ホーム > 知ってなるほどバルブと水栓 > 環境関連情報 > 世界の化学物質管理法規制の最新動向(1)

環境関連情報

世界の化学物質管理法規制の最新動向(1)

GHSとは、またその動向

情報発信日:2011-11-25

はじめに

化学物質国際対応ネットワークは、中国において「『危険化学品安全管理条例』は、2011年2月16日、国務院第144回常務会議において改正が採択されました。改正条例は2011年2月16日に公布され、2011年12月1日から施行される予定です」と報じました。また、環境省は2011年11月8日付けで「国際化学物質管理会議(ICCM)に関する公開作業部会(OEWG)第1回会合の開催について」と題する報道発表を行いました。
上記2つの報道は一見何の関係もないように見られますが、国際的な化学物質管理に関する法規制の流れの中において深い関連性があります。

化学物質の管理に関してはEUにおけるRoHS指令やREACH規則が有名であり、他の地域や国においても、これらの法規制を手本に自国の化学物質管理に関する法規制整備が進められていますが、一方では各国がバラバラに化学物質管理を実施すると企業にとっては大変な負担になってしまいます。また、世界に数十万種類存在するだろうと言われている化学物質に対する呼称、毒性や危険性に対する認識や表示が、各国でバラバラでは各種化学物質を扱う場合に不都合が生じることが多く、世界共通の化学物質管理を行う必要性が求められています。

2006年9月28日付け本コラム「有害物質規制最前線#14世界的な化学品の分類・表示の統一GHS」において、「このような状況において『化学物質および混合物に固有な危険有害性を特定し、そうした危険有害性に関する情報を消費者、労働者、輸送担当者、緊急時対応職員に伝えることが重要』と考えられ、2003年7月に国連経済社会理事会において、化学品の危険有害性情報提供制度『化学品の分類および表示に関する世界調和システム』(GHS:Globally Harmonized System)の制定を勧告する決議が採択され2008年までの実施を目標としてEU、米国、日本などがシステムの構築を目指して検討を行っています。」と書きましたが、現在各国においてそのシステム構築が行われた結果として、冒頭のような中国や我が国の動きが出てきていると言えます。

ただし、GHSは条約ではありませんので各国の裁量による部分が多くなります。

今回は世界の化学物質管理法規制の中での「GHSとは」、「その最新動向は」などについて解説したいと思います。

GHSとは

GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labeling of Chemicals:化学品の分類および表示に関する世界調和システム)とは、環境省によると「世界的に統一されたルールに従って、化学品を危険有害性の種類と程度により分類し、その情報が一目でわかるよう、ラベルで表示したり、安全データシートを提供したりするシステムのことです。2003年に国連から発出されており、2008年中を目標に、国際的に導入を進めています。」と説明がなされています。

GHS提案の背景

GHSが提案され各国でシステムが構築されている背景は、2009年8月付けの本コラム「世界の化学物質規制の源流-アジェンダ21、SAICM、IFCSとは‐」にも詳しく書きましたが、1992年に開催された地球サミットで提唱された21世紀における「持続可能な開発」を実現するための行動計画「アジェンダ21」にあります。アジェンダ21は4つのセッション(セッションI<社会的・経済的側面>、セッションII<開発資源の保護と管理>、セッションIII<主たるグループの役割と強化>、セッションIIの第19章に「化学物質の環境適正管理と不法流通の防止」があり、以下の6つのプログラム分野が示されて、それぞれについて行動計画が示されています。

(1) 化学的リスクの国際評価の充実と加速化
(2) 化学物質の分類と表示の調和
(3) 有害化学物質とリスクに関する情報交換
(4) リスク低減計画
(5) 化学物質管理能力の強化
(6) 有害危険物の不法国際流通の防止

国際的な化学物資管理を推進するために

まず、アジェンダ21の19章「化学物質の環境適正管理と不法流通の防止」の6つのプログラムを達成するために、1994年に国連、国連専門機関あるいはIAEA(国際原子力機関)のいずれかに加盟している政府で構成される、IFCS(Intergovernmental Forum
 on Chemical Safety)政府間化学物質安全性フォーラムが発足しました。2006年までに5回のフォーラムが開催されましたが、2002年にヨハネスブルグで開催された「持続可能な開発に関する世界サミット」で採択された「持続可能な開発に関する世界首脳会議実施計画」において、「2020年までに化学物質の製造と使用による人の健康と環境への悪影響の最小化を目指す」ことを目標に科学的なリスク評価に基づくリスク削減、予防的アプローチ、有害化学物質に関する情報の収集と提供、各国における化学物質管理体制の整備、途上国に対する技術協力の推進等の分野での戦略と行動計画が定められました。そのための行動の一つとして、国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)を2005年末までに取りまとめることを目標とし、やや遅れましたが2006年2月に開催された第1回国際化学物質管理会議(ICCM)において、やや後退しましたが戦略的アプローチ(SAICM)が策定されました。またSAICMについては、ICCM(国際化学物質管理会議)を開催して定期的にその進捗状況をレビューすることになっており、第2回ICCMは2009年7月付け本コラムに詳しく記載しましたが2009年に開催されナノ材料の安全性などについての議論が行われました。次回第3回ICCMは2012年に開催が予定されています。

GHSで規定する有害危険物の分類と定義

昔は鉛の毒性があまり知られていなかったため、加工のしやすい金属として給水管、化粧品、顔料、食器などに多用され、多くの中毒者を出しました。

それぞれの絵表示の意味と事故の予防


まとめ

化学物質の呼び名はたとえば、地球温暖化の原因物質とされている「二酸化炭素」は「炭素ガス」とも呼ばれます。個体になると「ドライアイス」と変化しますが、「水蒸気と水と氷の関係」と同じで同一物質です。炭素原子1個と酸素原子2個から構成され、化学式ではCO2と表記されるこのような単純な化学物質でも色々な呼び名や表記方法があります。ましてや、少し複雑な構造を有する化学物質になると数種類の呼び名があることが多くなります。また「アルコール」という呼び名のように化学物質のグループを示す場合もあり、化学の専門家でも間違える場合もあるほど化学物質の表し方は複雑です。さらに、各国の言語による呼び名もありますので、これら多くの化学物質が世界に流通した場合に、その危険性や毒性を共通で認識できないと、化学物質を直接扱い人以外にも流通や運搬、廃棄などに関わる人に対して健康被害をもたらす危険性があります。

「危険な化学物質は製造・使用を禁止すればよい」という極論もありますが、化学物質を上手に使うことによって、我々は多くの便利で快適な生活を送っているのも事実であり、一概に禁止するよりはその化学物質がどのような性質を持っているかを十分に認識して用いる方が「メリットがある」といえます。

今回本コラムで示しました上記の「GHSに従った9種類の絵表示」について、この機会に記憶に留めて頂ければ幸いに思います。

引用・参考資料

注意

情報一覧へ戻る