ホーム > 知ってなるほどバルブと水栓 > 環境関連情報 > 「エコロジカル・フットプリント」とは

環境関連情報

「エコロジカル・フットプリント」とは

人間が環境に及ぼす影響を測る

情報発信日:2011-01-25

エコロジカル・フットプリントとは

最近、新聞やマスコミでも「エコロジカル・フットプリント」という言葉を時々耳にしますが、これは人間が、地球環境にどの程度の影響を与えているかを測る一つの方法と言われています。果たして我々一人ひとりが地球に対してどの程度の環境負荷を与えているのでしょう? とても想像さえ出来ないことと思います。

そこで、1990年代初期にカナダのブリティッシュコロンビア大学のウイリアム・リースとマティス・ワケナゲルによって「収穫された環境収容力(Appropriated Carrying)」という「人間が地球環境に及ぼす影響を測る為の概念」が提唱されましたが、この用語が難解であったため、後に「地球環境が人間の諸活動によって踏みつけられた足跡」という比喩に基づき、「エコロジカル・フットプリント(Ecological Footprint)」と改められました。

EICネットの環境用語集によりますと、エコロジカル・フットプリントとは「人間活動により消費される資源量を分析・評価する手法のひとつで、人間1人が持続可能な生活を送るのに必要な生産可能な土地面積(水産資源の利用を含めて計算する場合は陸水面積となる)として表わされる。」と書かれています。少し判り難い表現ですが、私達1人の人間が現在の生活を続けて行くためにはどの位の広さの水陸面積が必要かを示すものです。我々が日常生活するための土地や水上面積というと、まず自分の自宅の広さを思い浮かべてしまうかも知れませんが、(1)通勤・通学に使う道路や電車の線路、会社や商工業施設の土地の面積(生産能力阻害地)などがあるかと思いますが、その他にどんなものがあるでしょう?

今、環境問題で一番の課題になっている、(2)化石燃料の消費によって排出される二酸化炭素を吸収し、新たに酸素を作るために必要な森林の面積(二酸化炭素吸収地<国内外>)、(3)我々の食糧を生産するために必要な農耕地、放牧地の面積(耕作地、牧草地)、さらには魚貝類を得るための海洋や養殖池などの面積(海洋淡水域)、(4)日用的に使用している紙や木材の生産に必要な土地の面積(森林)などを合計した値として計算されます。

各国のエコロジカル・フットプリントを計算すると

エコロジカル・フットプリントはその国の人口、食糧や工業製品の消費量、化石燃料の消費量、商工業施設や道路などの整備状況、生活の水準や文化レベルで大きく異なりますが、主要国における1人当たりのエコロジカル・フットプリントを計算してみると、少し古いデータですが以下のようになります。

国名 資源消費量・
面積換算(gha/人)
自然生産能力・
面積換算(gha/人)
米国 9.7 4.7
カナダ 7.5 14.3
英国 5.4 1.5
ドイツ 4.4 1.8
日本 4.3 0.8
アルゼンチン 2.2 6.7
中国 1.6 0.8
インド 0.7 0.4
世界 2.2 1.8
注: Gha(グローバルヘクタール)とは、温暖な土地の方が単位当たり面積における生産量が大きく、寒冷な土地の方が生産量は少ない、あるいは水田と畑の生産量の差異などを考慮して世界の平均的な生産量を共通で表すために作られた単位(1ヘクタールは100m×100m=10,000平米)
出典:主要国のエコロジカル・フットプリント (生産系負荷度 欧州環境庁2002年度)、2006年4月3日付東京新聞より

数字の読み方

上の表の数字を見ても、良くわからないと思いますが、まず資源消費量が自然生産能力を上回っているほど、地球環境に与える負荷が大きいと言えます。即ち、資源消費量が自然生産能力を上回っている国は他国の環境に負荷を与えていることになります。世界の自然生産能力(公平な割り当て面積)は1.8 gha/人であるのに対して例えば米国は9.7 gha/人ですので、世界の人の全てが米国人と同じ生活をすると仮定すると、9.7÷1.8で地球が5.4個必要と計算されます。日本の場合でも地球が2.4個必要と計算されます。

また、世界を見ても資源消費量が自然生産能力を20%ほど上回っていますので、20%の人々が物資や食糧の不足に晒されていることになります。エコロジカル・フットプリントは、1961年から2003年の間に9倍増加し、1985年頃に資源消費量と自然生産量が逆転しています。このような状態について、WWF(世界自然保護基金)が1998年から隔年ごとに発行している「生きている地球レポート2008年版」において、「今後、何ら対処を行なわない場合、50年後には資源消費量が自然生産量の2倍になると推定され環境の再生機能が大幅に損なわれる可能性がある」として警鐘を鳴らしています。

まとめ

エコロジカル・フットプリントを計算することによって、私達が地球に与えている環境負荷が計算出来ること、その数値からこのまま放置すると大変なことになりそうな事は理解出来たかと思います。ではこの状況を解消するために、我々は一体何をどうすれば良いのでしょうか?

エコロジカル・フットプリントとは冒頭で述べた通り「住宅、道路、商工業施設などのインフラの為の面積」「化石燃料に由来する二酸化炭素の吸収のための森林面積」「食糧生産の為の面積」「紙、材木生産のための面積」ですので、森林面積の確保、拡大(砂漠の森林化)、二酸化炭素の排出抑制、工業・農業生産効率の向上、省エネ・省資源などいわゆる環境負荷低減による持続可能な循環型社会の構築によって「地球1個分の生活」を目指すということになるかと思います。

人口の増加、生活向上のための各種資源の消費量増加など、エコロジカル・フットプリントを削減することは、極論すれば日本の場合でも今の生活を1/2以下に抑えることを意味することでもあり、大変に困難な目標であることを認識する必要があるといえます。しかし、このまま放置すれば地球及び我々人類の破滅に繋がる危険性があることも認識し、一人ひとりが地球環境の負荷低減を意識し行動することではないでしょうか。

引用・参考資料

注意

情報一覧へ戻る