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環境関連情報

EUのRoHS指令(II)改正案について

~EU委員会が提案~

情報発信日:2017-3-24

はじめに

2017年1月26日付けでEU委員会は「欧州議会と理事会に対する指令の提案」と題して、電気および電子機器における特定の有害物質の使用制限に関する、2011/65/EU指令(RoHS2)の改正に関する提案を公表しました。

EU委員会は、今回の改訂提案の目的について「RoHS2の目的は、電気電子製品(EEE)中の有害化学物質の減量により、廃棄段階における『循環経済を支える製品の再利用と使用済み資材のリサイクル』を促進することにありますが、RoHS1(2002/95/EC)からRoHS2(2011/65/EU)に移行し、新しい定義が導入され、カテゴリー8『医療機器』やカテゴリー9『監視および制御機器』を対象とする範囲が拡大されました。さらに、新しいカテゴリー11の『オープンスコープ』、『他のカテゴリーでカバーされていない他のEEE』の変更が加えられました。これによりRoHS2指令は全ての電気電子機器を対象としました。この時点では、特に問題は評価されていませんでしたが、EU委員会は「EEEの定義の範囲および2011年の改訂で導入されたオープンスコープによりRoHS 2で追加された製品グループの適用除外」に関する指令の範囲を修正する必要性を検討する義務を負い、欧州委員会は今回この評価を実施し、意図しない影響を有する法律を回避するために取り組む必要があるRoHS2の範囲に関連する多くの問題を特定しました」と説明しています。
本コラムでは、EU委員会が欧州議会及び理事会に向けて提案した今回の改訂案の概要について述べます。

 

EU委員会のROHS2改訂提案(概要)

1.現状の問題点

もしEU委員会がこの改訂提案を行わない場合には、2019年7月22日以降に以下4つの問題が発生します。
(1)新しいEEEの対象範囲においては中古市場(例えば再販、中古市場など)での取引が出来なくなり、「突然の停止」となる。
(2)2019年7月22日以前に新しいスコープに従って合法的に上市されたサブセットをスペアパーツで修復することが出来なくなる。
(3)現在はRoHSの適用範囲から除外されているバッテリーまたはエンジンにより動力が供給される無軌道移動機器に対し、コードで動力が供給される同様の機器が対象となっている事の矛盾。
(4)パイプオルガンのEU市場への設置が事実上禁止される。(要求された音を出すために使用されているリードがRoHSに準拠していません)。
以上の4つの問題は、EU市場、製造業者、市民に影響を及ぼし、経済的、環境的、社会的、文化的負の影響を引き起こす可能性があります。

従って、EU委員会の提案は、物質の代替または免除と指導のいずれによっても解決できない範囲の問題に取り組むものです。 範囲の規定が市場の歪みを発生させる特定の製品グループ、すなわち

・RoHS1では適用範囲外で有ったが、RoHS2におけるEEEの二次市場(再販、中古) 製品グループ。
・RoHS1 では適用範囲外で有ったが、RoHS2におけるEEEのスペアパーツ製品グループ。
・コード接続による動力源を有するトラクションドライブ、の道路以外における移動機械
・パイプオルガン

2.RoHS2 の条文に対する問題点

・RoHS2の下では、制限物質に対する制限期間が定められているため、適用除外の開始日と終了日は附属書III及びIVの項目に明示的に、または第5条(2)の最大有効期間を通じて暗黙的に与えられる。ただし、現在の第5条(2)の下では、カテゴリー11には最大有効期間は規定されていない。

・第5条(5)は、新規適用除外の申請に関する欧州委員会の決定の具体的な期限を定めていないが、委員会が免除を更新するための決定時期は遅くとも免除の期限が切れる6ヶ月前に設定されており、実際には実現不可能であることが証明されている。締め切り期限は、適用除外期限が切れる18カ月前までに更新申請を行う必要があるという要件と合わせて、申請書を提出してから12ヶ月以内に既存の適用除外を更新する申請について、異なる期限を正当化する。この期限を遵守することは事実上実現不可能です。従って、実際のビジネスを継続的に行うため委員会が適用除外を更新するための申請を決定するための期間を定める規定は削除されるべきである。

