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環境関連情報

残留性フッ素系化合物規制#2

PFOS及びPFOAの規制

情報発信日:2008-03-17

フッ素系化合物の規制

フッ素系化合物の規制というと、オゾン層を破壊するといわれる「フロン」が真っ先に頭に浮かびますが、フッ素系の化学物質は自然環境のなかで極めて安定である(難分解性)ことが「両刃の剣」であり、使用する際には長所ですが、廃棄時にいったん漏洩拡散してしまうと、生体内や自然環境中に長く残留・蓄積してゆくことが短所になります。

難分解であること自体は問題がないこともありますが、やはり、自然界にない人工物質が自然界や生体内に残留して蓄積してゆくことは、フロンやアスベストのように、後々に有害性が発現した場合に手の施しようがなくなるため、昨今はこの難分解性や生体蓄積性のある化学物質は、製造禁止・使用禁止とする傾向にあります。

このような状況において、残留性有機汚染物質規制(2007年7月)でも述べたとおり一般にはあまり知られていませんが、半導体や自動車などをはじめとする産業界にあって、「フッ素系の優れた界面活性剤/撥水剤」であるPFOS/PFOP・PFOAの製造・使用が禁止になる可能性が高くなってきました。

今回はこれらの規制状況とバルブ造りに与える影響などについて調査を行いましたので報告します。

規制対象物質(PFOS・PFOA)とは

PFOP/PFOA化学構造式

図:PFOP/PFOA化学構造式(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康要因学講座環境衛生学分野ウェブサイトより)

PFOSはペルフルオロオクタンサルホンサン塩(PFOPはペルフルオロオクタンサルホン酸のカリウム塩)で上図に示すとおりの構造。PFOAはペルフルオロオクタン酸アンモニウム塩とよばれます。

いずれも「炭素数8個の主鎖をもち」「フッ素を側鎖にもつ」似た構造を有する化合物で、界面活性効果を有していますが、規制においては違いがあります。

また、規制の対象は上記構造を有する「酸」ですので、水などに溶解すると「さまざまな金属や塩基と結合して種々の化合物に変化する」ので単一物質の規制ではないことに注意が必要です。

経済産業省のウェブサイトには96種類ほどのPFOS物質が例として掲載されていますが、これがすべてではありません。

規制法と対象化学物質

残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約での規制

2005年に世界約100ヶ国間で締結された条約で、DDT、ダイオキシン、PCBなどの製造及び使用/非意図的生成(塩ビの低温焼却で生成したダイオキシン類など)などが対象になっていますが、毎年追加が必要な化学物質についての会議が行われています。2007年11月に開催された第3回会議にて、PFOS塩類及び関連物質の製造と使用を禁止する方向が決定しましたが、非常に広範な用途に使われているため、代替技術がない重要な用途については「適用除外」を行う必要があるが、用途の特定ができていないということで来年以降に実施が延期されています。経済産業省のウェブサイトのQ&AではPFOAは規制対象外

EU指令(76/769/EECの第30回改正による2006/122/EC)により規制

2008年6月27日よりEU域内で適用され、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸塩)類の生産、輸入、使用が禁止されます。詳細な規制内容は、

  1. PFOSを重量比0.1%以上含む製品・部品・半製品の(EU域内での)販売及び輸入禁止(布地・塗装素材の閾値は1μg/㎡)
  2. PFOSを重量比0.005%以上含む物質(材料)及び調剤(混合物)は(EU域内での)販売、輸入、使用禁止

米国環境保護庁(EPA)とフッ素メーカの合意によるPFOA削減自主規制

米国環境保護庁(EPA)から、フッ素製造会社に対して「PFOA(ペルフルオロオクタン酸)及びその関連化合物(PFOS)の拡散・蓄積防止のための削減指示」が出され、これを受けて2003年にEPAと「1999-2000年ベースで2006年に50%削減、ディスパージョンでは90%削減」の目標で合意しています。

化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)での規制

現状でPFOSは、化審法においては第二種監視化学物質(高蓄積性ではないが、難分解性で、人への長期毒性の疑いを有する化学物質)に指定されており、規制内容としては「製造・輸入実績数量の届出の義務、合計100t以上の化学物質については物質名と製造・輸入実績数量を国が公表、取扱いに関する指導・助言。当該化学物質により環境が汚染され、人の健康へのリスクがあると見込まれる場合には、有害性調査の指示」となっています。ストックホルム条約において規制物質に指定された場合は、第一種特定化学物質(難分解性、及び、高蓄積性の性状を有し、且つ、人または高次捕食動物への長期毒性を有する化学物質)として、「製造及び輸入の許可制(事実上禁止)、特定の用途以外での使用の禁止、政令で指定した製品の輸入禁止、必要な場合の事業者に対する回収命令等」と実質使用禁止の規制を受けると推定されています。

PFOS・PFOAの用途とバルブ製造への影響の可能性

「有機フッ素化合物のPFOS(Perfluorooctanesulfonic acid:ペル(パー)フルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(Perfluorooctanoic acid:ペル(パー)フルオロオクタン酸)、および、その塩は、いずれもフッ素系界面活性剤に属し,PFOSはスルホン酸タイプ、PFOAはカルボン酸タイプの活性剤」(APEC環境技術交流バーチャルセンター)であり、PFOS、PFOAともに強い撥水性、撥油性をもち、化学的、熱的に安定で耐薬品性も高いことなどから以下の用途に使用されているようです。

  1. 表面処理剤
  2. 発泡消火剤
  3. 複合メッキ液添加剤
  4. 電解研磨液添加剤
  5. 塗料用添加剤
  6. 四フッ化エチレン樹脂(PTFE)の重合時の乳化剤
  7. 半導体リソグラフィー用処理剤(フォトレジスト添加剤など)
  8. 鋳型離型剤
  9. 自動車、航空機の油圧用作動油の添加剤
  10. 潤滑剤(グリス、潤滑油など)の添加剤
  11. その他

昨年(2007年)5月ごろに、取引先より調査依頼がきた会員企業もあるかと思われますが、いずれにしてもストックホルム条約にてPFOSは製造・使用・輸出の禁止が決定されておりますので、代替技術がない場合には早急に経済産業省に適用除外申請を行う必要があります。上記でバルブ製造に支障が出そうな用途については代替技術の有無を調査中ですので、詳細がわかりましたら、またお知らせしたいと思います。

参考文献及び引用先

注意

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