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環境関連情報

2011年改正RoHS指令の動向

特に適用除外に対する考え方

情報発信日:2011-06-23

はじめに

EUのRoHS指令は電気電子機器に対する有害化学物質規制であるにも関わらず、今や種々の分野における有害化学物質規制のスタンダードになったような感じがしますが、そのRoHS指令も2006年7月に発効してから今年(2011年)ですでに5年が経過し、改正の検討が進められてきました。その最終的な改正案は2010年11月欧州議会を、2011年4月には欧州議会環境委員会を通過しましたので、早ければ2011年6月にも改正が行われる(欧州官報掲載)見通しです。

当初、今回の改正においては規制対象物質が大幅に増えるのではとの見方がありましたが、EU加盟国の合意が得られず見送りとなりました。今回の主な改正点は、従来適用除外であったカテゴリー8(医療機器)、カテゴリー9(産業用を含む、監視及び制御機器)の適用除外が解除されたこと、及び、RoHS指令適合品に対してはCEマーキングの義務化(CEマークの添付、適合宣言書の作成、技術文書の作成)が明記されましたので、今回はその改正概要について述べたいと思います。

現行RoHS指令と改正RoHS指令の主要な改正点比較

改訂の概要

(1)カテゴリーの追加 (適用除外解除)

RoHS指令はEUにおける電気電子機器を対象とした有害化学物質の含有規制ではありますが、今や多くの国・地域における有害化学物質規制の原点となりつつあり、その改訂内容については大いなる関心が集まっています。当初は「現在規制対象となっている6種類(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBD、PBDE)の規制物質が48種類にも増える」「適用除外も大幅に解除される」など多くの情報が飛び交いましたが、EU加盟国の合意が得られず、当初の予想を大きく下回る小幅な改正に留まった感がありますが、従来適用除外であったカテゴリー8の医療機器とカテゴリー9の産業用を含む監視及び制御機器が適用除外から外れ、事実上ほぼすべての電気電子機器がRoHS指令の対象となったことになります。

2006年のRoHS指令発効時点においては「バルブ産業にはあまり関係がない規制」と思われてもいましたが、今回の改正により電磁弁やモーター弁などの電気・電子駆動のバルブはEU域内においてはRoHS指令の対象になったと考えた方が良いと思われます。(欧州の当局に問い合わせても明確な回答はしない模様です)

(2)CEマーキングの要求

また今回の改正の大きな点は従来「RoHS指令適合品」については、その証明について特に規定はありませんでしたので、川下ユーザーから要求があった場合に私的な「指定物質の非含有証明書」の提出を行えば済んでいましたが、改正RoHS指令では製品へのCEマークの添付、適合宣言書の作成及び保管、技術文書の作成及び保管が要求されるようになります。

適用除外に対する考え方

2008年4月1日に欧州司法裁判所は、2005年10月31日に欧州議会及びデンマーク王国が提訴した「Deca BDE」(PBDEの類と考えられる)の適用除外を認めた「2005/717/EC」を無効とする判決を出しました。

この判決によって、RoHS指令のAnnex9aが削除され、2008年7月以降はDeca BDEは含有制限(0.1%以下)を受けることになりました。

この裁判では「欧州委員会が適用除外を決定し、EU官報にて公表したDeca BDEを適用除外とする」とした法律が欧州議会とデンマーク王国の訴訟によって無効とされてしまいました。論点は、Deca BDEが有害か無害かではなく、代替品が存在するにも関わらずDeca BDEを適用除外にしたことが法令違反であるという点にあり、欧州司法裁判所はこれを認めて「適用除外を違法」と判断しました。 今回の改正でも適用除外用途、適用除外品、適用除外の有効期限など明確に記載されてくると思われますが、「適用除外」は「代替品の存在有無」の上に成り立つ非常に危うい立場にあると理解した方が良いと思います。

前回2011年5月のコラムでも述べましたが、現在の環境問題への対応はトップランナー方式で進んで行くということです。「適用除外になったから、ひとまず安心」ということでは決してなく、いつか誰かが「ここに代替品、代替技術があるのでこの適用除外は無効」と声を上げた瞬間に適用除外は解除される可能性が高いと理解する必要があるのではないでしょうか?

【参考】 RoHS指令第5条には以下のように書かれています。

「第5条 科学技術上の進歩への適応1.以下のような目的のため、付属書を科学技術上の進歩に適応させる修正は、本指令第7条2項に規定される手続に従って採択される。(b)第4条1項に言及されている物質や材料をデザインの変更により除去したり、同物質や材料を必要としない代替品で製品の材料や構成部品を置き換えたりすることが、技術的、科学的見地からみて実践不可能な場合、或いはまた代替が環境や人の健康、或いは消費者の安全に対しもたらす悪影響が、同分野での代替による便益を上回る場合に、電気・電子機器の材料や構成部品を第4条1項の適用から免除する。」(JETROユーロトレンド 2003.5より)

まとめ

今回のRoHS指令改正は「泰山騒動ネズミ一匹」といった感があり、有害規制物質の種類がどこまで拡大されるのかが大きな関心の的だったようですが、最終的には従来通りの6種類で変化なく、次回2015年の改正に向けて4種類の物質を優先して審議するということに留まりました。しかし、一方では欧州の総合的な化学物質規制であるREACH規則におけるSVHC(高懸念物質で届出が必要)は、2008年10月時点での15種類が、2010年12月時点では46物質まで拡大し、さらに追加物質の検討が行われています。

このREACH規則はRoHS指令のように対象とする市場や製品は定められておらず、EUで販売されるすべての製品が対象となりますので、直接または間接的にEU域内に輸出される可能性がある場合は対応が必須となります。

これら有害化学物質の管理は自社でいちいち分析することは時間的、人的、経済的に不可能ですので、川上から受け取ったデータを川下に間違いなく伝えて行くことになりますので、社外のサプライチェーンとの協力・連携関係の構築、社内のデータ管理など一朝一夕に対応が不可能な課題と成りますので一刻も早く対応することが企業の生き残りのためには化学物質管理は必須となったといえます。

引用・参照情報

注意

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