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中国版RoHS指令の改正について

2016年1月21日付で公布されました

情報発信日:2016-4-22

はじめに

RoHS指令は、電気電子製品に含有する有害化学物質の量をEUにおいて規制するものです。このような規制はEU域内に留まらず、日本におけるJ-MOSSは既知の通りですが、アメリカ(カリフォルニア州法)、中国、インド、タイ、韓国、トルコ、ノルウエーなど世界中へ、EUのRoHS指令を模した「電気電子機器の有害化学物質含有量規制」が拡大しており、今後も世界各国において、この傾向はさらに広がって行くと思われます。 近年、日本はもちろん、世界の企業はグローバル化を進めているため、自社で生産する製品や調達する原料・部品についての化学物質管理がますます重要になってきており、自国だけでなく、世界の主要国における規制の実施や改正に神経を尖らせて行く必要があります。

このような状況において、中国版RoHSが2016年1月21日付けで公布されました。中国版RoHSは2年ほど前より改正の動きがありましたが、ここにきて正式に改正が公布されました。残念ながら筆者は中国語が理解できませんので、機械翻訳による訳文及び他の情報を基に改正内容の概略を可能な限りにおいて、解説して行きたいと思います。

 

改正中国版RoHSの概要

 

(公布と施行)

従来の中国版RoHSは2006年2月に公布された後、2007年3月に第一段階が発行した「電子情報製品生産汚染防止管理弁法」ですが、今回の発表は2016年1月6日中華人民共和国の工業情報化部、国家発展改革委員会、科学技術部、財政部、環境保護部、商務部、海関総署、国家品質監督検査検疫総局の連名で行われ、「電気電子産品有害物質制限使用管理弁法」の公布と2016年7月1日からの施行が公表されました。
公布文書の第4章 附則の第23条によると、「改正版の施行は2016年7月1日で、2016年1月現在の現行中国版RoHSは置き換えられ、廃止される」と記載されていますので、従来の規制が今回の改正によって置き換わることになります。

 

(改正の主旨)

今回の改正について、工業情報化部は「中国企業はこれまでダブルスタンダードを用いてきた。即ち『海外向けには海外の厳しい規制基準を満たすために、有害物質の使用制限を行う』とする一方で、『中国国内向け製品については相応の措置を取らない』という状況にあった」と言及。海外の規制基準との差異をなくすことが目的であると発表しました。

 

(対象製品範囲の拡大)

今回の最も大きな改正内容は2015年5月に草案が示されていましたが、タイトルが従来の「電子情報製品生産汚染防止管理弁法」から「電器電子産品有害物質制限使用管理弁法」に変更になったことが示すように、旧法では「電子情報機器(電子情報技術によって製造された電子レーダー製品、電子通信製品、ラジオ・テレビ、コンピュータ製品、家庭用電子機器、電子測量機器、電子専門機器、電子部品、電子応用製品、電子材料などの製品とその部品)」だけを対象にしていましたが、新法では中国語で家庭用電化製品を意味する「電器」が追加になったことにより冷蔵庫、洗濯機、エアコン、掃除機などの一般電気製品も含めた幅広い製品が対象となり、規制がより強化された形になっています。
なお、対象とする製品は新法の第三条において「『電気電子産品』とは、電流あるいは電磁力により作動し、電流と電磁界を発生、伝送、測定することを目的にするもので、稼働定格電圧は直流1,500ボルト、交流1,000ボルト以下の設備および附属品である。ただし、EUのRoHS指令と異なり発電、送電、分電などの設備は除く」としています。

 

(対象有害物質の拡大)

使用制限される有害物質の種類・範囲が増加します。旧法では鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル (PBDE)の6種類が対象使用制限物質でしたが、新法では、「鉛及びその化合物」「水銀及びその化合物」「カドミウム及びその化合物」「六価クロム及びその化合物」と、規制対象金属の化合物も対象へと大幅に拡大します。また、旧法と同様、「国家が規定するその他の有害物質」についても規制対象となります。

 

(管理方法の強化)

また、管理方法が強化されます。旧法では政府が定める「重点管理リスト」に載った製品を対象とし、対象製品については「強制認証制度」を適用し、「認証がないと中国国内で販売できない」仕組みでした。しかし、旧法が規制対象としたパソコン等の製品は製品サイクルが2〜3ヶ月と短いものが多く、上市タイミングを逃し、企業の損失が大きくなることが懸念されていました。
このため、結果的には、旧法下では第1ステップとして定めた、「環境保護使用期限マーク」や「リサイクルマーク」の表示義務のみが実施されており、第2ステップの「強制認証制度」は実施されないままになっていました。そこで新法ではこの「強制認証制度」を廃止し、従来の「重点管理リスト」に替えて「基準到達管理リスト」で製品品目ごとの規制物質や規制基準値を定める「合格評価制度」を導入するものとしています。 なお「合格評価制度」で定められる基準値には、政府が定める法定基準や業界基準が充てられるとしています。

 

電器電子製品の有害物質使用制限管理法<解釈>

2016年1月6日、中国政府の関連8部門が新法に関する解説としてFAQを発表していますので、以下に示します。

Q1:新法はどんな背景の元に改正されましたか?

