のグリーン・ウォッシュはさらに洗練されている。イメージ先行のものから、実績アピール型に移行しており、CSR報告書なども、グリーン・ウォッシュのツールの一つに用いられている場合もある。」とあり、CSR報告書に事業活動に関係のない緑の写真を使うなどエコなイメージを装う行為とされています。

実際の手口としては以下の方法が紹介されています。

グリーン・ウォッシュの見抜く方法として以下の事項が紹介されています。

実際のグリーン・ウォッシュ例としては以下の事例が紹介されています。

しかし、最近のグリーン・ウォッシュの手口は巧妙であり、一般消費者にはなかなか見抜けない場合も多いし、疑わしいが100%グリーン・ウォッシュと言えない場合もあり、なかなか難しい問題といえます。そんな中でWWF(世界自然保護基金)が「明らかにグリーン・ウォッシュ」としてAPP社(アジア・パルプ・アンド・ペーパー社)を公的に糾弾しています。

WWFによると、APP社はかつて豊かな熱帯林に覆われていたインドネシア、スマトラ島で原料調達の為に森林の伐採を続けており、1985年から2009年までの約25年間で、森林面積は半分にまで失われてしまい、これは日本の四国の面積を上回るものであり、スマトラオランウータンなどの希少生物の住環境を奪うものであるとしています。

しかしながら「APP社は、インドネシア国内はもちろん、ヨーロッパやアメリカ、中国などのアジアなど世界中で、熱心に自社の環境への取り組みをウェブサイトやパンフレット、新聞広告、テレビコマーシャルなどを通じて行なっています」とし、「APP社による多くの『環境広告』は、環境に明らかな悪影響を及ぼしている企業が、他のCSR(社会貢献活動)などをアピールすることで、その行為を隠そうとする『グリーン・ウォッシュ』である」と主張しています。

 

まとめ

昨今、「環境に配慮している企業や人権擁護に熱心な企業=優良企業」という傾向にあり、一般消費者もこのような企業の商品を選択して購入しようとするグリーンコンシューマが増えて来ています。このため多くの企業は環境問題や人権問題に競って熱心な取り組みを行っていますが、逆に一旦「グリーン・ウォッシュ企業」や「ブルー・ウォッシュ企業」の疑いが持たれると、その反動は大きなものとなる可能性があります。

CSR NEWS(2008年5月27日)に「グリーン・ウォッシュ企業」と呼ばれないための10原則というコラムがあります。これによると、「『グリーン・ウォッシュ』とは、消費者が企業の環境活動があたかもビジネス活動の一環であり特定の商品サービスに利益をもたらすと誤解を生じさせるような企業活動を指します。近年英国では、このようなグリーン・ウォッシュに対する消費者からの苦情が従来の4倍に膨れ上がっていると報告されています」とし、企業のコミュニケーションに関するコンサルテーションを手がける英Futerraが提示しているグリーンウォッシュガイドラインに記載されている「グリーン・ウォッシュ企業と呼ばれないための10原則」を和訳し、以下のように記載されていますので紹介します。

<< 『グリーン・ウォッシュ企業』と言われないために避けるべき10つの原則>>

1. 柔らかい印象の言葉は避ける
明瞭な意味を持たない言葉や用語。例)エコ・フレンドリー。
2. 環境汚染をしているとし、印象が悪い企業はグリーン商品を売るのを避ける
例)河川汚染をもたらす工場で生産される持続性の高い電球。
3. 暗示的な図は避ける
証明されていないにもかかわらず環境に良いインパクトを暗示するようなイメージ図。例)煙突から煙の変わりに花が排出される図。
4. 的外れの主張は避ける
全体的には環境活動を進めていないのに、ごく小規模な環境活動のみを強調する。
5. ドングリの背比べは避ける
環境活動が大幅に遅れている産業のなかで同業者と比較し、「同産業で最高レベル」と主張すること。また、その他企業よりも若干環境活動が進んでいることをアピールすること。
6. 明らかに論理性に欠ける場合は避ける
危険な商品をグリーン化したところで、安全にはならない。例)エコ・フレンドリーなタバコ。
7. 分かりにくい表現は避ける
科学者だけが確認でき、理解できるようなわけのわからない言葉や情報。
8. 空想の友人を主張することは避ける
例えば、「ラベル」はあたかも第三者からの承認を得られたように見えるが、企業が独自に作ったものである場合もある。
9. 証拠ゼロは避ける
もちろん正しいかもしれないが、証拠はどこにあるのか。
10. あからさまなウソは避ける
完全に偽造された主張やデータ。

欧米では、このような環境や人権に対して真剣に配慮している企業は歓迎される反面、虚偽や不正な事実に対する反感は過大なものがあり、表裏一体なものといえるかと思います。欧米と日本の消費者の間には差異はありますが、商品を選択する場合に企業の環境に対する取組などを厳しく評価したりする傾向は、今後も強くなるものと思われますので、各企業においてもCSR報告書などの作成やエコ商品の表示などにおいては十分な注意が必要と言えると思います。

 

引用・参照情報

注意

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