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環境関連情報

水銀使用製品の原則禁止法と大気汚染防止法改訂

新法案を閣議決定

情報発信日:2015-04-21

はじめに

2015年3月10日付けで環境省は「水銀による環境汚染の防止に関する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案の閣議決定について(お知らせ)」と題する報道発表を行いました。

水銀による環境汚染やその規制については、本コラムの2012年1月20日付けの「水銀条約について -水銀規制をめぐる国際動向」、及び、2013年3月22日付け「水銀条約について#2 『水銀に関する水俣条約』の条文案が合意」でも述べましたが、水銀は金属でありながら常温で液体という特異な性質が利用され、長い歴史の中で温度計や電気機器の接点、顔料など多くの用途に供されて来ましたが、同時にその毒性により我国では過去に「水俣病」という世界でも類を見ない規模の公害問題を経験しました。

今回、水銀による環境汚染や健康被害を防ぐことを目的とした「水銀条約」の批准に向けて、政府は国内法の整備に着手し、「水銀製品の製造を原則禁止する『水銀汚染防止法案』」と「大気中への水銀排出を規制する『大気汚染防止法改正案』」を閣議決定し、今国会(第189通常国会)に提出し成立させる予定です。

環境省報道内容の抜粋を以下に示します。

法律案の概要(環境省、経済産業省共同提案)

※本章は環境省の報道資料より引用し概要を示します。

(1) 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案

[1] 計画の策定

我が国の水銀対策の全体像を示す「水銀等による環境の汚染の防止に関する計画」を策定する。

[2] 水銀鉱の掘採の禁止

[3] 特定の水銀使用製品の製造等に関する措置

特定の水銀使用製品について、許可を得た場合を除いて製造を禁止するとともに、部品としての使用を制限し、現在把握されていない新たな用途で利用する水銀使用製品については製造・販売を抑制する。また、水銀使用製品の適正な分別回収のため、国・市町村・事業者の責務を設ける。

[4] 特定の製造工程における水銀等の使用の禁止

[5] 水銀等を使用する方法による金の採取の禁止

[6] 水銀等の貯蔵に関する措置

水銀等の環境上適正な貯蔵のための指針を定め、水銀等を貯蔵する者に対して定期的な報告を求める。

[7] 水銀を含有する再生資源の管理に関する措置

水銀含有再生資源(条約上規定される「水銀廃棄物」のうち、廃棄物処理法の「廃棄物」に該当せずかつ有用なもの。非鉄金属製錬から生ずる水銀含有スラッジなど)の環境上適正な管理のための指針を定め、水銀含有再生資源を管理する者に対して定期的な報告を求める。

[8] その他

罰則等の所要の整備を行う。

(2) 大気汚染防止法の一部を改正する法律案

[1] 水銀排出施設に係る届出制度

一定の水銀排出施設の設置又は構造等変更をしようとする者は、都道府県知事に届け出なければならないものとする。

[2] 水銀等に係る排出基準の遵守義務等

届出対象の水銀排出施設の排出口の水銀濃度の排出基準を定め、当該施設から水銀等を大気中に排出する者は排出基準を遵守しなければならないものとする。都道府県知事は、当該施設が基準を遵守していないときは、必要に応じ勧告・命令ができるものとする。

[3] 要排出抑制施設の設置者の自主的取組

届出対象外であっても水銀等の大気中への排出量が相当程度である施設について、排出抑制のための自主的取組を責務として求めるものとする。

[4] その他

罰則等の所要の整備を行う。

(3) 法律の施行期日

[1] 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案

我が国について条約が効力を生ずる日から施行する。ただし、(1)[3] の一部については別途政令で定める日から施行する。

[2] 大気汚染防止法の一部を改正する法律案

我が国について条約が効力を生ずる日から2年以内で政令の定める日から施行する。

まとめ

1.背景

(1) 世界規模で水銀対策を行う必要性が認識され、条約採択のための政府間交渉委員会設置(2010年)
(2) 我国がホストを務めた国連環境計画(UNEP)主催の外交会議(熊本市と水俣市)において「水銀に関する水俣条約の採択」(2013年10月)
(3) 水俣病を経験した我国としてもこの条約を早期に締結すると共に追加措置を講じ、世界の水銀対策に主導的に取り組むことが必要。(条約の発効要件は50ヶ国が締結した日から90日目。既に、米国など10ヶ国が締結済み)

2.現状における水銀の主な用途

図1 日本及び世界の水銀需要(出典:UNEP国連環境計画、環境省)

3.法律の概要

(1) 水銀汚染防止法案

蛍光灯、水銀灯など照明用機器や電池など水銀が含まれる製品の製造と輸出入を原則禁止。さらに、それらの分別・回収を促進するため、国と自治体、事業者の責務を明確化する。

(2) 大気汚染防止法改正案

図2 日本及び世界における水銀による大気汚染源(出典:UNEP国連環境計画、環境省)

石炭火力発電所、産業用石炭燃焼ボイラー、非鉄金属(鉛、亜鉛、銅及び金)製造用の精錬・焙焼工程、廃棄物焼却設備、セメントクリンカー製造設備の5種類の発生源の分類に対して、水銀及び水銀化合物の大気排出を規制し、実行可能な場合には削減する。

引用・参考文献

注意

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