A1:旧法(令39号)は2006年2月に公布されたものです。しかし、近年この旧法(令39号)は我国の電子機器産業の発展に伴い、制度的に問題が出てきたため、改正しなければなりません。
例えば、他の国では製品含有有害物質に関して生活家電も含めた全ての電気電子製品を対象にしているのに対して、旧法(令39号)において、我国は電子情報機器に関しての汚染のみ規制し、冷蔵庫や洗濯機に適用されていませんでした。全ての電気電子製品に対して環境と人の健康の保護を行う方が有利と言えます。
また、我国企業は海外輸出品に対しては有害物質の制限を行う一方で、国内販売品には相応の措置を取らないと言う二種類の標準(ダブルスタンダード)による生産を行って来ました。
我国の電子機器産業の発展の実情に従い、他の国のやり方を参考にして規制法の適用範囲を定める必要があります。
また、管理方法も十分に行われなくてはなりません。旧法(令39)においては、政府が定める「重点管理リスト」に載った製品を対象とし、対象製品については「強制認証制度」を適用し、「認証がないと中国国内で販売できない」仕組みになっていました。しかしながら、製品の汚染制御管理の要求は電子機器の製品グレードアップやモデルチェンジの周期が2~3ヶ月になることさえあり、重点目録による強制認証制度は新製品の発売時期を遅延させ、商品改良や産業の発展に不利であり、産業界の要求に合わないものでした。そこで、従来の方式を廃止して、新たな管理スタイルとして「合格管理制度」を運用するものとします。

Q2:改正の過程はどのようになりましたか?

A2:2010年4月に産業情報技術部において旧法(令39号)の改編に取組出しました。我々の改正に関する主な仕事の経過は、①新法の適用範囲、有害物質の種類と含有量及び合格評定などの原案策定、②地場産業への書面によるヒヤリング、座談会などの意見聴取、③発展・改革委員会、科学技術部などと共に業界工業会の意見を得て、関連部局と意見調整の実施、④世界貿易機関(WTO)への通知、⑤中国政府法制度情報ネットとポータルサイトにおいて二度のパブリックコメントの募集を行い、原案を修整、⑥産業情報技術部省議に提出し審査を通過させました。
上述の過程を経て、2016年1月6日に産業情報技術部、発展・改革委員会など関連8部門と共同で公表することを決定しました。

Q2-1:改正の主な点は何ですか?

A2-1:主な改正点は以下の通り

(1)適用範囲の拡大と、それに伴う規制法の名称変更です。適用範囲は「電子情報機器」から「電器電子製品」に拡大し、これに伴い名称も「電子情報製品生産汚染防止管理弁法」から「電器電子産品有害物質制限使用管理弁法」に変更になりました。
(2)有害物質の使用制限範囲を拡大します。《方法》はEUのRoHS指令とその他国家の通常のやり方を習い、有害物質の使用制限を増やして、“鉛”、“水銀”、“カドミウム”にそれぞれ“鉛とその化合物”、“水銀とその化合物”、“カドミウムとその化合物”、“六価クロム”には“六価クロム化合物”と改正しました。
(3)国家の科学技術、財政政策などの支援の増加に関する規定。国家は電器電子製品の含有有害物質使用制限に関して科学技術研究、技術開発と国際協力を支援して、積極的に電子機器電子の製品有害物質代替と減量化などの技術を推進します。
(4)製品含有有害物質の使用制限に関する管理スタイルを改善します。従来の「重点管理リスト」に替えて「基準到達管理リスト」で製品品目ごとの規制物質や規制基準値を定める「合格評価制度」を導入します。「合格評価制度」は認証監督管理委員会と産業情報技術部との共同で制定します。「合格」の判定は産業情報技術部と財政部などの部門と共同で行います。

Q2-2:次のステップである新法の実施を巡って、どんな事が考慮されますか?

A2-2:実際は、企業や関連意見などを考慮し、一定の過渡期を経て2016年7月1日より実施します。それまでの間に関連部局はしっかり準備を行い、企業の関心事項に関してFAQを追加するなど企業にとって便利で良い新法の関連制度を執行します。

 

まとめ

(1)中国版RoHSこと「电子信息产品污染控制管理办法(電子情報機器汚染コントロール管理方法)」について2016年1月21日付けで公布、2016年7月1日より実施される旨の発表があった。

(2)改正新法名は「电器电子产品有害物质限制使用管理办法(電器電子製品の有害物質使用制限管理法)」となり、旧法は廃止される。

(3)適用範囲の拡大。旧法では対象が電子情報機器だけであったが、新法で洗濯機や冷蔵庫などの一般家電も含めた電気製品も全て対象となる。但し、発電、送電、配電関連機器は適用範囲外。

(4)使用制限物質の拡大。使用制限される有害物質の種類・範囲が増加。旧法では鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル (PBDE)の6種類が対象使用制限物質だったが、新法では、「鉛及びその化合物」「水銀及びその化合物」「カドミウム及びその化合物」「六価クロム及びその化合物」と、規制対象金属の化合物も対象へと大幅に拡大する。また、旧法と同様、「国家が規定するその他の有害物質」についても規制対象となる。

(5)管理方法の強化。旧法では政府が定める「重点管理リスト」に載った製品を対象とし、対象製品については「強制認証制度」を適用し、「認証がないと中国国内で販売できない」仕組みだったが、旧法が規制対象としたパソコン等の製品は製品サイクルが2~3ヶ月と短いものが多く、上市タイミングを逃し、企業の損失が大きくなることが懸念されていた。このため、結果的には、旧法下では第1ステップとして定めた、「環境保護使用期限マーク」や「リサイクルマーク」の表示義務のみが実施されており、第2ステップの「強制認証制度」は実施されないままになっていた。そこで新法ではこの「強制認証制度」を廃止し、従来の「重点管理リスト」に替えて「基準到達管理リスト」で製品品目毎の規制物質や規制基準値を定める「合格評価制度」を導入するものとした。 なお「合格評価制度」で定められる基準値には、政府が定める法定基準や業界基準が充てられる模様。

引用・参考文献

注意

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