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環境関連情報

有害物質規制最前線#7

EUのRoHS指令実施前夜#1

情報発信日:2006-02-24

RoHS指令実施前夜

EUにおけるRoHS指令(電気電子機器における有害物質規制)の実施予定である2006年7月1日まで、あと4ヶ月と迫ってきました。RoHS指令は詳細部分で不明確な部分が多く、EU最悪の欠陥指令とよばれ、また加盟各国の国内法整備状況も大幅に遅れ、一時はその実施が危ぶまれた時期もありましたが、EU加盟国の国内法整備も遅れを取り戻したかたちで、予定どおりに実施向けての準備が進められている様子です。このようなRoHS指令実施が間近に迫った状況で、EU域内をはじめとして、同様な有害物質規制を検討している中国やわが国の近況についてまとめてみました。

日本版RoHS

日本版RoHS指令ともよばれるJ-Moss、正式には「JIS C0950 電気・電子機器の特定の化学物質の含有表示方法(the marking of presence of the specific chemical substances for electrical and electronic equipment)」は、2005年12月20日に発表され、RoHS指令と同じ2006年7月1日より適用されます。規格については(財)日本規格協会からすでに販売されていますので、興味のある方は購読されることをおすすめいたします。また、有害物質含有製品に貼付を義務づけられるオレンジマーク、及び、非含有のグリーンマークの版下も電子情報技術産業協会(JEITA)のウェブサイトから購入できます。

国内電気電子機器メーカの状況

前述のとおり、EUのRoHS指令は適用除外範囲や分析方法など詳細な部分において不明瞭な部分が多いため、種々の質問が寄せられているようです。明確な回答を得られないため、わが国のメーカは広義に独自の解釈を行い対応せざるを得ない状況にありますが、これが逆に世界で最も対応が進んでいると評価される結果をもたらしています。反面、各メーカが独自のグリーン調達基準によるRoHS指令の基準以上の過剰な対応を取っていることから、川上の電子部品メーカや材料メーカはその対応のために、さらに川上の調達先の管理や指導、社内管理など、コストアップの要因を背負いながらもセットメーカになかなかコスト転化できない不満を抱える結果となっています。さらに電気電子機器メーカを震源とした有害物質規制の津波は、電子部品メーカや材料メーカのみならず、周辺関連産業へとドミノ倒しのように急速に影響を強めてきており、電気電子機器とは縁遠いと思われる産業では対応に困惑している状況が見られます。

中国版RoHS

中国政府が、2006年7月1日実施予定のEUのRoHS指令に合わせて実施の準備を進めてきた中国版RoHSともよばれる「電子情報製品汚染管理弁法」は、再三再四の公布延期がなされながらも2005年9月28日付でWTOへの通報も行われ、最終的にEUのRoHSと同時に実施されると見られてきましたが、ここにきて2007年1月まで実施が延期される公算が強くなってきた模様です。

実施延期の理由は、同法を実施するうえでの詳細事項である規制物質の閾値や適用除外項目などの詳細が決定できないことにあるようです。最終的にはEUのRoHS指令と整合性をもたせるとしながらも、WTOへの通報稿でもこれら詳細は明確になっていません。

中国版RoHS「電子情報製品汚染管理弁法」の特徴

中国版RoHS「電子情報製品汚染防止管理弁法」の基本条項である規制を受ける物質は、EUと同じく、カドミウム、鉛、水銀、六価クロム、臭素系難燃剤2種(PBB、PBDE)の6種類、および、中国の他の法律により規制されている物質となります。対象製品は若干ニュアンスが異なり電子情報製品に限定され、「電子情報技術を使用して製造される電子レーダー製品、電子通信製品、ラジオ・テレビ、コンピュータ、家庭用電子製品、電子計測機器、電子専用製品、電子ユニット・部品、電子応用製品、電子材料およびコンピュータソフトなどの製品とその付随製品」としていますが、別紙で「重要管理リスト」が存在するようです。また、このほかにもあらゆる電子機器や部品に対して有害物質を含む場合は含有表示をするよう求めています。

適用範囲については、第2条にて国内生産品及び国内への輸入品に適用し、輸出用の生産品には適用しないとしています。

しかしながら、中国にとってEU加盟国は、自国で生産する電子機器の有力な市場の1つであり、EUのRoHSをクリアすることは極めて重要な課題で、国内メーカのレベルアップを図ることが大きな目的の1つになっていると見られます。本家EUのRoHS指令自身も詳細部分で明確でない部分が多いため、多少の遅れがあっても「長い目で見れば」一時的なことであり、むしろEUでの実施状況を見極めてからのほうが得策であるとの見方もできるかと思われます。

しかしながら、中国に進出している日系メーカも同法の対象となるため、対策が立てられない苛立ちの声も聞こえてきます。

EU加盟国の電気電子機器メーカ

RoHS指令によって大きな影響を受ける中国や日本、とくに世界の電子部品の半分以上を生産しているといわれるわが国のメーカにとって、RoHS指令対応は必須の課題になっており、こうした切羽詰まった状況においてわが国のメーカはほぼ対応準備は終えたと見られますが、ここにきて本場EU域内の電気電子機器メーカ、電子部品メーカの対応がほとんど進んでいないという状況が見えてきています。もともとRoHS指令自体が非関税障壁との見方もされており、EU加盟国のメーカには何らかの経過処置が取られるのではとの見方も広がっています。

まとめ

以上の状況からみられるように、「長い目で見れば有害物質規制は世界的な潮流」であり、また電気電子機器や自動車の世界で「有害」と判定された物質は他の産業でも早晩使えなくなるだろうことは容易に推定できます。有害物質規制対応はサプライチェーンの構築という難題を克服する必要があり、一朝一夕には対応できない課題でありながら、顧客の要求は津波のように突然やってきますので、「もう少し様子を見て」「まだ早い」と思わず、できるだけ早い準備をされたほうが安心だと思われます。

注意

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