3.具体的なRoHS2の条文改定案

指令2011/65 / EU (RoHS2) は、以下のように改正されています。
(1)第2条「適用範囲」は次のように改正される。

・第2項は削除されます。

<参考>第2項 第4条(3)および第4条(4)の規定を侵害することなく、加盟国は指令2002/95/ECの適用範囲外であったがこの指令に従っていないEEEをそれにも拘わらず、2019年7月22日までは市場で継続して利用できるよう規定すべきである。

・第4項では、以下の点(k)パイプオルガンが追加される。

(2)第3条「定義」において、(28)は次のように置き換えられる。

・(28)‘専門的に使用することができる道路以外の移動機械’とは、オンボード電源または牽引駆動装置を備えた機械を意味し、その動作にはモビリティまたは連続的または半連続的な作業中に固定された作業場所を連続して使用することができます。

(3)第4条「防止」は、次のように改正される。

・(a)第3項は以下で置き換え

2014年7月22日以降に上市されている医療装置および監視、制御機器、2016年7月22日以降に上市されている体外診断装置、2017年7月22日以降に上市される産業用監視および制御機器、2019年7月22日以降に上市される指令2002/95/ECの範囲外であった他のすべてのEEEに適用される。

・(b)第4項に以下の(ea)項が挿入される(ea:指令2002/95/ECの範囲外であったEEEで2019年7月22日前に上市される他のすべてのEEE)

(4)第5条「附属書への科学と技術の進歩の適用」は、次のように改正される。

・2011年7月21日の附属書IIIに記載されている適用除外については、より短い期間が指定されていない限り、更新することができる最大有効期間は次のとおりとする。

a) 附属書Iのカテゴリー1〜7およびカテゴリー10については2011年7月21日から5年間。

b) 第4条(3)に定める附属書Iのカテゴリー8及び9については、関連する日付から7年間。

c) 附属書Iのカテゴリー11に該当品は2019年7月22日から5年間。

・第5項では、2番目のサブパラグラフの最初の文が削除されます。

【参考】

 

Cat1

大型家庭用電気製品

Cat2

小型家庭用電気製品

Cat3

IT及び通信機器

Cat4

民生用機器

Cat5

照明装置

Cat6

電気電子工具

Cat7

玩具、レジャー・スポーツ用品

Cat8

医療機器、体外診断用医療機器

Cat9

監視及び制御機器、工業・産業監視及び制御機器

Cat10

上記カテゴリーに入らない他の電気電子機器

まとめ

(1)EU委員会は、2017年1月26日付けでRoHS2 (2011/65/EU)の改正案を欧州議会及び欧州理事会に提案しました。
(2)改正提案の主な目的はRoHS1 (2002/95/EC)からRoHS2 (2011/65/EU)への移行に伴い、中古機器市場や修理部品などに対する矛盾点を是正することにあります。
(3)これらに対処するため、RoHS2の幾つかの条文を修正または削除します。
(4)適用除外期間について、「適用除外更新の申請が提出された場合、委員会は、特定の状況が異なる締め切りを正当化しない限り、既存の免除の有効期限より6ヶ月以内に決定を下す必要があります。欧州委員会が新しい免除申請の決定をする期限は定められていない」、「指令2011/65/EUに従って委員会に与えられた委任された行為を採択する権限の行使に関する欧州議会と理事会の報告書によると、その期限は実際には実現不可能である」などの理由により適用除外の更新することができる最大有効期間をカテゴリー別に定めた。
(5)今回のコラムはEU委員会による提案書を和訳しまとめましたので、やや不明瞭な部分がありますので、必要に応じて、原文を参照の上で解釈をお願いします。

引用・参考資料

注意

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